SET「虹を渡る男たち」2015年


満足度
公演時期 2015年11月7日→23日
会場 池袋サンシャイン劇場
演出 三宅裕司
金沢知樹(劇団K助)
出演 三宅裕司 小倉久寛
劇団スーパー・エキセントリック・シアター

あらすじ
かつて作詞家でヒットメーカーだった長本は、
仕事仲間で今や編成局長になった大貫に呼ばれ、久しぶりにテレビ局を訪れる。
世代替わりをしたテレビ局で働く人たちを見ながら、
同時代にお互いの才能を認め合いながら切磋琢磨した熊崎のことを思い出す長本であった。

その昔、長本がアイドルをプロデュースすれば、熊崎はそれを超えたユニットを創りだし、
長本がそれを超える。抜きつ抜かれつのデットヒートが、二人をヒットメーカーにさせた。

しかし、熊崎がプロデュースした“サンデー娘”のメインボーカル、
庄司佳奈が音楽番組でデビューするその日に失踪し、
絶望した熊崎は、芸能界から去ってしまう。
ライバルがいなくなった長本も後を追うように消えていった。

そんな長本に編成局長の大貫は、アイドル養成番組へのスタッフとして参加を求める。
昔の人間が今のアイドルを創れないと固辞する長本に、
もう一人のクリエイターとコンビを組むよう提案される。
なんとそこに登場したのは、ライバルの熊崎だった。

二人が呼び出されたテレビ局では、
発明をテーマにした番組「奇想天外・発明王」の予選が行われていた。
タイムマシンを発明したという予選参加者の久松を誰も信用する者はいない。

編成局長との打ち合わせを終え、テレビ局の廊下でお互いをなじり合う、長本と熊崎。
予選会を追い出され、二人を傍観していた久松は、二人の人生を狂わした、
庄司佳奈失踪の事実を知る手だてを投げかける。
「戻れますよ、あの日に」―
(公式サイトより引用)
観劇感想
劇団スーパー・エキセントリック・シアター第53回本公演。

大まかな流れ(けっこう覚えているのでネタバレ含む)
かつて長本(三宅)と熊崎(小倉)はお互いを競い合うヒットメーカーだった。
長友が斬新なアイドルを作れば、今度はそれに対抗するように小倉が作ると言った感じ。
長友→AKBっぽいアイドルながら、鼻血ブーという意味不明の作詩でヒット。
熊崎→アイドルでありながら、居酒屋のような作詩でヒット(サラリーマン讃歌的なノリ)
長友→年齢をやや上げ、ミニスカートでわざとスカートが上がるアイドル。
熊崎→驚いた時にアイドルのカツラが左右に割れ、ハゲ頭が見えるアイドル。
長友→ももクロの超・年増バージョン「ももいろシニアZふけ組」
熊崎→庄司佳奈ために作ったと言っても過言ではない「サンデー娘」
ところが「サンデー娘」が初めてのテレビの歌番組に出演しようとするその最中、
庄司佳奈が突然失踪。
消沈した熊崎はヒットメーカーを辞め、
対抗の長友も自分がアイドルや歌を作ってきたものが人々のためでなく、
ただ単に熊崎への対抗心であったことに気づき、彼もまた芸能界を去る。

時は経ち、長友はとあるテレビ局の編成局長に呼ばれる。
かつて自分の部下だった人物が局長に昇進していたことに運命の皮肉を感じていた。
どうやら局をあげてアイドルを作るので、手伝ってほしいとのこと。
「若手の方が今の時代をつかんでいるのだから、彼らに任せれば」と言い放つ長友。
そこにライバルであった熊崎も現れる。長友と同じように局長に呼ばれたのだ。
局長は二人で協力してほしいと諭すが会い譲れない二人。
長友にとっては熊崎の存在が自分の運命を狂わせたのだという。
そんな最中、タイムマシンを開発したという謎の博士が番組のひとつ「発明コーナー」に登場。
長友と熊崎は最初は奇人と一蹴するが、未来を見てきたという博士、久松(野添)は、
二人がこれから発するだろう言葉を一字一句間違うことなく同時に話したため、
二人は博士を信じることになる。

庄司佳奈が失踪した時間に戻り、やり直したい。
その願いが熊崎にあった。
過去に戻った彼らの前に、若い頃の彼らがいた。
長友はイケメンで熊崎は若ハゲ。

とにかくも、ふたりは正体を明かし、失踪するアイドルを救うよう説得する。
失踪した彼女の携帯には、
かつて付き合っていて、熊崎が仲を切り裂いた彼氏が自殺したとのメールが残っていた。
5人は失踪の原因である、彼氏の自殺を止めるため再びタイムスリップ
何度も失敗しながら、なんとか回避。
しかし、今度は庄司佳奈のおじいさんが自殺。他殺の疑いもあるらしい。
今度はおじいさんが死なないように過去を変える為にタイムスリップ。
かつてこの土地には町長選挙が行われ、
庄司佳奈と彼氏である純平、双方の祖父が対立していた。
純平側は地元のヤクザも献金でかかわっており、
長友たちは今度はその現場を写真にとり、警察につき出そうとする。
ここで熊崎は真正面で撮り、ばれてしまい、
ヤクザに撃たれそうになるが、長友が彼をかばい銃撃を受け死んでしまう。
しかし、博士が気をきかせて長友が死ぬ前まで過去を戻し、さらに警察を呼び一件落着。

今度こそ、失踪しなくなると思いきや、
町長に当選したことから、庄司佳奈は父の手助けをするため、デビュー後、即解散していた。
結局因果は止まらない運命だったのだ。
博士はふたりにタイムマシンを使った理由を説明し、
自分も過去の自分にタイムマシンの設計図を渡すことになる。
その際、二人の記憶は消されるとのこと。

数年後、二人はコンビでヒットメーカーになっていた。
プロデュースした「時空を越えたアイドル」が大ヒットしたのだ。
なぜだか、薄毛、剛毛のフレーズが長友の口から飛び出し、始めての気がしない熊崎・・・

こんな感じです。

今回は特別ゲスト出演もなく、全員がバランスよく出番がありました。
ゲスト出演があるのもいいけれど、
全員がバランス良く出番がある方が私的には好きかな?
ケースバイケースですけど。
今回はより観やすかった。
場面場面で、少人数で稽古しやすいのもわかる。

殺陣のシーンでは、野添さんが相当頑張りました。
あれだけ激しい殺陣をしながらの足上げもお見事。
毎日練習、毎日ストレッチをしていないと、ああはならない。
日々続けていることがよくわかる。

アイドルグループの変遷という意味において、AKBを皮肉ってはいる。
ただ、それをフォローする意味合いもあり、途中途中セリフでは曲名を出している。
あえて曲名を言う必要はありませんから。
「それAKBの曲じゃないか!」でいいはず。
あえて曲名を出すということは、
そんなフォローも含まれているのではないか?とも思う。
ギターで2曲もやりますから。

庄司佳奈の彼氏である純平の自殺を止めるシーンはとても面白かった。
長友たちが自殺を止めるために説得するのだけれど、
その説得する「言葉のフレーズ」がうまいくいかず、自殺してしまうのだ。
そのたびにタイムスリップ。
ここは素直に面白い。
自殺した後の間も良かった。

また、スローモーションの逆再生や、同時にセリフをしゃべるシーンはまさに舞台のだいご味。
ここも本当に良かった。
相手のセリフを一字一句間違えることなく喋るところは、
「ジョジョの奇妙な冒険」の第2部、ジョセフ・ジョースターの、
相手のセリフを予想して喋るところにも似ている。
(SETは相手も一緒に喋るからクオリティは上)

メンバー的に若手はほとんどわからないので、
元東京メッツの良田麻美に目がいく。
ダンス切れ切れ。全く年齢を感じさせない。
若手アイドルに混じっても全く問題無し。ここは凄い。

話し的には、仮にタイムマシンで過去を変えても、
一度起こったことは大局的には変わらないということ。
何らかの因果で似たようなことが起こる。
「シュタインズ・ゲート」でいう、
世界線収束範囲(アトラクタフィールド)理論のようなものだ。

博士がタイムマシンの実験でなぜ長友と熊崎を選んだのか、
本当の理由がイマイチわからないが、
それも言うなれば「シュタインズ・ゲート」の選択なのであろう。
タイトルの「虹を渡る男」つまりはタイムトラベラーである博士のこと。
タイトルそのものの因果関係、インパクトは弱かったかな?

総括
舞台のお話しとしては、とても面白かったです。
ただ、いつものお約束、
三宅裕司と小倉久寛のアドリブにも似た台本どおりのかけあい。
あそこは、全く笑えなかった。
いつもは何かしら自分でも笑える部分があるのだけれど、
今回に限っては私は笑えませんでした。
そこだけが残念。

三宅裕司が話しているとおり、
喜劇には正解がない。
お客様の反応で初めてわかる。

それなのかもしれない。
それだけ人を笑わせるコメディの舞台は難しい。
(敬称略)
トップ 観劇一覧