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アルゴ・ミュージカル「Sing for You, Sing for Me.」

満足度星星星半星空星
公演時期 1995年7月~8月 14都市 28回公演
会場 五反田ゆうぽうと・他
企画・原案・音楽 小椋佳
演出 岡田敬二・滝澤辰也
脚本 平野恵子
音楽監督 甲斐正人
歌唱指導 長田明子
作詞 中村一徳
振付 川原あけ未・松岡優子
美術 斎木信太朗
照明 勝柴次朗
衣装 任田幾英
音響 百々喜久

あらすじ

なにかにつけて、無気力の少年、高村大祐(ダイスケ)。面白いことと言えばゲームくらい。なにかとてつもない冒険をしたい・・・

大祐のクラスメイト、西条美香。お金持ちのお嬢様で、一見、何不自由ない生活に思える。でも、美香の心はいつも寂しかった。父も母も仕事で、ほとんどうちには帰らない・・・

そんな二人の前に、トランクを持った少女が現れます。少女の持っているトランク。それは不思議な世界への入り口でした。

観劇感想

全体的な感想として、今までのアルゴより子ども向けかな?という気がしました。それもそのはず、今回は初心に戻るということで、アルゴ初回の演出家さんが、手がけたためのようです。

内容的には、無気力な少年と世間知らずのお嬢様が、見ず知らずの世界に巻き込まれて、幾多の困難を乗り越え、人間的に成長していく・・・という形です。

初めのオープニングは、いかにも!という子供向けの出だし。子供の心をつかむのには最適な演出ですね。

『誰もがアルゴ』の歌とともに、役名と性格を観客に伝えるというやり方は僕は嫌いじゃないです。しかし、意外にダンスシーンはあまりきれいじゃなかったかも。レベルの違う子がいたりして、バランスは悪かったと思います。特に一番最初の場面なので、印象に残りやすいんですよね。

現実世界をやや地味に設定して、不思議な世界を派手にしていました。『不思議の森』の場面では、不思議の世界の住人たちが現れて、歌い踊ります。ここの演出はとても綺麗ですね。

ハテニャのシーンは・・・かなり子ども向けでした。 やはり、観ているこちらは正直恥ずかしい気持ちです・・・お子さんたちは楽しめたかな?

子供たちに教訓をたれるという場面もあります。『七つの掟』という、ナンバーです。ちょっと説教じみているところが、たまにキズですけど(笑)まぁ、子供たちはあまり深く考えていないでしょう。たぶん、親御さんに向けてのメッセージだと思います。

起承転結の『転』の部分として、ドゥ-ドゥ-という男の子が死にそうになります。内気な少年を変化させるための『お約束』的な場面ではあります。

ただ、生き返らせる方法がアルゴ的。森の精霊に対する感謝の気持ちをみんなで歌うのです。歌うことが苦手な少年が、その子を救うために必死になって歌いあげる・・・なかなか良いと思います。見えないものに感謝する気持ち、それが大きく表現される場面ですね。

気になった役者

主役の高村大祐役の手塚宏樹

ひょうひょうとした演技が得意の男の子ですね。ただ、前も(アイスクリーム応援団)もこんな感じたったので、なんとなく似た印象を持ってしまいました。演技がうまいのか、ヘタなのか、微妙なところです。歌は、やっばり苦手なのかな?

西条美香役の久積絵夢さん、樋口智恵子さん

これは二人とも抜群でしたね。南青山少女歌劇団で活躍されていた絵夢さんは、歌も演技も、そしてダンスもすばらしかったです。
特に歌い方。聞き惚れます。演技は、なんか地のような気がしないでもない(本人の性格は知りませんけど)表情の付け方はうまいです。

樋口智恵子さんは、絵夢さんに比べると、歌は負けてしまいます。声量は、やはり絵夢さんの方が上。でも、演技はしっかりしていましたよ。そして発音も。

彼女の育ちも、本当にお嬢様なんですよね。そのへん、なんかダブらせて観たのは僕だけでしょうか(笑)『七つの海のティコ』という舞台でも主役をやっていて、その時はまだ荒削りでしたけど、今回観て、すごく落ち着いたな~というのが印象的でした。まぁ、当たり前と言えば、当たり前なんですけど。

ドゥドゥー役の赤羽瀬里菜ちゃんと、加賀千尋ちゃん。

これは甲乙つけがたい!二人ともに、力強い少年の演技をこなしていました。この年代だと、観客の子供たちも、本当に男の子だと思って観てるでしょうね。

タム役の倉沢桃子ちゃんと鈴木綾ちゃん。

これも甲乙つけがたいですけど、演技、歌ともに、やや綾ちゃんの方が上かな?ただ、綾ちゃんの演技は、本当に演技演技しているので(←意味わかるかな?)ちょっとクセがありますね。鼻につく人がいるかもしれません。これは好きずきですけどね。桃子ちゃんはバランス良くまとまっている感じでした。

ヤオチチ役の檜山恵理子さんと河合篤子さん。

こちらも二人ともいいですね~個人的に河合篤子さんの雰囲気が好きなので、河合さんの勝ちです(笑)冗談はともかく、ふたりとも男性の演技は本当にしっかりしていました。力強く、怪物と戦うシーンも迫力も満点です。

太田彩乃ちゃん、高梨あゆみちゃんは、二人とも本当にダンスが上手です!

丸太の上を歩いたり、ローラーブレードで走ったり、この二人のこは集団の中にいても本当に目立ちますね。

ハテニャ役の米澤モモ、なかなかやる!

あんなにテンションが高くて弾けた役は初めてかもしれませんね。個人的には佐藤夕美子ちゃん、伊東育己ちゃんあたりにもやってほしい役です。歌がうまいし、かつ、そのなかで、きちんとセリフを喋ることができる・・・『ハテニャの歌』は秀逸でしょう(笑)モモちゃんは、本当に笑顔が素敵ですね。

安藤聖ちゃん、大貫杏里ちゃん、伊東育己ちゃん、澤田祥子ちゃん

注目する女の子がでていますが、今回はやや端役でした。もちろん端役でもガンバっていましたけど、やはり僕的には活躍しているところがみたいですよね。

蛇足ながら、この時、笹本玲奈ちゃんが出演。

写真を見ると、かなりふっくらしてますね。この後、『ピーターパン』で主役をやるとは。さすがの僕も予想だにしませんでした。この時の印象は、ハッキリ言ってゼロです。アンサンブルのひとりとして、ちょっと小さくてふっくらした子がいるな・・・ぐらいでした。

総括

やはり、この時のメンバーは、ちょっと子役さんの数が多いですね。そのためにダンスや歌のレベルにばらつきがあったのかも。今にしてそう思います。

※敬称略
キャスト表