公演時期 | 10/10→11/23 |
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会場 | 四季劇場 秋 |
製作・演出 | 浅利慶太 |
脚色 | 劇団四季文芸部 |
振付 | 加藤敬二 |
音楽構成 | 鎮守めぐみ |
原作(「青い鳥」より) | モーリス・メーテルリンク |
あらすじクリスマス・イブの夜。貧しい木こりの子、チルチルとミチルは、 裕福な隣家の様子をうらやましそうに見ていた。 すると突然、妖婆が現われ、 「娘の病気を治すために青い鳥を探してほしい」と依頼される。 (パンフレットより一部抜粋) 感想気のせいかもしれませんが、パンフレットがほんのりいい香り。 この舞台はパンフレットを読んで初めて知ったのですが、 音楽が特徴的で、いろんな方が提供されているんですね。 おっとびっくり、小椋佳さんも。 ファミリーミュージカルと銘打ってはいないものの、 家族向けの作品だと思います。 親子連れで観て、全く問題ありません。 「ユタと不思議な仲間たち」や「魔法をすてたマジョリン」と似た雰囲気。 オーケストラが無いのは残念ですが。それでも通常の音楽で十分満足します。 チルチルとミチルを中心に、 いろんな仲間たちとともに「青い鳥」を求めて冒険の旅へ! じつにシンプルな内容。 とにかく、チルチルとミチル役の大徳朋子&岸本美香コンビが素晴らしい! ふたりとも本当に子供そのもの。 子供役を大人がやると微妙な時もあるのですが、この二人は完璧。 ただでさえ子供役が完璧なのに、 兄妹ということで、岸本美香はさらに背が低い。 この背のバランス感がとってもいいんですよ!! 意外と難しいんですよね、背の組み合わせは。 このコンビすごく好き。 チルチル役の大徳朋子はほんわかして、やや目尻の下がった少年役。 なんとなく安川結花にも似てました。 少年役、素晴らしすぎる。 そして、ミチル役の岸本美香が抜群にかわいい!! パンフレットの写真はそんなに響いてこなかったのですが、 舞台の表情は少女そのものだし、笑顔が本当にかわいい。 惚れそう(笑) このミチル役は、ちょっと凄過ぎるな~ ただ、不思議とふたりで歌うシーンは少ない。 メインテーマである「青い鳥」ぐらいかな? そのぶん他の仲間や敵が歌うシーン、多いです。 ふたりは演技に集中させるということかな? 意外と奥行きある舞台なんですね。 私は前から2列目で観劇でしたが、 それでも奥で演技をされると表情がわかりづらくなります。 家や墓地など、セットはかなり豪華。 点灯するイルミネーションも素晴らしい出来ばえ。 ただ、墓地のシーンはけっこう短いので、 ちょっともったいないな~とも思います。 でも、そのワンシシーンのためだけのセットだと思うと、 それはそれで贅沢。 「深い森」でのシーン、特にツタ?をムチのように振るうシーンは、 見応え抜群! 「バシ!バシ!」と痛そうな音が響き渡ります。 ここはとてもカッコイイ。 ただ、「深い森」で動物たちに捕まり、 チルチルとミチルがツルで吊るしあげられるのですが、 すぐにツルがさがって解放されてしまいます・・・ ここはちょっとわかりづらかったです。 捕まったのに、なぜなのかと? 犬のチローが頑張ったのか、光のおかげなのか。 「幸福の御殿」ではみんな食事ばかりしていて、 本日12回目の食事は笑いました。 ポイントとしては、猫のチレット役の林香純。 ここが要でしょうね。 ある意味、敵対心をあらわにする役どころ。 演技は当然として、歌唱力もあるし、ダンスもすばらしいです。 回転するところも首が固定されてスッと回る。 申し分の無いでき、私は好きだな。 この舞台だけにしてみると、 猫が嫌われ役になってしまうのがつらいところ(笑) その対比として、チルチル・ミチルに忠誠を誓う、 犬のチロー役、田中彰孝。 清廉された、とにかく善人の雰囲気がいい。 ダンスでのジャンプもさすが。 これを見ると、ほんと、犬の方が好きになってしまう。 歌唱力としては、光の沼尾みゆき、夜の女王の白木美貴子。 このふたりはとても素晴らしい歌声でした。 特に沼尾みゆきは凄い。 ルックスも華やかだし、聞き応えありますよ。 しかも、光りから隣の娘役になった時もかわいいんですよ。 全然雰囲気違いますから。 他の仲間として、「パン」や「砂糖」までは話しに加わることは多いのですが、 正直、「火」「水」「牛乳」はやや出番が少ない。 「火」は赤、「牛乳」は白の衣装なのでなんとかわかるのですが、 青の衣装の「水」は、暗いセットにかぶることも多く、意外と忘れてしまう。 仲間とともに、いろいろな世界を旅するというのは、 本当にファミリーミュージカルの王道。 見ていてとても楽しいです。 ただ、少しだけ気になるのは、 「幸福の御殿」の後半、「よろこび」「母の愛」が出るところと「未来の国」 ここはかなり異質。 おそらく観客の子供たちでなく、大人に向けてのメッセージの意味合いが強い。 「よろこび」「母の愛」のシーンはかなり長く、 今までのテンポと比べると、正直、間延びするほど。 チルチルとミチルなんて、 ずっと舞台に背を向けたまま、母の愛と対面してましたから。 (背中で演技をする、というやつですね) それだけ伝えるべきシーンなのかもしれません。 私はちょっと違和感ありましたが。 「未来の国」 これから生まれてくる子供たちがいっぱい。 あまりネタバレしたくはないので、詳しくは話せませんが、 いろいろな運命、やるべきことをもって、生まれてくる子がいるということ。 私ならば、じつは生まれた時にそのことを忘れてしまう・・・ なんて後付けをしたいところですが。 ようは、生まれる子供たちは親を選択できない、これに尽きるでしょう。 ちょっとずるいな~と思うのは、 このシーン、普通なら登場すべき多数の仲間が登場せず、 チルチルとミチルと光しかいません。 子供たちへもっといろいろなことを聞く、厳しいツッコミ役がいないわけです。 チルチル&ミチルは優しい質問ばかり。 誰もフォローに加わらない。 つまりは観客にその意味合いを問いかけ、丸投げして、 自分たちで、この国の意味、 生まれる前の子供たちのことを考えてほしいということかな~?と思いました。 この舞台、いろいろな世界へ旅立つため、 子役も途中途中登場します。 チルチル・ミチルの亡くなった弟たち、 ジャンとポリーヌだったかな? 何かの精(はなかぜ・・・だったかな?) これから生まれてくる子供たち。 子役メンバーは、私が観た回で把握できるのは、 澤登ひほりと、松永さとりぐらい。 あとは全くわかりません。 全員スイミングキャップのようなかぶりものをしているので、 誰が誰だかサッパリわかりません。 特徴的な髪形が無いと、判断はかなり難しいです。 チルチル・ミチルとけっこう会話をする子役もいますが、 その子が誰であるのかさえわからない。 子役の中で把握できた、松永さとりは、やはり笑顔がかわいい。 印象に残る表情付けも好印象。 澤登ひほりは、とにかく背が伸びた。 かなり伸びていて驚き。 子役としてはまだ大丈夫だとは思うけれど、 他の子役メンバーからの並びからしてみると、背が高く感じる。 子役の場合、最初は低い方がいいと思うのですが、 高校生ぐらいからやっぱり背が高い方がいい、なんて思いますから、 そのへんの思考の違いが難しい。 最後にチルチルと隣の娘が、何やらいい仲になりそう。 その後日としての未来の子供たちの中に、 ふたりの赤ん坊がいるのかな~とも予測していたのですが、 それは先読みしすぎかな? 総括結局のところ、誰もが、「幸せ」を探すってことで決着。 「幸せ」の定義は人それぞれですから。 文句無しに楽しめる舞台でした。 家族向けにも、私が自信をもっておすすめする舞台。 |