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くまがや子どもミュージカル「ミュージカル・あたたかい心」2010年観劇感想

満足度星星空星空星空星
公演時期 2010年3月27日
会場 熊谷市立文化センター文化会館
脚本 長峰街子
演出 青砥洋
音楽 藪内智子
総合指導・振付 霜島愛生
歌唱指導 門井友紀

あらすじ

各地を回って人々を幸せに導いていらっしゃるハッピー提督。 ついにわが町に。 大人も子供もお大騒ぎ。 町の人はみんな一丸となって歓迎の準備。 ハッピー提督が到着。 子供たちにあることを質問します・・・ (パンフレットより一部抜粋)

感想

満足度、5星満点中の2星ですが、 私としては高評価。 初の市民ミュージカル、初演、ということもあって、 1星ぐらいだと思ったのが2星は大きい。 しかもこれが底辺で、あとは上にあがるだけですからね。 チケット代が1000円というのも非常にリーズナブルで、 これも満足度に含まれています。

市民ミュージカルの初演ということで、とても楽しみにしていました。 市民ミュージカル観劇というと、POWER for the PEACE以来でしょうか? 観劇感想は書いていませんが、「憲法ミュージカル」もあったかな? バックアップ・サポートは「児童劇団 大きな夢」 いつか観ようと思っていましたが、今回が初ということになりました。

演目は「ミュージカル・あたたかい心」 初演をおこなう時はこの演目が多いとのこと。(パンフレット記載) なるほど、悲喜こもごもあって、バランスがいい脚本。 いじめるキャラ、いじめられるキャラ、起承転結。 初めてミュージカルや舞台を観る人にしてみれば、すごく安心なお話。 子供からお年寄りまで無難に観られます。

熊谷市立文化センター文化会館は500席のホール。 意外と広い。 およそ7~8割りの入り。 初演にしては多いと思います。

観劇感想ですが、 物語の内容がどうこう言うレベルではないので、 そこは割愛。 童話、おとぎ話の世界ですから。 そこでツッコムことはありません。 友情、家族愛、それでいいと思う。

で、舞台の出来ばえですが、 初演にしてかなり頑張っている。 もっとグダグダなのかと思いましたから。 今まで山ほどグタグタの舞台を観たことがあるもので・・・ それに比べたらそうとう上出来。 セリフがつっかえる部分があるのは仕方ありませんが、 セリフを忘れることはありませんでした。 ここはけっこうすごいと思います。 テンポ良く、流れも早く、違和感無く舞台が進行していきます。 ここも良くやっていると思う。 流れが途中で止まって、グタグタになることすらありますから。 それが無い。 予想以上に良いでき。 もちろん、「大きな夢」スタッフの指導もあるとは思います。

ミュージカルではあるけれど、主体は演技。 他の子も演技がほどほどにできるので、 大きな違和感は感じませんでした。 みんな良くやっていますよ。 ダンス、歌は、まだまだですが。 ダンスはともかくとして、歌はこれからもっと頑張ってほしい。 まともに聞けるのが、主役の小鮒莉紗ぐらいですから。 ミュージカルとして、歌は最重要なので、 これからそこを頑張ってほしい。

地方の市民ミュージカルでも、 実力ある子、期待できる子、たくさんいますね

ローラ役の小鮒莉紗

地元メインの市民ミュージカルということで、 とにかくも主役が気になります。 他の子には申し訳ないけれど、主役がこけたら皆こけますから。 その主役である、ローラ役の小鮒莉紗(中1) う~~~~~ん、この子、ちょっとうますぎる(笑) ひとりだけ別格。 間違いなく下地はあるでしょうね。

表情付けが他の子と全然違うし、舞台上でじつに落ち着いている。 セリフ口調もうまい。しゃべりがしっかりしている。 歌はまずまずですが。 ルックス的には中村裕香里のような雰囲気。 派手な演技ではなく、地味な抑えた演技がひじょうにいい。 東京のミュージカルだと、ど~しても派手なイメージの子が多く、 泥くさい子が少ないのですが、この子は稀有な例。 チラシ写真より全然かわいいし、華もある。 間違いなくエースでしょう。 というか、他の子と差が激し過ぎますが。

このローラ役もいい。 貧しい環境で、クリアという妹思いの優しい姉という役柄。 本当に落ち着いて、表情もいいのですが、目配り、訴えかける瞳もいい。 衣装替えでのイメージ変化は、彼女の華をもっと光らせる。 やや誇張された演技で、演技演技している感はありますが、 他の子が素人レベル全開なので、彼女ぐらいがしっかりしてないといけない。 そのぶん、この誇張された演技も違和感無く受け入れることができました。

何度も言って申し訳ないが、主役レベルは小鮒莉紗でないと厳しい。 ただ、そればっかり言っていると期待も発展性もないので、 対抗する子や、次世代の子が次からもっともっと頑張らなければならない。 ここ数年は彼女が主役で問題ありませんが、毎回すぎてもね。

姉に寄り添う妹のクリアには、本澤梨乃(小3)

超大抜擢でしょ。 とにかくも、頑張ったとしかいえない。 たどたどしいセリフでしたが、よくセリフを暗記しました。 ただ、大役をやったのだからさらに頑張って上を目指さないといけない。

少年役、エミルには小鮒恵梨(小5)

市民ミュージカル、しかも初演で、少女が少年役。 けっこう難しいと思います。 ただ、彼女は背が高いこともあって、なかなか味のある良い演技をします。 セリフはまだまだたどたどしいですが。 これから成長していくと面白い存在。

同じく少年役の、リッチに新井汰実(小2)

演技的に、それほどうまいわけではない。 ただ、コメディチックな演技は、場内をわかせていました。 これからさらに稽古を積むと、この劇団にとって良いスパイスになる。

リリー役の中村芽栄(小5)

みんなのリーダー的存在。 小鮒莉紗をのぞけば、彼女が次に演技ができると思う。 彼女も落ち着いた演技。 存在感あるし、セリフ口調もしっかりしています。 雰囲気的には武田めぐみという感じかな? 実力は遠く及びませんが。 化粧がやや濃かった印象がしないでもない。 「女王様遊び」としての女王様、雰囲気はじつによく似合いました。 いじめる側になるところもいい。 やはり、小鮒莉紗の対抗しては彼女ぐらいの実力が無いと、 まだ他の子ではつらいと思います。

イジル役の藤原夢美(小5)

開演前に登場し、前説をこなしていました。 彼女も落ち着いた演技。セリフもしっかりしている方。 お嬢様かつ、かなり強めに小鮒莉紗をいじめる役。 意地悪な感じがかなり出ていたので、よくやっていると思います。

イアナ役の新井花菜(小4)

性格はのんびりでおっとりという役柄。 どちらかといえば地味な存在。 私はけっこう彼女の実力をかっています。 取り立てて演技がうまいわけではない。 小鮒莉紗にはまだ遠く及ばないし、中村芽栄と対抗できるわけでもない。 ただ、彼女には期待感、未知な雰囲気がある。 自分の出番以外でも表情をよく作っているし、笑顔もいい。 いずれは彼女あたりが大役をつとめないと。 稽古を積んで彼女が成長すると、非常に面白い存在になると思う。 歌は・・・もっと頑張ってほしいかな。 ただ、このメンバーとしてはキーポイト。 大事に育ててほしい。

総括

児童劇団「大きな夢」のサポート体制は凄いと思う。 これを各地方でやっているんでしょうね。 その姿勢には、私も頭が下がります。 初演なのに、普通のミュージカルと違和感ありませんでしたから。 音楽、照明の設置等もしっかりしていたゆえんでしょう。

小鮒莉紗の演技は本当に光ります。 なかなか見応えありました。 演技だけで考えれば、かなりの実力者。 ただ、有名どころの舞台ですと、小鮒莉紗クラスの実力者は山ほどいるし、 さらにその中から選抜オーディションですから。 特にダンスレベルの違い。これだけは仕方ないと思います。 演技、歌は天性のものがあります。 素人レベルで、ヴォイストレーニングをしていなくても、 うまい人はうまいです。 ただ、ダンスはそうはいかない。 稽古量。 これに尽きる。 大手ミュージカルとの一番の違いはそこでしょうね。 市民ミュージカルと単純に比較はできませんが。

小鮒莉紗にしてみても、 他の有名な舞台だと、みんなが実力あるので目立たなくるかもしれません。 それだけ有名どころは大変です。 とはいえ、なんといってもまだまだ初演ですし、 稽古を積んでいくと、本当にみんな変わります。 歌なんて1年で一気に変わるほど。 もし予定が会えば、また観に行きたいですね。 他の子のレベルアップも楽しみです。 東京の大手公演のみならず、 地方の公演にも目を向けること。 このご時世、すごく必要だと思う。 それこそがミュージカルの底上げになるのではないか?と強く思いました。

※敬称略
キャスト表