◆  『リボンの騎士』 2002年

◆公演時期   2002年8月30日〜9月1日
◆会場 新宿文化センター 大ホール
◆原作 手塚 治虫
◆演出、振付 浦辺 日佐夫
◆脚本、作詩 村田 さち子
◆作曲、編曲、音楽監督 青木 政憲
◆作曲、編曲 石川 ハルミツ
◆ダンストレーナー 駒田 順子
◆歌唱指導 大西 啓司
◆照明 吉橋 和彦
◆衣装デザイン 久保田 康子
◆プロデューサー 林 清

あらすじ

サファイア姫は、天使チンクのいたずらのせいで、
男の子と女の子、両方の心を持って生まれました。
さらに彼女には国王の跡継ぎとるために、
生まれた時から王子として育てられる運命にありました。
ところが、自分の息子を王位につけたいと考えている家臣のジェラルミン大公は、
サファイアが女であることを証明しようとして、さまざまな悪巧みを企てます・・・

観劇感想

私が応援している女の子のひとり、
茨木あゆみちゃんが主役ということで、この舞台、たいへん楽しみにしていました。

個人個人についてはあとで述べますが・・・
茨木あゆみちゃんがいいです!
ここまでやるとは驚きです。
『赤毛のアン』(劇団ひまわり)の小川亜美ちゃんを観た後だったので、
かなり心配していたのですが(笑)
まったく取り越し苦労に終わりました。

ファミリーミュージカルということもありますが、
かなり子ども向けな感じがしました。
やはりそのひとつには制約があるんでしょうね。
手塚治虫さん原作のマンガ・アニメですから、そのイメージを壊さないという・・・・・
でも、そのわりには、かなりアドリブ多かったですけど(笑)

原作が長いので2時間30分ほどの舞台では、
そのすべてを表現することはできません。
さすがにいろいろな部分を削ります。
私的に気になったのは、本題の『リボンの騎士』
本来であれば、サファイアは、投獄された島を密かに抜け出し、
悪人を懲らしめるために顔を隠した正義の味方として登場するはずなんですよね。
そこで自ら『リボンの騎士』と名乗ったような気がします。
まっ、この辺りは仕方ないですけど。

それから、ヘケート。
彼女は魔女がつくり出した娘であり、
魔女が死ぬことによって彼女の存在自体も消えてしまう、
そういう意味合いがあるのですが、ここでは説明無し。
ちょっと残念かな。

さらには、歌が、ほとんど説明の歌になってしまうのも残念でした。
自己紹介の歌や、話の経過の歌など。
これも時間の制約上、仕方のないことではあるのですが・・・・・

前半最後の白鳥のシーン。
私的にはあまり好きではありません。
あゆみちゃんが歌っているので嬉しいのですが、いらないです。
あそこはアンサンブルの人を使うがための演出なのかな?
ちょっと不自然でした。

プラッド船長の歌、ここは完全に口パクでしたが、
メナード、ソフィーナ、ノエヴィアの3人が一緒に歌うシーン。
ここも口パク。
3人とも歌が上手い役者さんです。なのになんで?

アンサンブルはたくさんの方が出ていました。
この舞台では、本当に重要な役どころだった思います。
みなさんにお疲れさまでしたと言いたいです。
みなさんの力があってこその舞台だと、再認識させられました。

随所に、時代の風刺も入っています。
鈴木宗男や構造改革など・・・・・
手塚プロダクション的にOKなのか心配にもなりましたが(笑)

この舞台は、アドリブが本当に多かったです。
鈴木宗男とか、田中幸太朗とか、元ガオブラックとか、カボチャパンツとか、
どこの劇団?とか、本当はもっとたくさんありました。

後半、矢がサファイアの胸に突き刺さるのですが・・・
いきなり抜き取って大丈夫なんでしょうか?
ふつうは血が吹き出してしまうため、わざとそのままにしておくのですが・・・・
まぁ、原作がマンガだからいいのかな?

それから、ブラッド船長・・・死んだと思ったのですが、生きてました。
原作はどうだったかな?

気になった役者さんは・・・

サファイア役の茨木あゆみちゃん。

本当に素晴らしかったです。
まずは、歌唱力。
CDの歌もいいですが、生の歌はそれ以上に聞きごたえがあります。
ただ歌っているのではなくて、本当に心を込めて歌っているのがわかります。
声の張りもあるし、声量もあります。
これは、冨田麻帆ちゃんや冨岡真理央ちゃんクラスに間違いなく匹敵しますね。
清水彩花ちゃんに対抗できる日も、本当に近いです。
誰しもがこの実力に驚きました。

次に演技力。
サファイヤは男の心になったり、女の心になったりと忙しいのですが、
あゆみちゃんはこの変化、見事に表現していました。
当然のことながら、声の高さを変えてあります。
男の声は低く威厳ある声。女性の声は高く、穏やかな優しい声。
じつに素晴らしい演じ方でした。

これには、彼女特有の発声の良さも加味されました。
彼女の声は本当に聞き取りやすく、観客の耳にストレートに伝わるんですよね。

それから首の動きが良かったです。
ちょっと言い方が難しいのですが、振り向くシーンや、
ハッと気付くシーンなど、切れがあるし、止めるところはピチッ止まっています。
そういう細かいところがうまく表現されていて、とても見栄えが良かったです。

女性もいいですが、どちらかといったら男性の方が好きかな?
凛々しい感じがいいですね!
もちろん、女性の時の優雅なダンスも魅力的です。

殺陣のシーンはまずまず頑張っていた方だと思います。
蹴りとか、けっこう高く足が上がっていましたから・・・

そういえば女性からの支持が、かなりありました。
これは重要なことです。
これからの活躍にプラスになることまちがいありません。

私のHPのおすすめ女優なので、甘口評価になりがちですが、
今回は本当に出来が良かったです。
あゆみちゃんの代表作となること間違いなしですね!
『ココスマ』のナル役、『GANg』のリリー役、
その当時の面影はほとんどありませんでした。
新生『あゆみ』、誕生です(爆)

フランツ役の田中幸太朗さん。

ルックスは本当にカッコ良いです。
ちょっと蛇足ですが、前に観た舞台で、
美少年という役なのにイマイチな人が出て来て呆然としたことがありました。
やはり、観客は舞台に夢を求めていますから、ある程度ルックスは重要です。

で、幸太朗さん。
初めてのミュージカルということですが、さすがに緊張されていました。
演技もまだまだかな?セリフまわしも、ぎこちない部分がありました。
『歌はいい!』と聞いていたのですが、私的にはイマイチでした。
でも、回を重ねるごとにフランツにハマッテきましたね。
これから頑張ってくれると嬉しいです。

ヘル夫人役の速水けんたろうさん。

言わずと知れた『だんご3兄弟』の歌手、
そして『おかあさんといっしょ』の歌のお兄さんです。
ミュージカル初挑戦とはいえ、子ども向けの舞台をそうとうこなしていますね。
すごく滑らかな演技でした。

イメージを払拭するような悪女かつ魔女。
発声がとても良く聞き取りやすいし、アドリブも全開。
ある意味、今回、影の主役かもしれません(笑)

歌声は本当に抜群!
すばらしいの一言です。
他の舞台でも十分にこなせるだけの実力の持ち主だったんですね。
あらためて感服しました。

『だんご3兄弟』に似た音楽で登場が笑えます。

大魔王サターン役の藤岡宣男さん。

近くにチラシがあったのですが、素顔はとってもカッコイいいです!
オペラ歌手で、とても有名な方のようですね。
カウンターテナーの魅力全開でした。
ただ、子供にはその歌声は聞き取りずらかったかもしれません。
何を歌っているのか、わからない部分もありました。
でも聞き取りやすくしたら、
カウンターテナー歌っている意味無くなってしまいますから、
ここは難しい判断だと思います。

ヘケート役の平澤優花ちゃん。

このヘケートも原作にかなり近いです。

ライオンキングでは、ヤングナラですからね。
その実力は誰もが知るところ。
演技は本当にうまいです。喋り方がじつにしっかりしています。
年齢的にあゆみちゃんの演技に対抗できるのは彼女ぐらいですから、
ふたりの演技のぶつかり合い、観ている自分としてはとても楽しかったです。
ここの部分は、もっともっと観たかった。

ただ、後半セリフが無くなってしまうのが残念。
もっと話にからんでほしかったな〜
それからソロもありませんでした。ここも残念。
彼女の歌も聞きたかったです。
亜麻色の髪の乙女になった時は・・・・・あゆみちゃんより可愛かった(笑)

チンク役の池内菜々美ちゃん。

菜々美ちゃんのチンク。すばらしかったですね!
アニメのチンクが舞台に登場した感じです。
ほんとチンクそのものでした。

演技も抜群だし、セリフ回しもじつにうまいです。
喋り方がまた可愛いんですよ!
惚れた(笑)

歌は・・・マズマズかな?声量はあります。
決して下手ではないけれど、これからもっと伸びそうですから。
過大評価はしたくないですね。

ちょっと気になったのはダンス。
ダンスが下手とかではなくて、振付。
かわいい振付であることは認めるけど、意味わからないです・・・・・
なんだったんだろう?

私的には、もっとサファイアとからんでほしかったな〜

ナイロン役の酒井一圭さん。

百獣戦隊ガオレンジャーのガオブラックです。
前は正義の味方、そして今回は悪役ということで、すごい力の入れようでした。
見ているこちらに伝わってきます。
演技的にも、なかなか良かったんじゃないかな?
ちょっと気持ち入りすぎのところもありましたが(笑)
そういえば、ちょっと猫背気味でした。気のせいかな?

私的には、やっぱり殺陣。
戦いのシーンは迫力ありました。
剣が飛ばされるところもいいし、最後に死ぬシーン。
おそらく、いろいろと考えた上の死に方でしょうね。
気持ちのこもった死に方でした。

ブラッド船長役の古屋暢一さん。

演技的にはワイルダーな役で、とても似合っていました。
カッコいいですね〜!
ダンスもとても滑らかです。
ただ・・・・・歌はなんで口パクなのかな〜?
たぶん歌っても上手いでしょう?ちょっとそこが意味不明でした。

ジェラルミン役の三谷六九さん。

パンフレットのコメントにもあるうように、
原作のイメージを大事にした演技でした。
アニメそのままって感じです。
喋り方も、アニメに似ていましたね。
それから、がに股もたいへんだったと思います。
ずぅ〜っとあんな感じでしたから。

プラスチック役の浅倉一男さん。

ある意味、今回一番美味しい役です。
最初は、ダメ王子、そして後半は凛々しい男性への変化。
この演技力は、とても素晴らしかったです。
ダメ王子の演技は、そうとう研究したんでしょうね。抜群でした。
声に張りがあって、ダメ王子の時のセリフも聞き取りやすかったです。
アドリブもかなり多めでした。

この方はかなりたくさんファンの方がいらっしゃるみたいで、
サファイアが舞台で話を進めているのに、
プラスチックがお遊びで他の演技をしてしまい、
観客の視線がそちらに向けられてしまうことがたくさんありました。
ちょっとそこは、舞台の流れとしては残念です。

后役の荻原加緒理さん。

演技は言うまでもなく上手です。
薬を飲まされて、サファイアが女であることを話している場面は、
とても印象に残っています。それほど自然な感じでした。
さらには歌。ビブラートが効いた高音で、
あゆみちゃんとのかけあいはとてもすばらしかったです。

王様、医者、司祭役の宮本聡之さん。

三役ご苦労さまでした。
ほのぼの〜とした雰囲気の王さま役が印象に残っています。

シャネル公爵、博士役のKumaさん。

落ち着き、優しい感じの公爵役でした。
フランツを見守る暖かさが感じられる演技だったと思います。

乳母役の西山若奈さん。

特徴のある声で、すごく印象に残っています。
これもアニメのキャラに近いのかな(?)
早口でありつつも、しっかりとした口調なので、とても聞き取りやすいです。

ガマー役の菊地敏弘さん。

登場部分はそれほど多くはありませんが、その存在感は圧倒的でした。
なにかプロ意識というものが、すごく伝わってきます。
ガマー役、本当にハマッテいました。
子供たちにも、印象に残ったんじゃないかな?
表情の付け方がいいですし、不思議〜なダンスも見応えありました。

アンサンブルで、細木あゆさん。

アンサンブルではピカイチに目立っていました。
背の高さもありますが、なにより美人ですし(汗)
ダンスの切れ、表情の付け方も目立ちます。

前述しましたが、こういったアンサンブルの方がいるからこその舞台だと思います。

総括

大人からすると、ちょっと物足りないかもしれません。
やはりアニメを知っている人が多いので・・・
ここはやはり、『子供向け』と考えていいでしょう。

ガラスの仮面でいうところの『王さまと乞食』みたいな印象を受けました。
それだけ子供受けすることが最重要という感じ。

しかし、実に新鮮な舞台でした。
新人がかなり起用されているし、その中にベテランもうまく溶け込んでいます。
次へのステップという意味合いも含まれているのかな?


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