公演時期 | 2009年1月14日~18日 |
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会場 | シアターX |
脚色・演出 | 林圭一 |
作 | 飯田一雄 |
あらすじ浅草六区興行街の賑わいが始まった明治自体の半ばから、 浅草を訪れる人々を楽しませてきた伝統ある実演演劇場、 常磐座が取り壊される日が近づいた。 劇場解体の計画が進められる中、 解体計画をめぐる思惑やら解体反対の声が上がる・・・・ (チラシより抜粋) 感想劇団にんげん座2009年新春公演。 公演会場のシアターXは初めてきたのですが、 客席数は300と意外と広く、天井も高いです。 けっこう響きますね。 トイレはウォシュレットが完備。 とても綺麗でした。熟年層でも安心です。 客層は50~60代以上でしょうか? 熟年層が圧倒的に高いです。 小冊子に近いパンフレットは無料配布。 この小冊子に記載されている記事がなかなか読みごたえあります。 後述する女剣劇の「劇団 花月」のことや、 小劇場、大劇場の舞台機構や演出の違いについてなど、面白い内容でした。 さて公演内容としては、劇団にんげん座の舞台と、 女剣劇を主とする「劇団 花月」の舞台のふたつ。 「劇団 花月」の方は、舞踊ショーと舞台の二部構成です。 最初は映像をからめての講談。 いきなり映像からくるとはビックリ。 キャスト紹介もからめ、昔の浅草、花やしきも登場。 日本発のエレベーター12階は浅草なんですね。 田辺銀冶が講談師をしていますが、なかなかよくやっています。 センスでピシャリと叩くところもいいです。 さて舞台。 実演演劇場・常盤座の取り壊しになることが決定するものの、 解体反対の声も多く、 解体を推進する常磐座支配人が、 元役者である常盤座警備員をスパイとして送り込み、 反対派の資金源を探る・・・という内容。 う~ん・・・・ちょっといろいろ考えさせられます。 劇団にんげん座の舞台は初めてなのですが、 なんというか、独特なんですよね。 常盤座の支配人(元役者)役の藤田信宏 工務店作業員役のペロリ この二人は舞台役者としてしっかりしているのですが、 他のメンバーがど~にも素人レベルな感があるんです・・・ それが演技でわざとそうやっているのか、 もともとこういう舞台なのかわかりませんが、 私にはちょっと厳しかったです。 常磐座の警備員役の花伽織が、 一応キーポイントというか、主役と言っていいのですが、 のらりくらりとした演技はすごく微妙・・・ 慣れていくとアリだな~とは思うのですが、普通な感じ。 ただ、常磐座解体反対派にスパイとして潜りこむという、 007のような雰囲気は面白かったです。 のほほんとしていてとぼけた感じではあるものの、 実は本質を突いているのが彼。 この舞台はコメディも多く、 観客の年齢は高いかもしれませんが、若い人に受ける笑いも多いです。 支配人の「目が小さい」というところや、資金の出所も面白い。 途中コントがありますが、 西部開拓史はなかなか秀逸だと思います。 西部と西武をかけているのは面白い。 ただあまりにも突然コントが始まるため、 脈絡が無さすぎるのも考えものですが。 大澤のぞみはなかなか可愛らしいルックス。 ま~そのぐらいなんですが。 元東京メッツの大日向裕実も出演。 彼女の舞台は久々ですが、雰囲気は全く変わらないですね。 ルックスもあの当時のまま。 あくまで私の印象ですと、体の線が細くなりました。 ウエストが細い。 意外と唇の印象が強いので、セクシーな雰囲気も加わった感じでしょうか? 登場シーンは、元浅草オペラ歌手役の村井しげると舞台上でふたり。 村井は車椅子で登場。 う~~~ん、まず思うのが、この村井しげるは役者さんなのでしょうか? 途中、アコーディオンを弾きながら歌っているので、歌い手のような気がします。 ということで、大日向がなんとか場を引っ張るのですが、 「うわっ、つらいな~」と思いました。 基本、彼女も役者というよりはダンスの子ですから。 自分の演技でさえ手一杯なのに、相手の演技も引き出さなければならない。 なんとか自分ペース、自分の間で演技をしようと引き込むのですが、 なかなか難しい感じ。 今泉舞あたりだと、自分ペースに巻き込んだりできるのですが、 大日向裕実にそこまで言うのは酷。 頑張ってはいるんですけど。相手役がどうにもつらすぎます。 たった二人ですよ、舞台上。かなり厳しいものがありました・・・ コントでも登場しますが、体の動きが俊敏。 クネクネした感じで、面白おかしく動いています。 この動き、本当はダンスをしたいんだな~というのが私には伝わってきます。 それができないため、体の切れやスピードで面白おかしくしているのでしょう。 次回は彼女のダンスも見てみたい。 ダンス力は私が客観的に観ても実力ある女の子ですから。 「劇団 花月」の舞踊と舞台大衆演劇。 簡単に言いますと、浅香光代氏の女剣劇、アレですね。 BS放送でたまに大衆演劇をやっていて、テレビでは見たことがあるのですが、 生の舞台は初めて。 しかもこの「劇団花月」は北は青森から南は鹿児島まで、 全国公演をしています。 基本は九州。 もちろん、家族ぐるみで。 なんというか、本当にすごい。 SET本公演 任侠るねっさんすで観た、 旅回り一座がありますが、まさにそれ。 1993年から観劇感想を書いている私にもすごい刺激を与え、 そして勉強させられました。 間のとりかた、目配り、発声、 直接どうこう結びつくものではありませんが、 いろいろなことを新たに発見できます。 最初は、一條洋子、一條ゆかり、一條こま 、他のソロの舞踊ショー。 生の舞踊ショーは本当にすごい。 首、腕、肩、背、そして目の配り方等、魅了されます。 特に一條こまの女形は妖艶。 いつまでも観ていても飽きません。 ちなみにちょっと別件ですが、流れる曲のひとつに良い詩がありました。 「馬鹿でもダメ、利口でもダメ、中途半端はもっとダメ。 それが男の生きる道・・・」 なかなか奥深いです。 間に座長である一條洋子の口上。 東京公演ということもあり、気合の入り方が違います。 口上を聞くと、観客も気が引き締まりますね。 そして舞台。 公演期間中は全て違う内容の舞台をしているとのこと。 私が観た舞台は、ちょっとうろ覚えですが、 「ごめんよ、おっかさん」 昔、金を使い込んで勘当され家を出ていったはずの息子が、 突然家に帰ってくる。 しかも人を殺し、ヤクザに追われて。 そこで母親はどうするか?というお話です。 新座長である、一條ゆかりが息子役(きたろう)ですが、 ま~すごい。 スレンダーの体格で、宝塚の男装に近いですね。 女性が観ても惚れる感じ。 完全にプロなので言うことありません。 父をきたろうに殺され、追いかけるヤクザが一條洋子 どっしりとした男役は見応えあります。 仁義に厚く、柔軟性をもったヤクザの息子役はバッチリはまっています。 ちなみに母親役を忘れてしまったのですが、 おそらく星てるみ 母親というより、おばあさん役に近いのですが、 もう超ベテランですから。言うことないです。 菅井きんがもっと弾けた感じかな? 一條こまは最後に登場。息子の妻役。 演技的にはちょっとしか出演していないので、残念。 声の張りからすると、まだまだ若いことがすぐにわかります。 そして、一番の驚きは現在14歳の中学生! 学校と舞台を両立して頑張っているとのこと。 全国を回っているので、間違いなく転校でしょうし、 生まれてからずっとこの世界という環境。 なんというかな、背負っている強大なものが、私には見えてしまいます。 見えていいものなのか、見えないほうがいいのかわかりませんが、 私には彼女の壮絶な重さが舞台から実感できる・・・気がします。 舞踊ショーでの、はかなさ、せつなさ、あでやかさ。 そういうのもを背負っての舞踊であることを想像しながら見ると、 さらに引き込まれます。 と、いろいろ言っておきながら、 当の本人はのほほんとしているかも。 いずれ、何かのメディアで大きく取り上げられるかもしれません。 それだけ大きな魅力を持った役者だと思います。 子役からの演劇、学生からの演劇、大人になってからの演劇、歌舞伎の世界、 いろいろな方向性がありますが、彼女もまた特殊な環境。 ある意味「ガラスの仮面」における、 「紅天女」の月影千草を観るために、舞台に毎日通いつめる速水真澄の父、 速水英介の気持ちがわかります。 総括舞台の内容はちょっとつらいので割愛。 コメディはなかなか頑張ってはいましたが・・・ やはり「劇団 花月」の女剣劇。 とてもすばしらい舞台でした。 大手の有名ミュージカルを観るのもいいですが、 大衆演劇である女剣劇も本当に勉強になると思います。 お子様も、大人も、一度見ておいて損はないでしょう。 生の観劇は迫力が違いますから。 それにしても物凄かった。 特に一條こまは必見。 ※敬称略 |