森は生きている 2009 1月公演 

◆公演時期   2009年1月17日(木)〜22日(木)
◆会場 シアター1010
◆演出・作詩 安崎 求
◆振付 名倉 加代子
◆作曲 脇田 崚多郎
◆脚本・プロデューサー 川崎 登
◆原作 サムイル・マルシャーク
◆翻訳 湯浅芳子

あらすじ
日は12月最後の日、
新しい年がもうそこまできている、夕方のことでした。
雪の降りしきる森の中を、ひとりの娘が、
たきぎを積んだ小さなそりをひいて家に帰ってきました。
みなしごが寒さにふるえがら家に辿り着くと、継母が言いました。
『もう一度森へ行って、マツユキソウをつんでおいで。
女王様のおふれが出たんだから・・・』
女王様の言葉は絶対・・・
しかもマツユキソウは春に育つもので、冬にあるはずがありません。
そうとわかっていながらも、娘は、かごを持って森へでかけました。

もう日は暮れて外は吹雪です。
娘は激しい寒さでこごえてしまいそうになります。
とその時、森の奥の方にたき火の火が見えました。
それは、12の月の精たちが、1年に1度の集まりのために、焚いていたのです・・・

観劇感想

2004年2005年2006年2007年に続いての観劇です。
前回と比べて演出上に大きな変化はないと思います。
詳細は上記を参照していただけると幸いです。

流れは、
一幕で、娘と老兵の出会い→女王のマツユキ草捜索命令
→娘と継母、義姉(マツユキ草探し)
→娘と12月との出会い→再び娘と継母、義姉(指輪盗られる)
二幕で、女王と継母、義姉のマツユキ草を見つけた経緯報告
→娘、女王とともに12月と出会う
こんな感じです。

チームBのみ観劇。
今回はちょっと独特ですね。
というのも、歌唱力の高い方ばかり。まさにプロの集団。
クオリティ高いです。
書くことはほとんどないので、本当に気になったところだけ記載。

大人メンバーは女官役、月、民衆と複数の主要な役を演じますが、
リス、ウサギは子役メンバーで統一。
前回は子役でも月や女官等に配役されていたのですが今回は無し。
いろいろな事情があるので仕方ありません。
特にウサギの小林風花、生駒春奈、石毛美帆の3人。
普通〜〜〜〜〜に考えて、この役では全くもって物足りない。
というか、もったいない。
私的には、重要な役をやらせたい気持ちにかられます・・・

娘役の辛島小恵、女王役の池田祐見子
二人とも全くもって申し分の無いでき。
ただそれ以上に、継母役の曹世海司、義姉役の及川健が最高に面白い!
「森は生きている」の物語自体、けっこう地味な話なのですが、
継母、義姉のコンビを面白おかしく描くと最高に楽しい舞台になります。
ある意味、影の主役でしょう、この二人は。
ところどころにいろいろなお笑いを入れていました。
(私がわかるところでは古畑任三郎のマネも入ってました)
演技もできて、カツゼツもしっかりしていて、歌も歌えて、
めっちゃすばらしい!!
後半、犬になってしまうので、二人のやりとりがなくてつまらない!と思うぐらい。
本当にすごく楽しかったです。

気になった役者は・・・

娘役、辛島小恵
初主演なんですね。
コンサートを開いているぐらいですから、、歌唱力は抜群です。
歌い方はソプラノヴォイスなので、やや好き嫌い別れるかもしれませんが、
私はそれほど違和感は感じませんてじた。
ミュージカル「レ・ミゼラブル」のコゼット役でもあり、演技力も申し分ありません。
ただ、この役に関しては、前半は慣れるまでに時間がかかりました。
前回は石川由依でしたし、ど〜しても若い人の印象が強いので(失礼)
後半じょじょに持ち直す感じかな?
ちなみに最初に大笑いする場面がありますが、
あの笑い方はちょっと苦手。

女王役、池田祐見子
元劇団四季ということで、完全にプロの方。
歌唱力は抜群です。
女王独特のイントネーション。少し語尾が上がる。
ここは好き嫌い別れるかもしれません。
私的にはそれほど気になりませんでした。
一番印象的だったのは、歯の整列さ。
ここがすごく綺麗で私は強く印象に残っています。

実は女王さま、毎日髪型が微妙に違っていたりして☆私の髪が短いので、
ヘアメイクさんが1時間半もかけて作ってくれている芸術作品なのです!

(池田祐見子ブログより引用)
これは知らなかった。
けっこう力入ってたんですね。あの髪形。
そう思ってじっくり見れば良かった・・・

意外とアニメ声。
過去の黒木マリナや神戸みゆきとともに、
アニメ声の方が女王役はハマルかもしれません。
私はすごく好きな声質。
無難にこなして、まったく申し分ない女王役でした。
あえて言うのであれば、
最後の方でオオカミの死を初めて目の前にした女王の悲しさ。
私はあまり感情移入できなかったかな?
黒木マリナや神戸みゆきの印象の方が強かった。そのぐらいです。

4月役の荒木健太朗
4月ということで、娘が淡い恋心をもつ相手。
端正なルックスだけでなく、演技力もあります。
舞台出演歴を見るとストレートプレイが主体。
今回、他の役者の歌唱力がとても高いため、
歌の場面はちょっと厳しく感じます。これは仕方ありません。

2月役のグレース美香
パンフレットをあまり確認せず普通に、
「2月役の人の歌い方いいな〜」と思ったのですがビックリ!
グレース美香でしたか。
ま〜うまいですから。
しかも後でパンフレットを確認してみると、主な出演作のところに、
白雪姫ゲームが記載されています・・・
全私が泣いた・・・
いろいろな事情で、アルゴ出演等を黒歴史にする人がいますが、
彼女は誇りをもって、出演作として記述しているのでしょう。
当時の母親役は今でも鮮明に覚えています。物凄かったんですよ。
そしてこの白雪姫ゲームは、私の観劇の中でも1、2を争うほどの舞台。
犬石隆、演出作品。
他の大人の舞台を含め、今まで観劇した中で、
ここまで怖い舞台を観たことがありません。
大人が演じる怖さではなく、子供が演じる怖さ。
それがこの舞台でした。
ちょっと脱線しましたが、凛々しい2月、そして歌声に魅了されました。

3月役の石川由依
前回は主役の娘役、さらには銀河鉄道の夜では主役のジョバンニ役。
石川由依、めっちゃかわいい(爆)
実力ある女の子ですし、演技も歌もすばらしすぎる。
言うこと無いです。
もっとアニメ声の歌い方かな〜?と思いましたら、少し変わったでしょうか?
ワンランク上に上がったような歌い方になっていました。
彼女自身もレベルアップしているのでしょうね。
3月のみならず女官でも登場しますから、意外と出番も多いです。

最近ではアニメの声優活動もおこなっていますが、
新しい仕事が増え、精神面、他のいろいろなことで本当に大変だと思います。
あまりいろいろ言えませんが、
私から言えることは、大変だけれど頑張ってほしいな。

1月の倉田秀人前回は総理役でした。
この1月も渋くてかっこいいです!
当たり前のことですが、総理とは印象違いますね。
重厚感がある1月。

女官長役の花山佳子
女館長のソロのナンバーは、すごいの一言。
ここは絶品でしょ。

博士役の佐山陽規
じつのところ、今回一番印象に残りました。
前回も出演していましたが、不思議と今回の方が印象強いです。
特に1月〜12月の「自然のおきて」のナンバー。
ここのソロが素晴らしい。
ずっと動きながら歌い続け、ほとんど息切れしていません。
さすがですね。

老兵役の沢木順は、独特な沢木ワールドを展開。
10月の河村和奈はあいかわらずめっさ美人。
美人だけでなく、演技や歌もうまいですから。

森の精は残念ながら出番が少ないので、気づいた人のみ。
私の視野に入らきらず・・・申し訳ないです。

小林風花の舞台は久々。
う〜ん、ずいぶん女性らしくなりましたね。
セクシーな雰囲気が出てきた。
子役のイメージはもう無いです。
これからは大人としての活動に期待。
ダンスもすごくうまくなっていますが、やっぱりソロが無いとね・・・
小林風花の歌が好きなのに、それが無いのは観ている方としてはつらい。

石毛美帆は、あいかわず体の線が細い。
というか、いっつも細い。
体の線が細いと、女官の衣装が逆に映えるのに、今回は女官も無し。
ダンス力もあるし、歌唱力もあるのに、ちょっともったいない。

生駒春奈
葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2008のアン役も好演。
出番こそ少ないですが、それでも生駒春奈の存在感はすばらしい。
彼女のオーラ、そしてダンスの切れ、すぐにわかりましたから。
しかも本当は歌唱力抜群の女の子。歌いたかったでしょうね。
彼女ももったいない。

近藤亜紀も久々。
ミュージカルSEMPO以来1年ぶり。
第一印象として背が伸びました。
それから、ずいぶん女性らしい雰囲気が出てきました。
子役としてのイメージからの脱却もそろそろでしょう。
今までセクシー的な雰囲気ゼロでしたから。
民衆のシーンでは、前の方で踊っていたので良く目立ちます。
ちなみにこの民衆のシーン。
小林風花、生駒春奈、石毛美帆の3人は後方で踊っていたようです。
ということで全く見ていません。
そこまでは私の視野は広くありません・・・

速見里菜も近藤亜紀同様に民衆では前方で踊っていたので、確認できました。
彼女もけっこう背が伸びてますね。
日岡愛香もやはりダンス力は定評があるので、よく目立ちます。
表情豊かで面白い。印象度はひじょうに高いです。
ただ、けっこう独特なダンスですね。

総括
完全に大人メインで、何よりほとんどの役者の歌唱力が素晴らしいです。
私的には継母役の曹世海司、義姉役の及川健の存在が大きい。
真面目で重厚感あふれる舞台も良いけれど、
お遊びがあったほうが舞台は楽しいもの。
その点、継母と義姉コンビは秀逸。観客を飽きさせません。
基本、完全に大人の舞台で構成され、
今まで子役でも起用されていた月や女官も、大人が複数役をもつことに変更。
このあたりが今までとは変わったことで、やや違和感を感じるのかもしれません。
舞台的にはクオリティが高く、様式美を兼ね備え、
格式高い舞台となりましたが、子役の使い方が微妙と言えないこともないです。
私からするともったいない起用方法かな?

(敬称略)


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