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ミュージカル「長靴をはいたネコ」(2000年)観劇感想

満足度星空星空星空星空星
公演時期 2000年11月18日~19日
会場 新宿 シアターアプル
原作 シャルル・ペロー
脚本・演出 末永明光
音楽 いまむら直子
振付 加藤毅・鬼澤未加子・風間弘子
衣装 玉川ひろみ
照明 三田弘明
歌唱指導 中村としや
舞台監督 岡田頼男

あらすじ

これはアイルランドのある地方のお話です。 この辺りには「ネコマフィア」と呼ばれ、 人々に恐れられているネコの一団がありました。 ある日の晩、その一団を追い出された一匹のネコが、 村の貧乏な粉屋の主人に拾われます。

時が過ぎ、粉屋の主人は三人の息子達に、 こんな遺言を残してこの世を去りました。 長男には粉屋を、次男にはロバを、 末っ子のリックにはネコを残すというものでした。 たった、一匹のネコしかもらえなかったリックはがっかり。 ところがこのネコ、ジャン・ザ・キャットという知恵が働くネコ。 ジャンは提案します。 「長靴を買ってくれるのなら、きっとリックを幸せにしてみせる」と。 (パンフレットより、一部抜粋)

観劇感想

至上まれにみるガッカリ感

ナチュラル・エージェンシープロデュース公演です。 本当は書きたくなかったのですが、やはり書かざるをえないでしょう。 友人から「TOKYOアリス」の噂は聞いていたのですが、 事情もあり、観劇するとこととなりました。 まず場所にビックリ! 新宿シアターアプルなんだ~! 次に値段にビックリ! 5000円?高! でも、それだけいい内容ならいいか、 と思いましたが内容を観てガッカリです。

出演者多過ぎ問題

いろいろありますけど、まず出てくる人が多すぎ。 こんなにいる必要ないでしょう? 二役やらせばすむ話です。 ごちゃごちゃと意味の無いシーンも多いです。 シアターアプルの使用料、ばかにならないでしょう? その料金の穴を埋めるために、いろんなキャストを呼んだんでしょうか? そう疑い深くなってしまいます。

有名子役は出演するものの演出が・・・

なにしろ、このチラシを観て、冨田麻帆ちゃんや小高奈月ちゃん、 中野璃奈ちゃん、高橋愛子ちゃん、池澤ひとみちゃんなどが出るので、 きっとすごい舞台になるんだな~と考えた人、絶対多かったと思いますよ。 残念ながら、その期待は裏切られます。

チープなスライドも気になります。 まったく必要ない。 音響も悪いのか、かなり聞きづらいです。 これは問題でしょう。 明らかに、歌の下手な人がソロで出ていたり、実力ある子が端役だったりで、 まったくもって意味がわかりません。

ミュージカルナンバーも意味不明

ミュージカルって、けっこう好きな曲とか覚えるんですけど、 今回の舞台はひとつもありませんでした。 歌詞も最悪。 「ネコジャラ、ネコジャラ・・・・」って何? 「アワアワワワ~」って何? まったく意味不明。歌ってる役者さんも、おそらく詩なんて理解してないでしょう。

最後の方のマジックも無意味。 ほとんど、ぶっつけ本番状態だって聞きました。 さらにはカーテンコール。 するならするで、カーテンコールの曲ぐらいきちんと決めてほしいです。 役者さんたち、みんなドギマギしてましたよ。 最初から、最後までバタバタしてました。

気になった役者

主役、ジャン・ザ・キャット役の金村じゅりや

う~ん、頑張っているのはわかります。 でも、華がないんですよね~ 主役としてのオーラは、まだまだ力不足でしょう。 演技的には、しっかりした口調でなかなか好演なんですけど。 ダンスも、いいんだかよくないんだか、わからない出来。 ちょっと中途半端ぽかった。

イリア姫役の冨田麻帆

あえて、目についた人をあげるとすれば、 やはり彼女と小高奈月ちゃんですね。 それ以外は、う~んって感じでした。 冨田麻帆ちゃんがお姫様役って、なんか新鮮で良かったです。 イメージ的にボーイッシュの感がありますから(笑) 演技的には本当に問題なく、とってもうまいです。 彼女の表情は豊かだし、見ていて飽きることがあまりせん。 歌唱力も、声に張りがあってさすがです。 ただ「アワアワワワ~」は最悪。 なんで、こんな曲歌うの?って感じ。 いい曲歌わせてくださいよ~麻帆ちゃんが歌うんだから。

Q猫(猫マフィアのボス)役の、山本リンダ

たしかに演技はしっかりしてます。歌も上手です。 いろいろな理由で、出る必要はあったのでしょう。 でも、ハッキリ言って最後に出てきて歌を歌う。 彼女の歌謡ショーであったといっても過言じゃない。 あの舞台は、その前座であったという印象をぬぐいきれません。

リック役の久保田武人

イメージ的に黒田勇樹くんに似ています。 演技の雰囲気もそっくり。 しかしながら、印象にはあまり残りません。影が薄かった。 演技はマズマズだったと思うけど。

イザベラ役の柳沼綾奈

可愛らしいルックスでした。 演技もまずまずかな?

ミカエラ役の中野璃奈

ココスマ等で結構頑張っていたので、 彼女に注目していたのですが、 シーンがあれだけでは彼女の実力出せずじまい。 かなり残念。

みかど役の茨木亜由美

彼女も中野璃奈ちゃん同様、ココスマで好演していました。 で、期待していたのですが、その実力をだせずじまい。 あの役では仕方ない。 かけあいとして、月の女王と相対しますが、役、逆でしょう? 彼女が月の女王ですよ。なにより、月の女王のソロが最悪。 絶対に、亜由美ちゃんがやった方が良かった。

クラブネコ役の岡崎桂子

独特のハキハキした声、ここでは抑えてましたね。 クラブネコ、まぁ~またしてもあまり出番は多くはないのですが、 他の人に比べると多かったです。 ダンスシーンもありましたし。 ただ「ネコジャラ、ネコジャラ・・・」の詩は勘弁です。

ダリア役の小高奈月

冨田麻帆ちゃんと彼女が唯一の救いです。 流れるような自然な演技、すばらしいです。 ちょっと小悪魔的にすました表情なんて最高! ある意味、この舞台におけるオアシスと化してました(笑) 歌唱力もしっかりしています。 ただ、その歌唱力に見合った曲が無かったのが残念。

ハリネズミ(夫)役の池澤ひとみとハリネズミ(妻)役の高橋愛子

ふたりともに、この年のモリー役でした。 この二人のみで舞台が進行するのですが、全く違和感がない。 他の人が出てくる必要なし。 それだけ卓越した演技でした。素晴らしい出来ばえ。 セリフ的には、まだまだ、たどたどしい喋りですけど、 その舞台度胸、存在感はめちゃくちゃ大きいです。 冨田麻帆ちゃん、小高奈月ちゃん以外で目立っていたのは、彼女二人ですね。

他にも、西本健太朗くん、安達妃美ちゃん、松弓典子ちゃん、 馬場喬子さん、久保田法江さんが頑張ってました。

総括

近年まれに観る駄作。これだけ一流の子役を用意していながら、こんな舞台が出来上がるのかという、悪い見本と言える。子役も親御さんもいい勉強になったことでしょう。 私は、この舞台2回観ました。 観た人は、この苦労がわかることと思います。 よほどのことがないかぎり、もうこの舞台は観ないでしょう。 一度失った信用を取り戻すのは大変ですよ。

※敬称略
キャスト表