「Legend〜風のなかの塵〜」2013年

A班 満足度
公演時期 2013年1月30日〜2月4日
会場 両国 Air studio
脚本 藤森一朗
演出 大橋由紀子
制作 劇団空感エンジン
あらすじ
近未来、日本は中国に占領され、そして日本人は絶滅した・・・。
20XX年、その絶滅したはずの日本人が生きていたという情報を仕入れた、
フェイと陳は、最後の日本人を取材するためにアジトを訪れる。
二人がそこで見たものは・・・。
(公式サイトより引用)
観劇感想
A班のみの感想。

社会派の演劇。
これは、正直見ていてつらいのがある。
日本人として、右翼、左翼傾向が誰にだってあるとは思うけれど、
そういう心の挙動が舞台を観ていても揺さぶられてしまう。

あらすじにも書いてあるとおり、
日本人がほぼ全滅していて、
わずかに残った日本人を、中国人が取材に来た・・・
というお話ですが、
そもそもよくわからないけれど、
日本人はとにかく見つけたら殺される運命。
そういう社会。

これには、やっぱり悪いけれど違和感を感じる。
そして、よくある中国や韓国のの言い分である、
過去の大虐殺を忘れたのか?謝罪はしないのか?
それを言及。
そして日本人も、
「じゃ〜中国でのウイグルや他の自治区の問題はどうなんだ?」
と言及。
尖閣、竹島問題まで。

たしか最近、武田鉄矢も言及してましたけど、
中国人や韓国人は、日本人に対して、
永遠にこのことを問いかけてくる。
「中韓にいくらおわびしても同じ」
「謝っても日を許す気はない」
サンフランシスコ平和条約、
日中平和友好条約でも賠償は破棄しているのに、
あえて日本はODA等でたくさん資金を提供してきたことも考えてほしい。
ここについては永遠に平行線だと思います。

ただ、そんなことを言っていると、
アニメの「イデオン」みたいな感じで、
宇宙破滅にもつながってしまうので、論戦ですらなくなってしまいますが。

日本人の生き残りである奥田が身につけいてるものが重要なアイテム。、
もしかしたら中国、または日本にいる中国人に向けて発射される、
核ミサイルのボタンではないか?
というもの。
(過去に日本がロシアから密かに譲り受けていた、というお話)
ここが肝となります。

核のボタンが偽物なのか、本物なのか、
とりあえず舞台では描いていません。
そして、最後にそれを押したかどうかも描いていません。
正直、ずるいとは思う。
舞台観劇を見た人の心の中に留めておくということでしょうけど。

ネタバレをあまりするのは危険ですが、
箸や茶碗の感覚の違いは面白かったです。
勉強になりました。

最初は和気あいあいの取材だったものの、
段々とよからぬ方向に動いていき、
何かが狂い始めます。
その狂気への流れはヒシヒシと伝わってきました。

村山が陳に対して結婚を申し込む。
それは殺されないための唯一の方法・・・だと思った。
だが、中国人が日本人と結婚すると日本人になるため結婚できない。
アメリカ人も同じ。
そしてついには、自分がじつはアメリカ人だったと思い込み、
気がふれてしまう。
この役を演じた、音崎結映は、その狂気をうまく演じていました。
恐ろしいくらい。

ただこの時、
陳が「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝るのは何か引っかかる。
つまりは、陳が日本人のように思え、中国や韓国に対して、
謝る行為に思えてしまう。
何か裏でそれを表現しているのではないか?
と私は感じてしまう。
どう受け止めるかは、人それぞれですが。

話しを戻して、現代の日本だとすると、
村山談話しかり、河野談話しかり、何度も何度も謝罪しても、
結局、他の右側の政治家が違う発言をすると、
また逆戻り。
謝罪する気持はたくさんあるのに、この繰り返し。
そして問題は、謝罪の後に金銭もからむのか?ということ。
そこがどうしてもネックになる。
日本人としては、そこが本当はどうなのか気になる。

奥田役の谷田文郎の狂気もいい。
ああなることは予想はしていたけど、
いい裏切り方。
じつは首相だったなんて思ってましたけど。

時おり流れる、音楽のSEがひぐらし。
セミではなく、ひぐらしというところがミソですね。

どこかのお偉いさんも言ってましたっけ。
竹島に爆弾が落ちて、
そもそも無くなれば、韓国、日本も仲良くなれるのに、みたいな。

それと似たような発言で、
宇宙人が攻めてくれば、全世界が協力して倒せる、というのもありました。
ま〜これは、アメリカが対ソ連でなくなった為に、
最近の映画は宇宙からの侵略映画が多いってのも前からあります。

ちなみに余談ですが、
中国人の方が日本に留学をして長年いると、
帰りたくなくなってしまう、というのも実際問題あります。
私の知り合いなんて、結局、日本人に帰化してしまいましたから。
そういう方もいるということ。
日本に来る中国人も、当然資金がある程度豊富な方ですけれど。

中村裕香里は、女性アナウンサーのフェイ役。
陳の薮原遼と、冒頭5〜6分は二人芝居。
これから、わずかに残った日本人の隠れ家へ向かうまでの過程。
冒頭の導入としては、ちょっとつらい。
中村裕香里の「華」や演技力をもってしても、
ここの二人芝居は厳しかった。
それだけ観客を引き込むって難しい。
隠れ家に入ってから、ようやく私も安心して観られるくらい。

それから、あくまで大きなお世話ながら、もう少しメリハリがほしい。
というのも、普段はタバコを吸って、嫌々ながらの取材で、
カメラを向けるとキャピキャピ(死語)みたいなイメージを、
思い浮かんでいました。
ちょっとギャップがあったほうがいい感じ。
そこで、はるかと出会い、少し変わっていく的な。
普通すぎてつまらない。
これは私の個人の見解。

総括
右傾化している人にしてみると、
かなり辛辣な内容。
舞台だからこそ、それを観客に訴え、問いかけてくる。
あまりに直接すぎると、どちらかというと客観的に観ようと思う私でさえ、
心震える感覚になってしまう。

中国、韓国がからむ、社会派な舞台は取り上げ方が難しい。
特に敵対している舞台だとなおさら。
う〜ん、年に1回ぐらいは観てもいいけれど、
何度も観るのはかなりつらい。
それだけ挑戦的な舞台とも言えます。

(敬称略)
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