◆メリッサのゆりかご ジルの監獄のあらすじ

◆公演時期   2010年8月19日→23日
◆会場 池袋あうるすぽっと
◆作・演出 滝 一也
◆音楽・歌唱指導 竹原彰一
◆音楽 加藤理恵 /橘麻美/山崎寛子
◆振付 liberta(安江友和 木戸友香 圖師有希)

あらすじ
メリッサにとって、それは生まれ育ったゆりかごだった。
ジルにとって、それは家族を引き離す監獄だった。

17世紀初頭、大航海時代が終わりを告げようとしていた頃
大西洋に浮かぶ小さな島の港町に、
ジョリー・ロジャーを掲げた黒い船
この島に残る最後の海賊船が戻ってきた。
女海賊の名前はメリッサ。

もともとは海賊の島だったミナリー島。
しかし、ほとんどの人たちが島に安住し、
海賊になっているのはごくわずかな人たちだけ。
そんなミナリー島に、一隻の海賊船が1年ぶりに帰港した。
キャプテン・メリッサの海賊船である。

キャプテン・メリッサの指示によって、
船場に荷物を下ろしていく海賊たち。
そこはジルが店主をつとめる店の敷地でもあった。
他人から強奪したものを降ろすことはできない、
すぐに海賊船に荷物を戻せと、店主のジルからの命令。
すぐさまキャプテン・メリッサがわって入り、
再び荷物を降ろせと部下の海賊に指示をする。
そこで大喧嘩をするふたり。
口でののしりあいながら、
ジルが一番重要なことを言ってないだろうとメリッサに言い寄る。
それはジルがメリッサの姉であるという事実であった。

海賊船の荷物と一緒に、ひとりの少女が降りてくる。
ジルが、女の子も奪ってきたのかと非難するが、
メリッサはいつのまにか船にいたと主張。
しかたなく、上船を許可することになる。

女の子の名前はニーナ。
しかし、なぜこの船にいるのかなど、
素性はいっさい明かされない。

そんなニーナを海賊たちは迎え入れ、
ジルの子供、ナターシャとイブも友達として接していった。

じつはナターシャには特別な力があり、
風やいろいろな気配を感じるとることができるのだという。
そんなナターシャを気味悪がる子供たちも多く、
彼女には友達がいなかった。
「だから、友達になってほしい」と、
海賊ボージからその話しを聞いたニーナは、
「風と話せるなんて、素敵なこと。友達になってほしいではなく、
もうすでに友達」と笑顔で返す。

ある日、突然「この町に料理の格付けをする人物がやってくる」
という話が話題になる。
その人物から星をもらえば、お店は大繁盛間違いなし。
そう考えたジルたちは、
新しいメニューを四苦八苦で考え出す。
そんなこんなでドリアになる。

ナターシャに嫌悪感をもつ、カカオ、チョコ、ココアだが、
ダンスを披露することから、じょじょにではあるが、
仲違いが解けていく。

店を改装したり、あらたに釜戸を作ったりと、
海賊と子供たちが一緒になって、楽しい毎日が過ぎる。

深夜、姉のジルは妹のメリッサに、
自分と一緒に暮らさないかと語りかける。
毎回海賊船で旅立ち、いつ帰ってくるのかわからない、
妹のことを心配し続ける、姉の気持にもなってみろ。
その話しに、なんとはなく、メリッサもうなずく。

料理の格付けをするミシェランがようやくお店に到着。
どうやら、このお店の名前は「ピンク・ピンク・マーメイド」らしい。
とにかくも、メインディッシュの「ドリア」は高評価を得て、
一つ星を獲得する。

その過程で、ジルは衣装替えをするのだが、
そのあまりにも不思議な姿に海賊たち、子供たちは大笑い。
屈辱的に思ったのか、腹がたったジルは、
海賊船に白いペンキで「バカ」の落書き。
怒ったメリッサは、店のテープルクロスを引き抜いて、
皿やフォークを散らかす行動に出る。
さらに怒ったジルは、
海賊の誇りでもある海賊旗「ジョリーロジャー」で、
先程書いたペンキを消そうとして、海賊旗が汚れる。
またまた怒ったメリッサが、
今度は店に飾っていた絵画を粉砕。
またまた怒ったジルが、三叉の矛を持ち出し、
海賊船の船体に突き刺す。
さらに怒ったメリッサは、海賊船に乗船し、
砲台からついには大砲を放つ。
弾は、店からは外れる・・・
なんだかんだで、
メリッサはジルと店を一緒にやっていく決意を告げるのであった・・・

そんな中、突然海賊のボージが倒れる。
すぐに医者のドリーが手当てにあたるが、
診断した結果、病名は「マリー病」
難病で、いまだに治すことができない病とのこと。
しかも、一番重要なことは、空気感染をする病気で、
感染力が高いらしい。

医者の立場として、
感染を広がらせない為に地下室に隔離すべきと主張。
そのことに反発したメリッサは、ボージを海賊船に運ばせる。
ボージは長年付き添った仲間。
「地下室に閉じ込めさせるものか!」と、ドリーに言い返すメリッサ。

その時、ニーナが告白する。
自分のせいだと。
自分は、他の島で「怪物」と称され忌避され、隔離されていた。
ある日、目覚めてみると、自分の体が拘束され、
顔にスッポリと装束をかぶった人々に担がれていた。
そして、海賊船に運ばれていたのである・・・
「これで安心」
運んできた人々の声が聞こえた。
それは、まぎれもなく、自分の父親、母親であった・・・

それを告白するニーナであったが、
ボージは、ニーナのせいではないと否定する。
昔、南の島で派手なトカゲを食べたせいだと。
だから、ニーナのせいではないと。

医者のドリーが、医者の掟として、
人々の命を守るために、村人にそのことを伝えてしまう。
そして、当然のことながらジルの店に村人たちが押し寄せる。
もちろん、感染者、感染源の人間を排除しろと。
メリッサは決断する。
ニーナを海賊船に乗せ、航海に出ると。
仲間の海賊たちも、喜んで受け入れ、出航の準備にとりかかる。
これしか方法がない・・・

通路を塞がれ、店に入ることのできない医者のドリーが大声で叫ぶ。
東洋の島に、マリー病を治せるかせしれない薬草が生えていると。
ナターシャも不思議な力がそれを感じとる。
その薬草が生えているかもしれない島。
その方向をメリッサに伝える。
本当はニーナとともに海賊船に乗りたかったのだが、
母であるジルに止められていた。

感染をおそれ、家に閉じこもっていた子供たちも、
ニーナの旅立ちのため、見送りに訪れる。
メリッサは言う。
「いってきます」
ジルはそれに答える。
「いってらっしゃい」


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