公演時期 | 2011年12月8日~12日 |
---|---|
会場 | APOC シアター |
作・演出 | モスクワカヌ |
舞台監督 | 上條拓也 |
音楽・歌唱指導・音楽監督 | 伊藤靖浩 |
あらすじ海が近い、北の地方都市。 廃校が決定した女子高で、かつて起きた、事件、事故? あの日、あの時、あの場所で。 「彼女たち」に、本当は何が起きたのか? 作家が、遺族が、魔女が語る「彼女たち」の物語。 真相か、妄想か。 女の子達の、藪の中。 (公式サイトより引用) 感想物語の流れとしては、
ミュージカル「この夜の終わりの美しい窓」 と 同じ演出の方の作品。 かなり難しい内容。 子供やお年寄りは、ほぼ無理として、 私でも良くわかりません。 おそらくは、観客に問いかける、投げかける舞台。 1回の観劇では、内容の把握は難しいと思います。 最低でも2回観ないと意味がわからない。 基本、ストレートプレイ。 ただ、生歌もあるし、ミュージカルっぽいところもあります。 内容がなかなか難しいのですが、 私のイメージからすると、 「櫻の園」や「熱海の捜査官」みたいな、 独特な世界。 「ふたりが亡くなって、ひとりが行方不明」なんて、 「ひぐらしのなく頃に」にも似ている。 最初から舞台にいて喋らず見守っていた少女が、 後半は物語の中に組み込まれる。 幽霊なのか、とある人物の精神的に具現化したものなのかわからない。 過去についての振り返りでは、 当初は他の人物が演じていた役を、 先生や、その姉妹が入れ代わって演じて2役になったりする。 さらには性格付けも変わる。 意味合いとしては、映画「羅生門」のように、 過去についてのエピソードが、話す人によって異なる。 それを少しずつ謎解きをさせる感じでしょうか? どこまでが現実で、どこからが真実なのか。 現世の話しなのか、死後の世界の話しなのか、 それとも両方がリンクしているのか? けっこうボンヤリした空間。 学校の卒業式の演劇に、 過去の事件の関係者と思われる花杷由美が10年経って現われる理由が、 たしかにわからない。 魔女先生こと木村絵里子が、 「なぜ今なのか?」と質問する理由もうなづける。 「忘れる」ということもテーマのひとつかもしれない。 そもそも花杷由美が常に「姉妹」という言い方をしていて、 姉なのか妹なのかもわからない。 ここが謎に絡んでくるとは思うけれど。 この街の風習もあって、願いを叶えるため、 海に灯籠?を流すという。 それが昔は人間であった。 それを実現するために生徒が実演をし、 亡くなったり行方不明になった、ということなのだろうか? 前述した「ふたりが亡くなって、ひとりが行方不明」というのは、 外人の先生が好きだった有栖川愛夢が自殺をして、 逢水薔子、三海せいらが亡くなり、 花杷亜美が行方不明ってことなのかな? つまり、3人が有栖川愛夢を蘇らせること、という願いと、 自分たちそれぞれの願いを叶えることで、地元にある風習を実行したと・・・ そして一番最後の回想で、 あの子が帰ってくるというのは、 行方不明の彼女が戻ってくる・・・ということなのだろうか? カラフルな海の景色でしたっけ? あのフレーズも不思議なフレーズ。 生ピアノはありがたい。 舞台が始まる前の会場入り時間から弾いていました。 このピアノが、舞台の雰囲気をさらに際立てていました。 それにしても、 最近はテレビでも、舞台でも、 同性愛をテーマにすることが多いな~とつくづく思う。 気になった役者役名が変わったり、2役になったりするので、 ちょっと私はわかりづらかったです。 あくまでパンフレットにて。 木村絵里子役の梶野春菜この人はうまい。 最初は少しおとなしめで控えめな先生。 雰囲気はテレビ東京のアナウンサー大江麻理子にも似ていて好感。 が、後半の過去回想?では、束ねた髪をおろして、 少し不良っぽく怖い雰囲気になります。 こういったガラっと変わる性格の変化はすばらしい。 とても同一人物とは思えないほど秀逸な演技でした。 この人の演技を観るだけでも価値あります。 花杷由美役の若林えり瞳パッチリの、かわいらしい女性。 年齢はともかく、一番アイドル系な感じはしました。 花杷亜美役の横澤有紀おそらく、花杷由美の妹だと思います。 「姉妹」という言い方ばかりで、姉なのか妹なのか表現が難しい。 じつのところ若林えりもこの役を演じるので、 ルックスが似通っていて、どちらか判断できない時もあります。 とりたてて個性づけがなく、 一番普通な子かな? 三海せいら役の大日向裕美彼女の演技を久々に観ましたが、 ま~うまくなりました。 「東京メッツ」時代から観ていますが、ダンス系は得意な子ですが、 ようやく演技ができてきた感じ。 舞台経験を豊富ではあるけれど、 本当の意味での演技の開花はこの舞台だと思う。 というか、この舞台は他の出演者もうまいので、 ひとり下手、ってわけにもいきませんからね。 そうとう稽古を積んできたとみる。 役柄的に、とある宗教家の娘で、 高校を卒業したら、母の決めた男性と結婚するという能天気で天然な子。 あっている・・・という言い方は変だけれど、 雰囲気バッチリ。 アタリ役といえる。 カツゼツも良くなったし、セリフ回しも良くなったし、 昔と比べたら相当うまくなっていてビックリしました。 ま~性格付けがまた違う役だと、変わるかもしれませんが、 この役については好演と言っていい。 有栖川愛夢役の佐山花織どちからというと明るめで、今時な子。 ただ、じつはひとりが寂しい・・・という内面をもつ。 裏表、悲しい部分がある。 逢水薔子役の神宮司晴香メガネをしたり、しなかったりしますが、 もともとの素顔はかわいい。 生徒会長で真面目。 でも、外人の先生に変なあだ名をつけられたりと不遇。 この役も難しい演技。 ちなみに歌う場面も何度かあるのですが、 彼女の歌声が一番良く聞こえました。 歌唱力あります。 エリー役の米沢絵美エリーということで、後半ネタバレになってきます。 他の人とリンクしたり、存在というか、位置が難しい。 最初は怖い雰囲気なのですが、 じつは・・・という展開があります。 この役は難しいですね。 役者の理解力も必要。 総括かなり難しい内容。 2回観ないと。 出演者も台本を理解しないといけないので大変。 ただ、出演者の演技力、長ゼリフ、カツゼツの良さは、 とても評価できます。 早口なセリフもよくこなしている。 そして、梶野春菜。 私は素晴らしい女優だと思います。 小さな舞台でも、こういう発見があると嬉しい。 千差万別、小規模でもいろいろな舞台を観るのは本当に楽しい。 ※敬称略 |