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ミュージカル「月に歌えば~Singin’ in the Moonlight」観劇感想

EWS&FAQミュージカル「月に歌えば~Singin’ in the Moonlight」

月組 満足度星星星半星空星
公演時期 2018/3/28 →4/1
会場 シアターグリーン
BOX in BOX THEATER
脚本・作詩・演出・振付 ハマナカトオル
作曲・音楽監督 守屋由貴

あらすじ

古来より、人間は月に対して、さまざまなロマンを感じてきました。夜空を優しく柔らかい光で照らす月。時には、人を狂わす不思議な魔力を持った天体。神話や文学、歌の世界でも、かぐや姫、狼男からH・G・ウェルズなどのSFまで。
月がもたらす悲喜劇。
人間の心や体、そして地球にも大きな影響を及ぼす月。
人間にとって月とはどんな存在なのだろうか?
(公式サイトより引用)

観劇感想

月組の感想。
休憩無しの2時間強の舞台。
オーケストラピットというわけではないけれど、
生演奏。
その演奏家も、時に舞台にあがってMCもする。
歌のみならず、ダンスもけっこう多い。

内容的には、
とある熟年夫婦の旅行で、「月」に関することで過去を振り返る。
「月」をテーマにしたことで出会った、若かった当時の思い出、
それとともに「月」に関する様々な歴史、社会のエピソードを、
オムニバス形式で展開していく。

結局、月の効果で何か影響されるかどうかは未知数だが、
それによって人間の心理に与える影響が少なからずあるのでは?
と自分を見つめ直す物語でもある。
ようは、疲れた心を癒し、リセットする力なのかもしれない。

のらりくらりとした熟年夫婦の会話かと思いきや、
じつはそれがかなり深刻な話であることが後々明かされる。
スローライフの人生、
年齢を重ねたゆえにたどり着いた一区切り。
若いときに約束していた「月」を見ることによって、
お互い何かに目覚めていく、心温まる物語でした。

月のエピソード


日本のかぐや姫、狼男、魔女、アインシュタン、アンデルセン、H・G・ウェルズ等、
様々なエピソードが舞台上で繰り広げられる。

そもそも昔はロマンチックなテーマとして「月」が語られていたが、
昨今では「月」は科学的にも分析されすぎてしまい、
「星」の方が重要視される。
そのことを思いやっての「月」の舞台でもある。

月のパワー


潮の満ち引きは当然として、
その水の流れからして、人間の体の70%も水分。
人間にも影響があるのだろうか?
新月、満月に出産が多い?犯罪が多い?
科学的根拠は何もないし、
あらゆる生命体、水に関する物に影響するのかは全く定かではないが、
この舞台を見ていると、なんとはなしに「月」が気になってくる。

富野由悠季氏の「ガンダム」なんて、グラナダ、フォン・ブラウン、アナハイム、ルナツー、ムーンムーン、サテライトキャノン、月光蝶等、
異常に「月」が重要視されている。
今考えるととても興味深い。
彼もまたロマンチストなのだろうか?

歌い方の好き嫌い


かぐや姫役だった田宮華苗のアイドル的、ポップスの歌い方。
ここはかなり雰囲気が違う。
やはり俗にいうアイドル的な歌い方とは印象が大きく異なり、
私は違和感を感じてしまった。
声の伸びとかをほとんど感じない。
普通な歌い方。
ところが、彼女はこの歌い方とは違う高音の歌い方もする。
裏声?ファルセット?オペラ?
それは本当に素晴らしい。

楽曲によっても、歌い方によっても印象が大きく異なることから、
カラオケバトルのような機械に審査されることがない、
人間として心地よい響き、
そして歌い手によるパッション、
思いが伝わってこなければ意味がないということを、今もって痛感しました。

この「思い」を伝える歌い方、
それが特に印象深かったのが「道化の顔」というミュージカルナンバー。
この大部分をセリフのように語りながら歌いあげた小林風花の歌唱力は絶品。
本当に素晴らしいの一言。

アインシュタインとタゴールの論争


簡単に言うと、詩人と科学者の論争。
文系と理系の論争とも言える。
月が存在する、存在しないという精神論。
ちょっと面白い。

脱線しますが、これを見た時に感じたのは、
オウム真理教の麻原と部下の会話。
麻原は文系。部下は理系。
とかく理系は答えを求める。
全て計算式には答えがあるから。

だが、いろいろとやっていても答え、解決が見いだせない。
それを麻原に聞くと、文系の彼は即座に答えてしまう。
「徳」「功徳」「ポア」という言葉に置き換えて。
自分が散々悩んでいたことを一発で解決してしまう麻原に、信奉していく・・・
そんなことを思い出しました。

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ピックアップ

  • 今回の舞台は客層は高め?
  • テレビショッピングのかけあいも面白い。クスッと笑える。
  • 全体的に、ほのぼのしたファンタジー色

気になった役者は・・・

基本みなさんプロなので、あくまで私が気になった方。

大泰司桃子 若い時の妻役

男性、女性、見方にもよるが、
男性の私からすると異常に目立つルックス。
芳根京子に似ている。
ちなみにパフレットの写真とは印象度がかなり違う。
髪形のせいもあるのかな?

パッと見の「華」に関しては物凄く目立つ。
なんとはなしに視線が動いてしまう。
スタイルも抜群。
それもあってか、ダンサーの部分では、彼女だけミニスカ。
演出の意図がよくわかる。
間違いなく際立たせたいでしょうね。

歌唱力は普通かな~?
ダンスはなかなか。
なんというか、ちょっとおっちょこちょいな表情をすると、
こちらがドギマギしてしまう感じ。
この雰囲気が楽しい。

表情も豊かで、彼女を観ているだけで集中できるし、ほっこりする。
集客力に関しても重要なるかもしれない。
手放したくないと思えてしまう。
ただ、今回はほぼヒロインということで目立つ雰囲気でもいいが、
これが別の役になった時、この「華」を抑えることも必要となる。
他の演者がピックアップされているのに、自分が目立っては困りもの。
舞台全体においてもバランスが崩れてしまう。
「華」があればあれで、役者として扱いにくくなってしまうこともある。

とはいえ、今回の舞台、私としては強く印象に残りました。

小林風花 月、狼男の恋人役

まず思ったのは彼女の歌唱力。
とにかく素直な歌い方。
歌の上手さについては、聞き手の好みはある。
ザ・ミュージカル的な歌い方、オペラのような歌い方、
ボップス的な歌い方等様々。
彼女は自然。
それが特に顕著なのが、「道化の顔」のミュージカルナンバー。

せつなく、しんみりとしたストーリー。
今回のオムニバス作品の中でも異質。
それをストーリーテラーのごとく、「月」として物語っていく。
悲哀を歌いあげるこのナンバーは小林風花にピッタリだと思う。
独特ではない、自然で素直な歌い方でセリフのような歌い方で、観客を引き込んでいく。
とても心地よい。
ひとりでまとめられる力をもつ。
えこひいきなく、客観的に観ても、今回の舞台での歌唱力はナンバーワンだと思う。
舞台の印象度合いでも、この道化の話しは一番印象深い。

かわいらしく、幼いルックス。
ダンスも素晴らしくとても柔らか。
歌だけでなく、ダンスも、演技面も素晴らしい。
セーラームーンはおまけかな?
これに見合うスタイル維持も大変だったと思う。

狼男の恋人役としても、肉食系女子としてコミカルに演じていた。
真面目系だけでなく、こういったコミカルな演技ができるのも彼女の魅力。
自然に演じられている、そのもの。

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総括

最近は政治のニュースが多いですが、
「月」をテーマにしたロマンティックなこういった舞台を観ると、
心が洗われる。
あまり切羽詰まったものばかり見せられても、心が廃れるもの。
「月」を見て、もう一度自分自身を振り返りたくもなる。

今後は、ミュージカル座の若手主体のコンパクトな舞台も見てみたいところ。

※敬称略
キャスト表