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南青山少女歌劇団「憑いてますか」

満足度星星星星空星
公演時期 1994年8月1日~14日 
会場 銀座博品館劇場
プロデューサー 浅野啓兒 伊藤功
原作 池沢理美
脚本 水野麻理
構成演出 知念正文
ダンス構成演出 TONY TEE
音楽監督 杉山卓夫
作曲・歌唱指導 マーク
作詞 松本一起
舞台美術 島川とおる
舞台照明 湯浅康正・渡辺和泉
音楽制作 森康哲
音響 大沢勝・二見政人
衣装プラン 岩倉めぐみ
エグゼクティブ・アドヴァイザー 石ノ森章太郎

あらすじ

幼なじみの「よーにーちゃん」を人気俳優、広田陽一だと信じている、 どこにでもいる普通の少女、桃子。 彼を生で見たいというただそれだけのために、タレントオーディションを受けます。 落ちるはずでしたが、食中毒で死んだスーパー女優「河島アンナ」の霊にとりつかれ、 なんと合格。芸能界デビューとなりました。

ところがアンナがとりつく時と、とりつかない時では桃子の演技力が二転三転。 周囲を困らせます。 桃子はそのことで傷つき落ち込み、ついにアンナと対立。 自分自身の力でやると意気込みますが。

観劇感想

銀座博品館劇場で、2週間に渡って公演された、南青山少女歌劇団の舞台です。 南少初の漫画原作のミュージカル。 原作を読んでいないのでなんともいえませんが、舞台は素直に言って面白かったです。 コンビニのような学校帰りのシーンあり、「キャッツ」のようなシーンあり、 ラジオの公開録画っぽいシーンもありで、内容的にはとても楽しめました。 毎回ゲストが来るのも良かったですね。 ちなみに、ニッポン放送40周年記念という意味合いも含まれているようです。

博品館は舞台と客席との距離が近いので、ありがたい。 出演者の表情が本当にハッキリ見えます。

ミュージカルナンバー

曲としては「Get up soul 憑いてますか」が一番好きですね。 明るく元気になる曲だし、南少メンバーが一同に集まり、 舞台いっぱいにダンスを魅せられる、これですよ!

「大人になるって」「スター誕生」もいいですね。 大越さんの微妙な表情変化が冴えわたります。 「大人になるって」の方は作詞も素敵。

気になった役者

主役、山下桃子役の大越史歩

もぉ~最高にすばらしい! 桃子の性格をバッチリつかんでいる。おそらく相当研究、努力をしたことと思う。 そして得意の表情の変化。七変化以上の多種多様に渡る表情でした。 そりゃみんな惚れますよ、大越史歩に。 やるやるとは思っていたけど、 ここまで自然な演技ができると文句のつけようがない。

桃子という役は、ある意味普通の女の子。 その普通さを出すのが難しいはずなのですが、大越さんの研究の成果でしょうか、 まったくもって自然な演技。感服いたしました。

歌はちょっと厳しかったけど、なんとか頑張りました。 初めての長丁場でしたし、どうセーブするとか、わからないですよね。 個人的には、大満足でした。 彼女の演技を観るためだけに何回も足を運んだと言っても、過言ではない。 この当時は当サイトの演劇大賞とかしてませんでしたが、今だったら間違いなく年間のMVP。

河島アンナ役の駒崎香織

スーパー女優役、ある意味お嬢様役なので、 またしても彼女の実力を発揮できる役です! 期待を裏切らず、とても良い演技でした。 霊なので、あまりダンスシーンに登場することは少なかったかな。 でも、演技は前回に比べると本当に自然な演技になった。 やはり前回は主役のプレッシャーがあったかも。もちろん経験を積んだ上での今回の役柄に挑戦、成長した証でもある。

紺野良太役の菊沢美和

う~ん、少年役バッチリです! 残念ながら得意のダンスシーンを見せる場面が多くはなかったけれど、 演技、そして歌で観客を魅了していました。 少年役があそこまでハマルとは正直思わなかった。 あるていどの出来は期待していたけど予想以上。 桃子(史歩)とのかけあいの歌は、とても印象に残りました。素晴らしい。

大西玲香役の世永亜美

前回に続いてのお嬢様役ですが、前回の役とともにまた新たに研究したのか、 さらに磨きがかかり、とても素晴らしい玲香役となってました(笑) そうとう努力したことは疑いない。彼女も研究熱心なタイプだろうな。

ダンスも良くなりましたが、もっとも良くなったのが歌唱力です。 今回ソロの部分もあるので、どうかな~と思っていたのですが、 すごく上手になっていたのでビックリ。 そうそう、重要なこと! 色っぽさも倍増!

ハチロー役の坂爪加奈 堀川由理

どっちが良かったと言われても、う~ん甲乙つけがたい。 それほど、どちらかが秀でていたという場面は無かったと思います。 自然な演技としては、やや坂爪さんの方かな? やっぱりそれほど差はないかな? ダンスシーンなんて、二人とも同じくらいステキでした。

広田陽一役の西條由利香

ムチャありすぎでした。背が低いし、無理して高いシューズ履いてるし、全然男子に見えないし、歌もいまいちだし。

不平不満とか、本当は言いたくないのだけれど、 この人選だけはちょっと納得いかないです。 もちろん、本人が頑張ってるのはわかります。でも、ただ頑張るだけでは。 ここだけなんか学芸会のノリって感じになってしまうんですよ。 少なくとも菊沢さんがあれだけかっこいい男子を演じてるんだから、 そのくらいはやってもらわないと。ちょっとつらい感想だけれど、そう感じてしまった。

アンサンブル 湯田美央

『放課後のトワイライト・シュート』から注目していました。 彼女も表情の付けかたがうまいんですよね。 掃除のオバサン役として、 「Get up soul 憑いてますか」のナンバーの前で出てきます。 ただ、不評だったのか、日程の後半ではその出番が無くなってしまいました。残念。 じつは彼女「放課後のトワイライトシュート」以外ではこれが最後の舞台だったんですよね。演出の都合上いろいろあるのは世の常。

ネズミ役の久積絵夢

最近ダンスを見せる魅せる舞台が少なかったので、 ようやくにしてその本領が発揮されましたね。 ハチローとのダンスとか、とってもよかったです!

総括

舞台自体はとても楽しめる内容で、大満足です。飽きるところがなく、舞台を集中して観ることができました。 特に平日は人が少なかったので、けっこう最前列で観れました(笑) 大越史歩の大活躍と言っていいでしょう。

※敬称略
キャスト表