君の心臓の鼓動が聞こえる場所 2008

◆公演時期   2008年11月29日〜12月25日
◆会場 サンシャイン劇場
◆脚本+演出 成井豊+真紫あずき
◆美術 松井るみ
◆照明 黒尾芳昭
◆音響 早川毅
◆舞台監督 村岡晋 二本松武
◆振付 川崎悦子

あらすじ
テレビの脚本家・根室典彦は40歳を過ぎて、いまだ独身。
実は大学を卒業してすぐに結婚したのだが、わずか6年で離婚。
現在、妻と娘は札幌に住んでいる。
クリスマスを間近に控えたある日、突然、娘のいぶきが訪ねてくる。
別れた時、5歳だった娘は、19歳になっていた。
いぶきは原稿用紙の束を差し出して言う。
「私、小説家になりたいの。出版社の人、紹介して!」
人生最大のクリスマス・プレゼント、それは作家志望の家出娘だった。
(パンフレットより抜粋)
観劇感想
キャラメルボックスは、観劇感想には書いてないのですが、私も観劇しています。
「嵐になるまで待って」「あなたが地球にいた頃 」「また逢おうと竜馬は言った」
「サンタクロースが歌ってくれた」その他もろもろ・・・
ちなみに、今は卒業してしまいましたが、今井義博が私のお気に入り(爆)
「また逢おうと竜馬は言った」の岡本役は最高すぎます・・・

パンフレットはなんと無料。
簡易的なものではありまずが、大手なのにありがたいです。
スポンサーさまさま。
ただ、私が観た公演は学生がいる公演だったんですよね・・・
ライオンキング等では、
チケットを予約する際に学生が入る等の告知があるのですが、
予約をするのだから、一声あってほしいかなと。

簡単な話の流れとしては、
典彦と真知子が車で一緒に帰る。
→典彦の家に寄ることになり、いい雰囲気になるのだが、突然いぶきが登場。
→典彦は過去に結婚をしていて、いぶきが5歳の時に離婚。
その後会っていなかったのだが、19歳になって本人が北海道から上京。
→結果、真知子は退席し、娘のいぶきと二人きり。
本人が言うには、自分が書いた小説を読んでほしいとのこと。
典彦はテレビの脚本家で忙しく、無関心。
いぶきが食事を作るが、仕事が忙しく食べられずじまい。
→友人の砂川にいぶきが書いたという小説を見せるが、すばらしい出来と絶賛。
ただ、本人が本当に書いたのか疑問。
砂川がいぶきに少し意地悪な質問をする。
→好きな作家の話しになるが、なぜかいぶきは曖昧な答え。
→結局、いぶきが自分ではなく、友人が書いたことを告白。
そもそも本当に典彦の娘なのか?という疑問もわき、いぶきを問い詰めるが、
そこはかたくなに本人であると強く言い放つ。
→いぶきが5歳の頃、じつは胸に傷を負っていた。
そのことを確認するため、典彦は真知子に頼み、胸の傷を確認してもらう。
→傷は・・・無い。
それでは彼女は誰なのか?なぜいぶきのことを細かく知っているのか?

こんな感じです。

開演前には、携帯等のマナーについての前説的な二人芝居があります。
パンフレットにも書かれていますが、観客のマナーが重要視されているのでしょうね。
ひとり言、飲食、携帯、もろもろ・・・
特に私が一番思うのは、開演中に、携帯をのぞきこむ人が本当に多い。
自分の前方の席でそれをやられると、
暗闇の中で携帯の画面が凄く光って舞台に集中できず、嫌悪感を抱きます。
しかもこれが出演しているご家族・・・ということが多々あるんですよね。
たしかに事務所等の連絡が携帯に届き、緊急な用件があるかもしれませんが、
舞台公演中は絶対にやめてほしい行為。
観客としてのマナーを守ってほしいことは、私もすごく同感。
さらには入り待ち、出待ちも禁止。
面会もバックステージパスがなければなれません。すごく厳しいです。

さて本編。
まいった・・・
ハッキリ言って、ものすごく良かったです。
私の舞台観劇で二度目に涙がこぼれ落ちました。

ちなみに一度目は
『THE スターダスト 〜和製音楽誕生物語〜』 (SET本公演)です。
ボロ泣きではなく、ほんとに一粒だけ・・・
「奇跡の人」でも泣かない私ですから、相当なもの。

基本、完全にプロの舞台なのに気づいた点をいくつか。

あいわからず、全員が登場してのオープニングはかっこいいです。
今回は派手なアクションシーンが無いので、ここが唯一「動」と感じる場面。

照明の使い方もじつに丁寧。
特に車で帰るシーンのサイドからのスポットライトの照射も見事。

キャラメルボックスは物語がかろやかにテンポよく進んでいき、
観客を全く置き去りにしていません。全く飽きないです。
物語がしっかりしているし、コメディもたくさんあるし、個性的な役者ぞろいですし、
それでいて感動する。
非常にバランスがとれているんですよね。
観ているこちら側も、非常に落ち着いて安心して観られます。

セリフ遣いは意外と独特。
慣れればなんてことはないんですけど。

サンシャイン劇場にもかかわらず、私が観るかぎりピンマイクはありませんでした。
すべて生音。
どこかにガンマイクやらが仕掛けられているかもしれませんが、
私はわかりませんでした。
やはり、発声の根本が違うのでしょうね。
それだけ発声がいかに大事であるのか、よくわかります。

気になった役者は・・・
みなさんプロの方ばかりなので、気になった方だけ。

典彦役の西川浩幸
キャラメルボックスでは当然のことながら要。
ただ、たいていおいしい役どころや、ストーリーテラーみたいなことが多いのですが、
今回は出ずっぱりの主役。意外と珍しいです。
控えめで、何か言われたらことわれず、
後でひとりグチグチひとり言を言う性格の役どころですが、まさにピッタリ。
かなり前から見ているせいか、
表面的にみなさん年をとったな〜と感じてしまいました。すみません(汗)
しっかし、最後のところは泣きました・・・いい演技でした・・・

娘役のいぶきが客演の黒川智花
ちなみに芸能人になる前に見かけたことがあるのですが(笑)
それ以来。
彼女は舞台声とはいかないまでも、よく演技をしています。
セリフの量も膨大。
表情の変化もじつに楽しいです。
目がクリッとし、かわいらしいルックスですから、ま〜舞台映えします。

初舞台ですと、自分だけの演技になりがちなのですが、
彼女に関しては全くそんな心配はありませんでした。
落ち着いているし、抑えた演技もできています。
そういえば、ルックスや雰囲気が今泉舞に似ていました。
さらには声質が浅田真央に似てるんですね、今回初めて気づきました。

ネタバレ的になってしまいますが、じつは彼女の役は性格が変わるのですが、
変わった時と前の時の印象の違いがイマイチ私にはわかりませんでした。
もう少し、変化が見える演技や雰囲気がほしいかな?

亀田役の實川貴美子は、美人だし、セリフのカツゼツもいい感じで、
今後すごく注目したい女優。

美華子役、前田綾のどっしりと重厚な演技はすごい。
(パンフの写真がハイアングルから撮られている・・というのは狙いかな?)
砂川役の大内厚雄も知的でかっこいい。
岩見沢役の筒井俊作は完全にお笑い要員で、抜群に良い味でてました。
花絵役の大森美紀子はお婆さんから19歳まで演じていました(笑)
奥尻役の岡田さつきはベテランの雰囲気全開。
ガツガツした押しのある演技は、演じていても楽しかったでしょうね。

今回の舞台では、真知子役の岡内美喜子がひじょうに印象深いです。
ちなみにパンフは瞳パッチリなのですが、舞台では意外と細目な気が・・・
照明等の関連もありますが。
明るく気さくな雰囲気があって・・・典彦でなくても惚れますよ。
感じの良い役者さんで、今後もすごく期待できます。

似たような感じで、亜希子役の温井摩耶ですが、
彼女もパンフと舞台とでは印象が全然違います。不思議だ・・・
役柄的に優しい感じと、気の強い感じを出す役。
本来であれば、坂口理恵が似合いそうな感じです。
気の強い方は、正直ちょっと怖かった(汗)

総括

派手なアクションシーンが無い「静」の舞台なので、
エンターテイメント色は薄いです。
ただその分、家族愛にスポットが当たる物語なので、
感動的な舞台が好きな方におすすめな舞台。
あまり感動しない私でも、今回の舞台では涙が出てしまいましたから。
黒川智花演じるいぶきの、典彦に対する一生懸命さ、
西川浩幸が演じる典彦の、仕事への熱意、そしていぶきへの愛情。
二人の役者のぶつかり合いは見事でした。

ちなみに女性客のみならず、カップルが多いんですよね、キャラメルボックスの客層は。
とても素敵な舞台でした。

(敬称略)


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