◆  劇団四季 「ドリーミング」  2009年

◆公演時期   10/10→11/23
◆会場 四季劇場 秋
◆製作・演出 浅利慶太
◆脚色 劇団四季文芸部
◆振付 加藤敬二
◆音楽構成 鎮守めぐみ
◆原作(「青い鳥」より) モーリス・メーテルリンク

あらすじ

クリスマス・イブの夜。貧しい木こりの子、チルチルとミチルは、
裕福な隣家の様子をうらやましそうに見ていた。
すると突然、妖婆が現われ、
「娘の病気を治すために青い鳥を探してほしい」と依頼される。
(パンフレットより一部抜粋)

観劇感想

気のせいかもしれませんが、パンフレットがほんのりいい香り。

この舞台はパンフレットを読んで初めて知ったのですが、
音楽が特徴的で、いろんな方が提供されているんですね。
おっとびっくり、小椋佳さんも。

ファミリーミュージカルと銘打ってはいないものの、
家族向けの作品だと思います。
親子連れで観て、全く問題ありません。
「ユタと不思議な仲間たち」や「魔法をすてたマジョリン」と似た雰囲気。
オーケストラが無いのは残念ですが。それでも通常の音楽で十分満足します。

チルチルとミチルを中心に、
いろんな仲間たちとともに「青い鳥」を求めて冒険の旅へ!
じつにシンプルな内容。

とにかく、チルチルとミチル役の大徳朋子岸本美香コンビが素晴らしい!
ふたりとも本当に子供そのもの。
子供役を大人がやると微妙な時もあるのですが、この二人は完璧。
ただでさえ子供役が完璧なのに、
兄妹ということで、岸本美香はさらに背が低い。
この背のバランス感がとってもいいんですよ!!
意外と難しいんですよね、背の組み合わせは。
このコンビすごく好き。

チルチル役の大徳朋子はほんわかして、やや目尻の下がった少年役。
なんとなく安川結花にも似てました。
少年役、素晴らしすぎる。

そして、ミチル役の岸本美香が抜群にかわいい!!
パンフレットの写真はそんなに響いてこなかったのですが、
舞台の表情は少女そのものだし、笑顔が本当にかわいい。
惚れそう(笑)
このミチル役は、ちょっと凄過ぎるな〜

ただ、不思議とふたりで歌うシーンは少ない。
メインテーマである「青い鳥」ぐらいかな?
そのぶん他の仲間や敵が歌うシーン、多いです。
ふたりは演技に集中させるということかな?

意外と奥行きある舞台なんですね。
私は前から2列目で観劇でしたが、
それでも奥で演技をされると表情がわかりづらくなります。

家や墓地など、セットはかなり豪華。
点灯するイルミネーションも素晴らしい出来ばえ。
ただ、墓地のシーンはけっこう短いので、
ちょっともったいないな〜とも思います。
でも、そのワンシシーンのためだけのセットだと思うと、
それはそれで贅沢。

「深い森」でのシーン、特にツタ?をムチのように振るうシーンは、
見応え抜群!
「バシ!バシ!」と痛そうな音が響き渡ります。
ここはとてもカッコイイ。
ただ、「深い森」で動物たちに捕まり、
チルチルとミチルがツルで吊るしあげられるのですが、
すぐにツルがさがって解放されてしまいます・・・
ここはちょっとわかりづらかったです。
捕まったのに、なぜなのかと?
犬のチローが頑張ったのか、光のおかげなのか。

「幸福の御殿」ではみんな食事ばかりしていて、
本日12回目の食事は笑いました。

ポイントとしては、
猫のチレット役の林香純
ここが要でしょうね。
ある意味、敵対心をあらわにする役どころ。
演技は当然として、歌唱力もあるし、ダンスもすばらしいです。
回転するところも首が固定されてスッと回る。
申し分の無いでき、私は好きだな。
この舞台だけにしてみると、
猫が嫌われ役になってしまうのがつらいところ(笑)

その対比として、チルチル・ミチルに忠誠を誓う、
犬のチロー役、田中彰孝
清廉された、とにかく善人の雰囲気がいい。
ダンスでのジャンプもさすが。
これを見ると、ほんと、犬の方が好きになってしまう。

歌唱力としては、光の沼尾みゆき、夜の女王の白木美貴子
このふたりはとても素晴らしい歌声でした。
特に沼尾みゆきは凄い。
ルックスも華やかだし、聞き応えありますよ。
しかも、光りから隣の娘役になった時もかわいいんですよ。
全然雰囲気違いますから。

他の仲間として、「パン」や「砂糖」までは話しに加わることは多いのですが、
正直、「火」「水」「牛乳」はやや出番が少ない。
「火」は赤、「牛乳」は白の衣装なのでなんとかわかるのですが、
青の衣装の「水」は、暗いセットにかぶることも多く、意外と忘れてしまう。

仲間とともに、いろいろな世界を旅するというのは、
本当にファミリーミュージカルの王道。
見ていてとても楽しいです。
ただ、少しだけ気になるのは、
「幸福の御殿」の後半、「よろこび」「母の愛」が出るところと「未来の国」
ここはかなり異質。
おそらく観客の子供たちでなく、大人に向けてのメッセージの意味合いが強い。
「よろこび」「母の愛」のシーンはかなり長く、
今までのテンポと比べると、正直、間延びするほど。
チルチルとミチルなんて、
ずっと舞台に背を向けたまま、母の愛と対面してましたから。
(背中で演技をする、というやつですね)
それだけ伝えるべきシーンなのかもしれません。
私はちょっと違和感ありましたが。

「未来の国」
これから生まれてくる子供たちがいっぱい。
あまりネタバレしたくはないので、詳しくは話せませんが、
いろいろな運命、やるべきことをもって、生まれてくる子がいるということ。
私ならば、じつは生まれた時にそのことを忘れてしまう・・・
なんて後付けをしたいところですが。

ようは、生まれる子供たちは親を選択できない、これに尽きるでしょう。
ちょっとずるいな〜と思うのは、
このシーン、普通なら登場すべき多数の仲間が登場せず、
チルチルとミチルと光しかいません。
子供たちへもっといろいろなことを聞く、厳しいツッコミ役がいないわけです。
チルチル&ミチルは優しい質問ばかり。
誰もフォローに加わらない。
つまりは観客にその意味合いを問いかけ、丸投げして、
自分たちで、この国の意味、
生まれる前の子供たちのことを考えてほしいということかな〜?と思いました。

この舞台、いろいろな世界へ旅立つため、
子役も途中途中登場します。
チルチル・ミチルの亡くなった弟たち、
ジャンとポリーヌだったかな?
何かの精(はなかぜ・・・だったかな?)
これから生まれてくる子供たち。

子役メンバーは、私が観た回で把握できるのは、
澤登ひほりと、松永さとりぐらい。
あとは全くわかりません。
全員スイミングキャップのようなかぶりものをしているので、
誰が誰だかサッパリわかりません。
特徴的な髪形が無いと、判断はかなり難しいです。
チルチル・ミチルとけっこう会話をする子役もいますが、
その子が誰であるのかさえわからない。

子役の中で把握できた、松永さとりは、やはり笑顔がかわいい。
印象に残る表情付けも好印象。

澤登ひほりは、とにかく背が伸びた。
かなり伸びていて驚き。
子役としてはまだ大丈夫だとは思うけれど、
他の子役メンバーからの並びからしてみると、背が高く感じる。
子役の場合、最初は低い方がいいと思うのですが、
高校生ぐらいからやっぱり背が高い方がいい、なんて思いますから、
そのへんの思考の違いが難しい。

最後にチルチルと隣の娘が、何やらいい仲になりそう。
その後日としての未来の子供たちの中に、
ふたりの赤ん坊がいるのかな〜とも予測していたのですが、
それは先読みしすぎかな?

総括
結局のところ、誰もが、「幸せ」を探すってことで決着。
「幸せ」の定義は人それぞれですから。
文句無しに楽しめる舞台でした。
家族向けにも、私が自信をもっておすすめする舞台。
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