◆ ラブリーズ〜君に捧げるハーモニー〜


◆公演時期   2008年12月30日〜1月12日
◆会場 下北沢 小劇場 楽園
◆演出・作曲 桝川譲治
◆脚本・作詞 長田育恵
◆振付 吉永まりや/今泉舞

あらすじ
放課後になると集まってくる、学年も制服も性格もバラバラな4人の女の子。
いろんな依頼に応えて駆けつける、4人だけの応援チーム、ラブリーズ。
今回の依頼は少し変わっていて・・・・・
(パンフレットより抜粋)
観劇感想
2008年1月公演の感想はこちら
前回とはまたメンバーが異なりますので、けっこう印象が変わりますね。
話の流れは前回とほとんど同じです。

どの役も個性があって面白いのですが、
やっぱりアゲハ役は大変だな〜と思いました。
個性強すぎですから。
坂本和香菜、島田華衣、中原知南、
本当に三者三様。
とらえ方が違っていて面白いです。

こゆき役の武田めぐみ、田代りさ、伊藤渚。
ラブリーズの中では控えめなこゆき。
3人ともに心に響く演技でした。
言うことないです。

三チームともに違う演出があります。
私が気づいたのは大まかに三つ(他にもありますが)
「じゃんけん」「取材を受ける人は?」「手紙の差出人」
「取材を受ける人は?」では、指差し、寝てるふり等があり、
「じゃんけん」では明らかに後出しじゃんけん等。
特に「手紙の差出人」は深い。
「クリスタル」「エコマン」「わんパーク」
すぐにピンとくる私も変人だ・・・

ギターの弾き語りは、日美野、島田、田村。
ちなみに、あげ葉役の島田が弾いている時は、
「いなり寿司をたくさん食べてありがとう」という手紙の場面で、
「私!私!」と自分に指差すシーンがないのは残念。
ここはけっこう面白いところなんですけどね。

気になった役者は・・・

愛チーム
久野里沙子役の麻生梨里子
彼女の演技は初めて観たのですが、かなりいいです。
瞳パッチリのルックス、体の線も細い。
雰囲気的には今泉舞に近い。
そういえば、武田めぐみも伊藤渚に近いかな。

何より一番思ったことは、彼女は自分の「間」、空間、ワールドを持っている。
自分のテンポで演技ができるんですよね。
それが観客にとっても全く不快ではなく、彼女の演技に乗ってしまう感じ。
表情のつけ方もひじょうにうまい。
父親がちょっと変で苦労をする娘の役ですが、
基本は正統派な役なので、変な癖もなく素直に見られます。
その点もスムーズに見られる理由のひとつ。
この子の違った演技も観てみたい。
2009年も注目でしょうね。

安達あげ葉役の坂本和香菜
あげ葉役はテンションが高く、個性全開で本当に難しい役。
何より、ある意味、自分を捨てないといけない役(爆)
前回の佐達ももこ、相原えみりも相当苦労していましたから。
この役を坂本和香菜。
今までのココスマシリーズや、
花やしき少女歌歌劇団のライブでしか見てない人にしてみれば、
彼女の演技には驚きでしょう。
ルックスのかわいらしさと笑顔のイメージが強く、
あげ葉のあのテンションの高さは意外に思われるかもしれません。
私的には、なんとなくイメージが合っている気がしないでもない(汗)

雰囲気的には佐達ももこ的な演技かな?
バランスが良く、柔軟性があり、強引に突き進むタイプだと思います。

坂本は日美野と同じように眉毛の演技がひじょうにうまい。
それを使っての表情の作り方もいいんですよ。
美少女で、しかもコメディもできるということで演技の幅が広い。
2009年、これをどう活かせるかですね。

森田小雪役の武田めぐみ
う〜ん、抜群にこの役に合っています。
おっとりして、ほのぼのして、少しとぼけた感じの小雪の演技。
4人の中でも一番おいしい役。
武田めぐみの本領発揮という感じかな?
再発見と言ってもいい。
かなりいい出来ばえ。
これはちょっと驚きました。
2005年アニーのペパー役も印象に残ってますが、
ここまで演技ができる子とは思いませんでした。
葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2008では、葉っぱ役だったので、
あまり良くわかりませんでした。
たしかにペパーのつんけんしている役もうまいけれど、
今回のこゆき役もすばらしい。
特に岡本美歌と二人のシーンでは、武田めぐみの訴えかける演技が光ります。
ここは一番良かった。

守口翼役の日美野梓
翼役は役柄的に普通な感じですが、
お金持ちでありながら、ハイテンションのあげ葉ともわたり合えることができ、
それでいてナイーブで文化部に所属したい年長のリーダー。

瞳パッチリの美少女。
彼女は本当にうまい。
『ココスマイル4〜金星のステージ』 2008年のアスミ役が初見でしたが
彼女の演技に観惚れました。
この時の演技、歌、ダンスも素晴らしかったです。

身代金のことを話す時に、
他の3人は自分たちが人質なっても貧乏だから・・・みたいな感じですが、
翼だけは「払えるかも」というボケぶりは面白い。
ここの演技は翼役3人、微妙に違いますね。
私的には日比野梓の演技が一番好きかな。
まゆげの演技もいい感じ。
ツンケンした役もうまいし、コメディの演技もできるし、彼女も演技の幅がひろい。

空チーム
ちなみにど〜でもいい話しですが、「空」というフレーズを聞くだけで、
私は2004年『フレンズ 〜ガラクタ怪獣のなみだ〜』
梢役、安藤聖の歌を思い出してしまう。
「空の笑顔は魔法なの〜」
この歌、最高すぎる・・・

久野里沙子役の今泉舞
前回に続いて、同じ役。
彼女はあいかわらず素晴らしい。
前回と同じ役ということで、それはそれで違うプレッシャーはあると思いますが、
そういうことを普通にできる演技が本当にすごいと思う。

彼女の出番は他の3人の少し後。
彼女以外の3人がすでに演技をしていますが、正直、あまりパッとしない。
ところが、彼女が舞台に出ると同時に一気に変わります。
舞台が締まるんですよ。空気が全く違う。
コメディチックな演技も抜群にうまいし、何をやらせても彼女は舞台の要。

森田小雪役の田代りさ
アルゴミュージカル2008
「花の海 花いろの風−里山小学校5年1組−」では主役のレイ役。
正直、この時はイマイチ感があったのですが、今回は本当にすばらしいです。
私が観た回は調子が悪かったのかな?

こゆき役は、4人の中では静かで落ち着いたタイプ。
役柄的に心配したのですが、
全く無問題で、私の方が失礼でした。
ルックス抜群の美少女で、しかも清楚な雰囲気といなれば、
いやでも目がいってしまいます。

特に一番の驚きは声質。
落ち着いて、丁寧なセリフづかいは本当にすばらしい。
声量が大きいというわけではありませんが、すごくしっかりしています。
まいった・・・私も白旗をあげるくらいにすばらしい。

「じゃんけん」のところは後出しじゃんけん。
田代りさだけ最初にだして、みんなが後から。
ここは笑えました。

安達あげ葉役の島田華衣
ココスマシリーズ、サウンドオブミュージックにも出演する、
私としてはベテランと言ってもいいほどの実力者。
彼女は瞳パッチリ。
柔軟性があって、歌、ダンス、演技と安定感があるところに定評があります。

このあげ葉役は本当に難しいです。
イメージ的には前回、相原えみりが演じた雰囲気に似てる感じでしょうか?
お調子者で、我が道をどんどん進んでいく感じ。
さらには能天気で、自己中。
坂本和香菜のあげ葉とは、また雰囲気が違いますね。
坂本の場合は天然ボケタイプのハイテンション。
島田の場合は真面目にやっていて、能天気なハイテンションという感じ。

「空」チームでの弾き語りは彼女。
歌う場面がありますが、すぐに彼女の歌唱力に耳が動きました。
さすがにうまいです。

守口翼役の藤松祥子
久々の藤松祥子の演技、じつはすごく楽しみにしていました。
「アニー」の時はタップキッズの印象が強く、演技的なものは本当に久々。
ショートカットになったんですね。
セミロングの印象が強く、ショートカットは新鮮。
なんというか、ポケモンの「ポッチャマ」みたいな感じで、すごくかわいい。
正統派な美少女。体の線も細い。
背はあるけれど、お姉さんというよりも幼い印象。

翼はラブリーズの中では一応リーダーなのですが、
藤松の場合、雰囲気的には小雪(田代りさ)に近い。
自分が引っ張っていくという感じではない。
基本、補佐的なタイプなのかな〜?
強引というよりは、やっぱり優しい雰囲気が目につきます。

夢チーム
久野里沙子役の田村花恋
ミュージカル魔法使いサリーでは主役のサリー役。
雰囲気は今泉舞に似てますね。
彼女も言うことないな〜
演技力抜群だし、表情の作り方もうまいし、コメディ的な演技もとてもうまい。
どちらかと言えば、ほのぼのした演技かな?

完全に私目線になってしまいますが、雰囲気が今泉舞と似すぎ。
もちろん、彼女のせいではありません。
田村花恋らしさ、さらなる個性が出せるともっといいかな。
それだけ私の中の過去の映像として、今泉舞の印象が強過ぎるわけでありますが。
クールな役、少し裏がある役も観てみたいです。

安達あげ葉役の中原知南
中村はココスマシリーズでも何回か観たことがあるのですが、
こういう役も出来るんですね。正直ビックリしました。
前述しているとおり、あげ葉の性格はハイテンションで独特。
他のふたり、坂本、島田とも違うあげ葉役。
なんというかな。荒削り。
弁舌が上手で、調子にのりやすい、兄貴分みたいな感じです。

そんなに目が大きいわけではありませんが、瞳の力が強い印象を受けました。
それから意外と低音であることにもビックリ。
「うん、俺も好き」というセリフは私も好き(笑)
男装も似合いそう。
キャラ的には中原知南独特の個性を発揮できたと言えます。
今後どういう路線でくるのか、けっこう楽しみ。

森田小雪役の伊藤渚
彼女は前回も同じ役を演じています。
観てる私としてみれば全く不安はありませんでした。
本当にうまい。

上戸彩にも似た良い意味でのアヒル顔で、コケティッシュなルックス。
何よりこの役に合っていますね。
特に爆弾の手紙のところでは、「ひどいよ」のセリフがはかなげで抜群にかわいいです。
ラブリーズの中では「みそかっす」的存在ではありますが、マスコット的キャラかも。
4人で「ジャンケン」のところは「あっちむいてホイ」でした

演技的に落ち着いた役なので、前回は他の3人に比べて「浮く」ことも少し感じたのですが、
今回はほとんど感じませんでした。
やはり二回目ということで、彼女なりに修正をかけてきたのだと思います。
ラブリーズの「和」にきちんは入っていました。違和感ゼロですね。

守口翼役の吉永まりや
本当に申し訳ないのですが、吉永は正直、喋り方に特徴があります。
私はけっこう気にするタイプなので、「ココスマイル4」の時は気になってしまったのですが、
今回はあまり違和感を感じませんでした。
修正してきたでしょ?明らかに。
そうとう練習した成果が、私には感じとれました。

ルックスは抜群にかわいい女の子。
昔から見ていますが、顔だちは全く変わらないです。
人知れず、影でけっこう努力しているのかもしれません。
とにかく笑顔がとてもかわいい。

リーダー的な役割の翼役ですが、私としては立派に成長したなと思います。
なんとなく今までは「かわいいだけ」という印象が私には強かったのですが、
今回の舞台終わりの仕切り等を見ると、ひじょうにしっかりしてる印象を受けました。
吉永まりやの成長ぶりも感じ取れる舞台。

岡本美歌役の富沢恵莉
彼女は初めて見ました
魔法使いサリーでは魔界の住人のひとりとして出演していますが、
私の印象は薄かったもので・・・

ルックス抜群で、なにより体の線が細い。
手も足も、すごい細さにビックリ。
演技的にはよくやっているものの、パワーが足りないかな〜?
特に小雪と二人のシーン。
相手役の小雪役の演技を受け止められない。
頑張って張り合ってほしいのですが、完全に飲まれている。
観ていて、ちょっとつらいな〜というのが私には伝わってきてしまいました。
それだけ、小雪役の3人がうまかったわけですが。
演技の迫力、パワーが正直欲しかった。
もちろん、荒居直子と同じ岡本美歌をやっても意味がなく、
彼女のなりの岡本美歌を演じてほしいのですが、
もう少し個性を強くしても良かったかな〜と思います。

同じく、岡本美歌役の荒居直子
ココスマシリーズには多数出演している超ベテラン。
何より登場シーンから、オーラ、華がある。
この時点で申し訳ないのですが、富沢恵莉とは比較にならない。

総括
基本は前回同様、同じ話しの流れで、
部分部分、セリフや演出が微妙に変わっているという感じ。
セリフの量は膨大です。
この舞台は、やはり役者同士の演技でのぶつかりあいですから。

エンターテイメント性は無いので、
本当に演劇、舞台が好きでないと観客の集中力は途切れがち。
舞台の流れや、役者個々の表情、セリフ、動き等の面白さを観客自身が見つけて楽しむ・・・
という見方ができるといいかな?

おっとりして、はかなげな武田、演技力抜群のハツラツとしたリーダー日比野、
アイドル顔からの脱却、真骨頂の坂本、自分のペースに観客を引き込ませる麻生の「チーム愛」

姉なのに妹属性を感じさせる伊藤のか弱さ、美形で天性の「華」を持つ吉永、
ワイルドさをかもしだした中原、安定した演技にほのぼの可憐、田村の「チーム夢」

丁寧な声質と穏やかな笑顔で観客を魅了する田代、ポッチャマのごとくかわいいリーダー藤松、
能天気で唯我独尊の島田、場を一変させる演技力をもつ今泉の「チーム空」

こんな感じでまとめてみました。

(敬称略)


トップ     観劇一覧     キャスト     女優