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エターナルファンタジーはファミリーミュージカル公演サイトです。

白雪姫ゲーム(ファイヤー・クラッカーズオリジナルミュージカル)感想

満足度星星星星空星
公演時期 1994年7月~8月
会場 カンダパンセホール・他
脚本・演出 犬石隆
作詞 森田等
音楽監督・作曲・編曲 玉麻尚一
作曲 金子貢
イメージ・ソング 小椋佳
振付 関根玲子
美術 斎木信太朗
照明 高見和義
音響 百々喜久
衣装コーディネイト 平塚隆
舞台監督 斎木信太朗

あらすじ

裕福な家庭に育った中学生の萌。 パパが死んでから、ママは会社経営で大忙し。 家庭のことを気にする時間さえありません。 夏休み。妹の茜や、空想好きな友達とともに山の別荘へ過ごすこととなります。 でも、なんだか怪しい雰囲気。

大きな鏡、怪しい目つきの小間使い、不気味な年老いた下男、謎の少女。 ビクビクしながらも、空想好きな女の子たちは、自分たちの夢の話に夢中になります。 そこへ萌の母親が帰ってきます。でもなんだか、いつもと違う感じ。 ひとり、またひとりと、友達が消えていきます。おとぎ話のように、萌を助けてくれる王子様は現れるのでしょうか? (パンフレットより一部抜粋)

観劇感想

再演希望

もし、もう一度再演できるのであれば、ぜひこの舞台を観て見たいです!

それだけ素晴らしい、完成度の高い舞台でした! 脚本、演出は犬石隆さんですが、最っっっ高に良かったです! 犬石さんの作品は何度か観たことがあり、 ただ単に比べることはできませんが、 それでも自分の中では、ベスト5に入るほどの出来だと思います。

今回の舞台、残念ながらダンスシーンは多くありません。 ダンス目当てって人には不向きかもしれません。 でもそれを補って、なおあまりある演技や演出が素晴らしい!

ファミリーミュージカルにあるまじき恐さの演出

この舞台を語るには、なんといっても怖さ! この演出は凄いです! 最初は、ちょっと子供じみてるな~と思っていたのですが、 舞台に集中するごとに怖さが増していきます! 子供ミュージカルでこんなに怖い雰囲気になったことは初めてでした。 というより今の今までない。

近くに小学生ぐらいの女の子がたくさん観ていたのですが、 みんなおびえて涙ぐんでいました。 大人の私でさえ怖いと思ったのですから、 子供たちは相当怖かったと思います。

前半や、途中途中に明るい場面もあるのですが、基本的には暗い雰囲気。 最後の方は本当にドロドロした雰囲気になります。 だってどんどん女の子たちが消えていっちゃうんですから。 ある意味「13日の金曜日」のよう。 ここまでやるとは思いませんでした。めちゃくちゃ怖かったです。

あっと驚く、最後の大どんでん返しも良かった! そして、そのギャップに笑えました。

ファイヤークラッカーズ

というのはパンフレットの文を抜粋させていただくと、 アルゴ・ミュージカルキッズの中で、 さらに選ばれた子供たちの総称みたいなことを書いてあります。 それに嘘偽りないですね。この舞台の役者さんたちは、本当に凄かったです。

ミュージカルナンバー

ミュージカルナンバーでは、「お気に入りのファンタジー」が一番好きです! 犬石さんの作品では曲調の長いナンバーが多いのですが、 この舞台ではたぶんこれだと思います。 ひとりひとりの自己紹介も兼ねているで、観客の人にはわかりやすいです。 歌いやすさ、そして、いつのまにか頭に残っているフレーズ。なにもかもいいです!

もうひとつ好きなナンバーは「鏡よ鏡」 この作詞がいいんです! 「大人の入り口で、大切な本を見失い、初めて気づく 宝物」 なんて、クゥ~ときちゃいます。 いや、本当にいいですよ、この曲。

舞台が終わっての、テーマ曲のサービス(?)も良かったです! 音楽テープのプレゼント。これは本当に貴重。 アイドルっぽい曲で、舞台のイメージとは激変。 この曲は覚えました(笑)

気になった役者

主役、萌役の木内麻里

アルゴの「パパ・アイ・ラブ・ユー」で主役を演じたり、 「アニー」や「大草原の小さな家」等で活躍しており、 超ベテランと言っていいでしょう。

私的には、やはり「パパ・アイ・ラブ・ユー」のアイミ役の印象が強い。 すごく美人で、活発的で、明るい女の子というイメージ。 今回の役は、活発とはいかないまでも、けっこう前向きな女の子の役でした。

生で彼女を観るのは初めてだったのですが、輝くオーラが凄かった。ビデオで観た時の衝撃もありますが、生だとさらに迫力が増します。 演技も本当に素晴らしい。 滑らかなセリフ回しがとても心地いい。 歌もなかなかいい。練習、努力の跡がすぐわかる。 ミュージカルナンバー「鏡よ鏡」の訴えるような歌いかた、私は好きだな。

萌のママ役、茂木グレース美香

背が高いので、とても高2には見えませんでした。 母親役もバッチリハマッテいて、凄すぎ! おそらく誰もが大人の役者さんだったと思っていたことでしょう。

演技的には、この中でナンバーワンだったと思います。 歌も上手いです。クネクネッと体を揺らしながら歌うところがあるんですけど、 顔の表現力、そして歌の表現力がじつにマッチしていました。

ドロシー役の岸田有子

ダンスがとってもうまいのですが、 今回の舞台はダンス自体が少なかったのでちょっと残念でした。 でも、その存在感は大きかったですよ。 萌に続いて積極的な女の子の設定だったため、 気の強いドロシー、インパクトありましたね。少女ですけどワンパク小僧的な感じ。じつに前向き。

ピーター役の前田裕未

う~ん、一番男の子っぽい役で目立っていいはずなんですけど、 ちょっと印象薄かったです。 コミカルな演技とか、ボケボケした演技とか面白いところはあるのに、 なんとなく薄れてしまってもったいない。

マチコ役の染谷妃波

言うまでもなく、彼女もアルゴのベテラン。 ユニークなキャラはお手の物って感じですね。 またまた今回も(?)ハマリ役っていうか、本当に演技が上手です。脱帽です。 最後のどんでん返しには笑いました(笑)

伊東とのナンバー「我々って」は、すっごくいいですね! 物語が深刻で佳境にさしかかったところであの曲、やられました(爆) あの部分は「私が主役」って感じで歌っていて、 観ているこちらはなんとも言えない雰囲気になります。 ダンスも、このナンバーでは結構ありました。見応えあります!

伊東役の檜山愛子

さん。 いや~本当にご苦労さまです(笑) あまりエンディングをばらしたくないので、詳しいことは言えないんです。 でも、最後のどんでん返しは、本当に驚きました。 たぶんそうだろうな~とは思っていたけど、ずっとあのままですから。 裏の主役が彼女であることは、言うまでもない。

オーロラ役の斎藤絵里子

個人的には一番好きな役です。 ボケボケッとして、不思議な魅力を持つ女の子。 それがオーロラなんですけど、とっても彼女にピッタリ(?)な役でした。

アリス役の出井裕子

この時、ミュージカル初出演だそうですが、う~ん、イメージあまりないな~ 悪くはなかったような気がする。ちょっと表情が固かったかな?

茜役の斎藤由香里

明るく元気な茜、そのまんまです(笑) ハキハキとした表情は、本当にいいですね! 暗さのあるこの舞台で、その笑顔に何度救われたことだろうか。 演技的にもしっかりしていました。 声量というか、たんなる大声というか。 とにかく、大きな声はいいことです。 元気があってよろしいって感じ。

瞳役の牧島沙織

アルゴのアイスクリーム応援団では小さいながらも主役をやっています。 その実力通り、この舞台でも存在感はピカ1でした。 演技、めちゃくちゃ怖いです(笑) 「遊ぼ!」というフレーズだけで、怖さを伝えられるのってなかなかないですよ。 相当苦労したことだと思います。

総括

怖かった。そして面白かったに尽きますね。 冬はまずいですけど、ぜひ夏の舞台でいつか再演してほしいです! これだけ怖さを伝えられる子役ミュージカルってないですよ。 まぁ~でも客層が難しいかなぁ~ 怖すぎると子供たちが泣きだしかねないですから。 ぜひ、もう一度見てみたい舞台です。

※敬称略
キャスト表