公演時期 | 2008年3月15日~16日 |
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会場 | セシオン杉並 |
作 | やなせたかし |
脚色・演出 | 篠崎光正 |
音楽 | 三島由起子 |
振付 | 深澤恵理子 |
振付タップ | 佐々木隆子 |
あらすじ母親をなくした赤児のライオンのブルブルは、 子供をなくした犬のムクムクの愛情で育てられた。 いつの間にか、ブルブルは犬のような仕草をするようになっていく。 小犬たちとも最初はうまくコミュニケーションがとれていませんでしたが、 しだいに心を通わせていきます。 楽しい生活の中、大きくなったブルブルは元のライオンの仲間の元へと戻されます。 しかしうまく適応できず、サーカスに売られてしまいました・・・ (パンフレットより一部引用) 感想シノザキスタジオのレッスンは本当に為になるレッスンです。誰もが知るところ。 いろいろな面ですごいのですが、実技のみならず、 オーディションの面接等でもその経験がいかされます。 詳細は差し控えますが、他のところとはひと味もふた味も違います。物凄いです。 最初は厳しいけれど、それが後々身に染みて自分でわかってくる・・・そんな感じでしょうか。 だからこそ、シノザキスタジオに通わせたい方が多いんですよね。じつに頷ける話。 これは超大前提。 さて、じつのところシノザキスタジオの公演を観るのは初めてでした。 なんとなく伝え聞いたところによると、やや癖があるという話しでしたので、 私も実際に観てみたいな~と思い、ようやく願いが叶いました。 う~~~ん、独特ですね。 まさに篠崎ワールドと言った感じ。 というか、ワークショップも入ってます。 篠崎氏が演出をしていた「ミュージカル・アニー」が好きな人は懐かしさを感じるでしょう。 セリフの言い回し。これがまさしくアニーと同じ。 というか、これが原点なんですね。初めて知りました・・・・・ 振付。 特にタップのあの振付は、まさしく当時のアニーそのもの。(斜めに両手を開く振付等) 私も懐かしさを感じました。 さらには、誰もが驚かされた「だぞ・ざど・どざ・ぞだ」(合ってるかな?) も演出に含まれているのにはビックリ! また、ボディ・パーカッションもありました。 「やさしいライオン」の物語の中にワークショップが開かれている、 というのが言い得て妙でしょう。 作はアンパンマンのやなせたかし氏ですが、 脚色・演出が篠崎光正氏というのが顕著に表れますね。 ようやく本編。 タイトルにもあるリーディングミュージカルというのは、 基本は語り部ということなのでしょう。 舞台は暗幕のみで、中央にピアノがひとつ。 そこに三島由起子が奏でて、回りの役者が歌うというスタイル。 ただし、物語ですので役はちゃんとあります。 母犬役のムクムク役が三島由起子、 そして主役のライオン、ブルブルが水野貴以です。 他の17人の子供たちは黒いTシャツで統一され、 ピアノの横に整列して状況を見守る感じです。 途中、全員が小犬になったり、ライオンになったり、人間になったり、ネズミになったり、 はたまた障害物になったり、いろいろな動きをします。 ハッキリ言って、全員がうまいし、 犬の遠吠えや仕種、ライオンやネズミの仕種、 恐ろしいほどに細かい描写の数々。 もちろん演技のみならず、ひとりひとりのカツゼツ、ダンス、歌、表情付け、タップ、 どれをとってもすごいです。 それに加えて水野貴以のライオンですからね。 舞台に引き込まれて当然。心が奪われてしまいます。 ただ正直なところ、この雰囲気、好き嫌い別れるな~と思いました。 ここまで完璧で整理整頓した舞台だと、逆に引く人もいるでしょうね。 独特なんですよ・・・・・ 劇団四季の発声も独特なので気になる人がいるように、 舞台やミュージカルが好きな人でも、この発声、独特なセリフの言い回しが気になって、 違和感を感じるかもしれません。 大人の舞台ですが、劇団新感線、SET、キャラメルボックスで、あんな発声しませんから。 あくまでも今のこの年齢だからこその発声だと思います。 それが活かされて大きくなった時にその経験が実を結ぶ・・・みたいな感じでしょうか。 今回の舞台、あくまで私が受けた印象では、 今のアニーに対するアンチテーゼにも思えてしまいます。 私の友人にも、新しい演出家に変わってからアニーを観てない人がいますが、 ま~いろいろです(汗) これを観た他の人の意見や感想もぜひ聞きたいですね。 人によって、受け取り方がかなり変わる気がします。 原作自体を知らなかったのですが、けっこう悲しいエンディングなんですね。 この話をやなせたかし氏が書いていたのには驚き。 なんとなく、なんでもハッピーエンドに終わってしまうイメージがありましたから。 私はこういう終わり方、好きですね。 家族でいろいろ考えさせられるエンディングだと思います。 気になった役者ブルブル役の水野貴以素敵な女性になりましたね(爆) それはともかく、1995年のアニー以来ですから(汗) 久々も久々。久々とおりこしてます・・・ おっそろしいほどに抜群の演技力。 ライオンの子供の仕種、はかなげな少年のような表情、柔らかな歌声が印象的です。 ムクムク役の三島由起子母親としての穏やかで包み込む演技が観客を魅了しました。 さて、以上の二人以外は基本はその他大勢となります。 前述したように、子役さんたちは全員黒いTシャツ姿なので誰が誰やら全くわかりません。 ですから、顔で判断するしかありません。 私は全てを把握しているわけではないので、見知った顔だと・・・ 加藤ゆらら、シャイ樹菜、根本玲奈、高木夏美、池松亜美、 荒原美咲、牛込星蘭でしょうか? シャイ樹菜存じあげている名前の中で、私的に一番印象に残りました GANG2006にも出演していましたが、失礼ながら私はほとんど覚えていません。 その彼女が、ここまで実力をつけたのには驚き。 何といっても、最初に水野と対決しましたからね(笑) 犬の演技、本当に素晴らしかったです。 この場面以外にもけっこうピックアップされてました。 彼女の努力ゆえの結果でしょう。見てる人はちゃんと見てますよ。 もちろん全員、なみなみならぬ努力をしていますけど。 彼女の場合、過去が地味な役柄だったからこそ、 ここまで成長したという意味合いが大きいです。 ヘビ役・・・誰かな~?クネクネしたところがかなり印象深いです。 ネズミが登場するシーンでは、4人登場しましたが誰が誰やらわかりません・・・ ただ根本玲奈は、やはり目立ちます。 見知っている顔だから仕方ないのですか、ど~しても彼女の演技が気になってしまう。 「警察官は何をしてる~!」みたいなセリフも印象深いです。 それから荒原美咲 表情の付け方がうまいですからね。けっこう私の記憶の中には残ってます。 総括「さすが!!」「やっぱり、昔のアニー最高!!」 となるか、 「う~~~~~ん」「ど、独特ですね・・・・・」 と、後半部分が口をつぐんでしまうか。 あくまで、私の考えだと感想は両極端だと思います。 言い方が難しいですが、 「こういう舞台もあるんですね~」 という風に感想を述べたほうが無難でしょうか? 物語自体はすごくしっかりしているし、内容もとても良いのですが、 ひとつひとつ何かしらに癖があることで、好き嫌いが別れる舞台だと思います。 リーディングミュージカルですので、そこに集約されるでしょう。 ※敬称略 |