公演時期 | 2008年7月18日(金) |
会場 | セシオン杉並 |
原案・脚本・演出 | 戸田幸比古 |
作曲・音楽監督 | 山口琇也 |
振付 | 設楽みのる |
美術 | 岩崎顕示 |
制作 | イマジン |
原作 | ルイザ・メイ・オルコット |
あらすじメグ、ジョー、ベス、エイミーの四人姉妹のお父さんは従軍牧師として、 戦争に行っています。 四人姉妹を支える母親とともに、 彼女たちにいろいろな出来事が訪れます・・・ 感想私は過去に2002年8月と2002年10月にイマジンの若草物語を観ています。 話の流れ的には、フンメル家→ダンスパーティー→ローレンス家、 エイミーの暴走→ベスのピアノ→しょうこう熱→ジョーの髪の毛→クリスマス と、無難にまとまっているので、観ている方は集中できます。 過去の舞台と比べると、今回は大きく演出が異なり、 原作者であるルイザの目線が加わります。 ルイザ・・・つまりは、次女のジョーです。 時に、ジョーと変わってダンスをしたり、内面を吐露したり、 歌ったり、語り部になったり、進行役になったりしていきます。 元々がこういう演出でいこうというスタンスなので、 今さら言っても仕方のないことですが、私はあまり好きではありません。 今までの、普通の流れの演出が良かったです。 ど~してもルイザ視点を入れたいのであれば、 最初からジョーとして登場して、時にルイザになればいいだけのこと。 わざわざ役者が入れ代わる必要はないかな~?なんて思います。 ルイザ視点で一番驚いたのは、 本当の三女は亡くなっていたという事実ぐらいでしょうか? はいだしょうこ、齊藤純子の入れ代わりは、 お互いにとって、もったいなかったかな~? いろいろ事情があるとは思いますが。 じつのところ、この舞台で一番印象に残ったのはお母さん役の岡まゆみ。 めちゃくちゃ存在感ありますね。 四人姉妹よりある(爆) 歌唱力は抜群にうまいし、演技力も全くもって申し分ないです。 本当にすばらしい。 彼女の演技や歌を観ただけでも、観にきた甲斐がありました。 今回は今までの若草物語に比べると、やや性格設定が異なります。 これはわざとそういう解釈をしているのでしょうか? 長女のメグは私の固定観念ですと、おっとりして落ち着いていて、 ゆったりとした口調で、やや天然ボケっぽい感じなのですが、 今回の大野朱美の演技は早口で、意外と活発なんですよ。 次女のジョーと、けっこう良いライバル関係な雰囲気。 ジョーの活発的なところ、 エイミーのおしゃまなところはいつもと同じですが、 ベスの解釈はイマイチ違います。 前半部分的には、長女、次女と同じ雰囲気のところもありますし、 意外と積極的なんですよ。 例のローレンスさんのピアノのところで、 よ~やく物静かな部分が出てくる感じです。 ベス役の小崎愛美理の年齢がやや高いせいかな? それからセットですが、後ろに描かれている画。 ローレンンス氏の家でしょうか? これが抜群にうまい! なんというか、立体的というか、奥行き感があるというか、 画であるのに家のセットのように思えました。 今までの使い回しなのか、初めてのものかはわかりませんが、 この画は私的に素晴らしいと思います。 セットの画を褒めるなんて、私初めてかも。 今回、正直一番印象に残ったシーンは、 ベスの小崎愛美理と、フンメルさん役の染谷妃波の会話で、 赤ちゃんが亡くなったことを告白するシーン。 ここはとても素晴らしいです。 ふたりとも感情移入して感動するシーン。 特に染谷妃波の鬼気せまる悲しい語りは秀逸。 アルゴミュージカルや、 ファイアークラッカーズの「白雪姫ゲーム」でも好演でしたから、 実力は折り紙付きです。 ちなみにど~でもいいことですが、 今回の衣装ではわかりづらいですが、彼女はスレンダーでスタイル抜群。 ベスのしょうこう熱のシーン、今回はやや淡白でした。 前はコロスが出て、おどろおどろしい雰囲気があり、 ベスが病気と闘う、けっこう重きをおいたシーンだったのですが、 今回はあっさりしすぎて、ちょっと残念でした。 病気だから動けるわけはない・・・そういう解釈なのでしょうね。 それと似た意味合いなのかもしれませんが、 フンメルさんの家で食事をするシーンは照明がかなり暗かったです。 というのもおそらく、 フンメル家はかなり生活が苦しく、明かりがろうそくのみということもあり、 その演出として照明の明るさを落としたのだと思います。 演じる役者さんの顔か観られないので、観客はちょっぴり残念ですが(汗) ローリー、ブルック先生の歌唱力は残念。 演技はいいのですが、歌唱力がないとちょっとガッカリ。 気になった役者ルイザ役のはいだしょうこもちろん、基本は彼女目当てで観にいきました。 はいだしょうこの実力を、この目でしかと見たかったからです。 ルイザ、ということで意味合いはジョー。 前述していますが、基本は語り部役。 途中、ジョー役と変わってダンスをしたり、内情を話したりします。 演技、声の発声もテレビどおりしっかり、歌もうまいです。 ただ、やはり基本は語り部的イメージが強いので、 演技演技という感じではありませんでした。 語り部役で集中するのか、ジョー役に集中するのか、 曖昧な感じも観てとれました。 プレビュー公演ということもあり、ちょぴりドキマギする部分もありましたが、 これから地方公演に向けて、どんどん良くなっていくことでしょう。 メグ役の大野朱美どこかで聞いたことある名前だな~と思ったら、 「ハッピーファミリー」で、長女役を演じていた方ですね。 前述しましたが、今回のメグの性格はやや活発的な感じでした。 おっとりした感じではないので、その影響もあってかセリフ回しも早い。 私個人的には、おっとりしたメグの方が好きなんですけどね。 歌唱力は普通かな~? ジョー役の齊藤純子初めて拝見しましたが、私はこのジョー、かなり好きです。 演技、歌、ダンスとバランスも良く、特に表情が豊かで観ていて楽しいです。 ジョーの活発的な雰囲気もが漂っているし、素晴らしい出来ばえ。 今後の彼女の活躍にも期待大でしょう。 このジョー、かなりハマリました。 ベス役の小崎愛美理彼女の舞台を観るのは、 2003年のイマジン・ミュージカル「アルプスの少女 ハイジ」以来。 歌唱力は元々ありましたからね。ここは言うこと無しです。 ただ、昔と比べると、ずいぶん雰囲気が変わっていてビックリしました・・・ お化粧のせいかな~? ベス役は決して下手ではないのだけど、 四女エイミーとの年齢差をすごく感じてしまいました。 エイミー役の金本南希2006「アニー」のテシー役、2007「葉っぱのフレディ」のダニエル役。 彼女の実力は折り紙付き。 今年のアニーのメイキングでは、アニー候補のひとりとして残ったほど。 ちなみに私が観るかぎりでは、 2008年のアニー、荻野七穂、豊原江理佳に比べて勝るとも劣らない。 少なくともこの3人は拮抗していたと思います。 ということで、去年のダニエル役以来の観劇。 うん?というか、まず顔つきが変わりましたね。 すごく生き生きとして、可愛らしくなった・・・今まで以上にね(汗) 表情の表現力も、ますます良くなりました。 やはりおしゃまなエイミー役ですから、表情の変化は重要。 観ていてすごく楽しかったです。 それに加え、演技も、そしてダンスもうまい。 バランスとれてます。 決して下手ではありませんが、あえて言うのなら歌がもうちょっとかな~? ただひとつ言えることは、今回メインキャストでの子役メンバーは彼女だけ。 ということもあり、 他の子役さんとの対比ができなかった面があるかもしれません。 小さくてほどほどに演技ができると、見映えはいいですから。 彼女の場合は、ほどほどの演技ではありませんが(汗) お母さん役の岡まゆみ 前述しましたが、文句無し!! マーチ伯母さん役の大和田りつこ この方はベテランですからね。 コメディチックな演技はうまいです。 今回の公演のアンサンブルとして、佐澤舞花の可愛らしさは目につきます。 それから、白石晴香もかなり目立つ。 出番らしきものはあまり多くはありませんが、 彼女の存在感はかなりあると思います。 体の線が細く、瞳もパッチリ。 次回は演技等が観たいですね。 総括ルイザ視点が必要であったかどうかは、評価が別れるところ。 もう少し舞台の雰囲気がこなれた時に、 再び観劇すると違った印象を受けるかもしれません。 とはいえ、はいだしょうこ目当てで観にいった方が、 お母さん役の岡まゆみの迫力にビックリするかも。 ※敬称略 |