公演時期 | 2002年11月6日~10日 |
---|---|
会場 | 東京 シアターVアカサカ |
作 | 元木行哉 |
演出 | 麻丘めぐみ |
演出補 | 保科耕一 |
舞台監督 | 小菅良隆 |
音楽 | JUN |
照明 | 市ヶ谷昌典、皆川紀子 |
音響 | 本村実 |
衣装 | 石原叔子 |
プロデュース | 麻丘めぐみ |
あらすじ通天閣って、建てたの誰だか知ってる? 大阪、新世界に建つ通天閣を舞台に、 昭和18年から31年までに繰り広げられる人間模様。 新世界に住む人々にとって、通天閣は希望の塔でした。 しかし、戦前に崩壊してしまいます。 戦争をむかえ、そして戦後。 「通天閣をもう一度」 生きる気力を失いかけていた7人の商店主たちは、 それぞれの思いを込めて通天閣再建に挑みます。 (パンフレットより一部抜粋) 観劇感想見終わってからパンフレットを見て気付いたんですが、 これは事実を元にして作られたんですね。 なんか「プロジェクトX」のような雰囲気がありました。 あそこまで真面目ではないですけど(笑) 舞台の内容的には、とても面白い舞台でした。 すぐに面白さが伝わるのではなく、 じ~っくり、ゆっくりゆっくり深みを増して伝わってくる感じです。 淡々した日常生活ながらも、 昭和18年から31年までのドラマを、 とてもよくまとめあげていました。 時間内にまとめあげる脚本は、 本当にたいへんだったことと思います。 特に好きな部分は、芳岡さんの面白トークかな~? 本人が、ふわふわぁ~とした感じで喋りだして、 回りのみんなが声を合わせてツッコムところ。 ここはすごく楽しかったです。 話の内容的には、朝鮮関連の部分がでてきたので、 正直ビックリしました。 時期が時期だけに、いろいろと考えさせられる問題ですよね。 このへんちょっと話が重くなりがちですが、 役者さんの明るく元気なパワーで、 一幕ごとにテンションが変わります。 こういうメリハリっていいな~と思いました。 ちょびっとだけ気になったのは、最後の方のシーン。 一木と夏子がようやく再会する場面。そして夏野の葛藤。 ここで、かなりジ~ンとくるんですよね。 その余韻を引きずっての、最後の通天閣完成の場面。 高所恐怖症の勝が通天閣を登り、 展望台から新世界を一望する・・・・・ 最後はこのエンディングがベストであるのは当然ですが、 自分は、夏子との再会の部分でかなり感動していて、 こちらの感動部分に関しては、かなりテンション低かったです。 難しいところなんですけど。 通天閣が完成!と夏子と再会!のふたつの感動部分。 ど~しても、どちらかに偏ってしまう気がしました。 自分の印象的には、間違いなく夏子との再会です。 気になった役者曽我繁雄役の本間ひとし最初は全然目立たない役なので、ビックリしました。 存在感、薄かったです(笑) でも、じょじょに本間節(?)がでてきて、とてもいい感じでした。 星カンタ役の泉拓允カッコイイですね~! 『蒲田行進曲』の銀ちゃん、ちょっと入ってたかな?(笑) 夏野貞二役の高橋一平渋い!そしてふか~い演技でした。 たぶん、キャストの中で、 一番難しい演技を要求されたように思えます。 独特~な雰囲気が良かったです。 古里正雄役の矢部貴将ひとつのことをまっすぐ突き進んでいくという、 向こう見ずな演技、とっても好感もてました! 小田なおと役の芳岡謙二前述しましたが、おかまっぽい演技、ハマッテました! ある意味、惚れた(笑) 柳川吾郎役の元木行哉怖っ!かなり迫力ありました! 威圧感というより、刃物のような鋭さって感じかな? 夏子役の砂田理紗素朴~な感じの雰囲気でした。 前半部分の切羽詰まった表情、 そして後半の吹っ切れたような表情への移り変わり。 この変化が特に印象に残っています。 山本キクエ役の江口ヒロミ惚れた(爆) ある意味一番おいしいキャラでした。 全然関係ないど、元、日本テレビアナウンサーの、 大神いずみさんに似てますね。 彼女がいるからこそ、場の雰囲気が明るくなります。 ちょっと暗めの感じが多いもので・・・・ 曽我勝役の岡田剛義アルゴ等で活躍している男の子です。 今回は勝役と、ナレーション、進行役も兼ねています。 う~ん、僕が観た回は、残念ながら、ちょっとカミカミでした。 大阪弁も、かなり微妙~! まだなんとなく違和感を感じました。 勝君は高所恐怖症ということで、 歩道橋で登る練習をするのですが、 そこの表現がイマイチわかりにくかったです。 必死の練習・・・というところが伝わりにくかった気がします。 演技的には息子って感じ、出てましたね。 お客さんは、おそらく小学生に思えたでしょう。 一木芳夫役の根本泰彦独特な雰囲気をもった役者。 前半部分では主役っぽい感じです。 しみじみ~とした演技が私は好きですね。 総括舞台が始まる前にショートフィルムが上映されるのですが、 私が観た回はアニーズのひとり、 石丸椎菜ちゃんがでていました。 私としては話のオチが中盤あたりで読めてしまって、 ちょっとイマイチかな? 椎菜ちゃんの演技はとても可愛らしかったです。 ベンガルさんが出てるほうを観たかった! エンターテイメント性ある舞台ではなく、 史実に基づいて構成される舞台ですので、 家族みんなで楽しめる、という舞台ではありません。 淡々と進行する舞台。 それなのに、不思議と舞台に引き込まれていきました。 見終わった後に、『面白かった!』と思える舞台だと思います。 見る前、チラシや宣伝だけだと、面白さが伝わってこないですね。 『面白そうだから見たいな~』という感じが、 ちょっと伝わってきませんでした。 この部分の集客力という点に関しては難しいでしょう。 内容的には、NHKの史実ドラマを見ているかのように、 味わい深い、内容の濃い舞台だったと思います。 ※敬称略 |