リズミックタウン

◆公演時期   2007年12月26日〜12月30日
◆会場 シアターサンモール
◆脚本 武居秀剋
◆演出 宇治川まさなり
◆振付 鳥居かほり
◆プロデューサー 林建吾
◆エグゼクティブ・プロデューサー 伊藤綾美

あらすじ
この町に住む少女メイは母親のリンと二人暮らし。
リンはこの町の歌手で、町でも有名人。
クリスマスが間近に迫ったこの時期に、
メイの父親がじつは大富豪であり、メイを引き取りたいと言ってきた・・・
(パンフレットより抜粋)
観劇感想
妖精はダブルキャストですが、A組のみの観劇感想。

基本は大人の舞台です。
みなさん実力者ぞろいなので、舞台に集中できるできる。
とても楽しかったです。
ストーリーがしっかりしていますし、話しの伏線もあったり、その裏付けがあったり、
徐々に謎が解きあかされていく流れも非常にわかりやすかったです。
家族向けですから、わかりやすいのが一番。

全体の流れとしては面白いのですが、気になるところがふたつ。
テールとその両親が「離婚」について問い詰めるシーン。
そ、そんなにコメディチックだったのでしょうか?
ちょっとビックリしました。
演出の宇治川まさなり氏っぽいといえば、ぽいかな?
ちなみにミュージカル ギャラクシーエンジェル Re-MIX
赤坂さなえ、長谷川桃がユニットを組んでいた「雅 」の「花鳥風月」でも、
演出をされていました。
この場面、私はあまり好きではありません。
しかも、ここのネタが私には全く笑えませんでした。

さらにここで、ニールが突然倒れます。
ええっ〜!?
ちょっとビックリ。
その後、ベッドで安静にすることになり、
離婚問題でゆれる両親も付きっきりで看病をします。
シーンは一瞬ですが・・・

う〜ん、意味合いは、
両親の子供に対する愛の再確認を表しているとは思いますが、
ここの場面に関してはあんまり意味がよくわかりませんでした。
ひどい話しながら、看病した甲斐もなくニールが亡くなる・・・
という話しであればわかるのですが、よくわからないうちに復活してしまうんですよ。
なにこれ?という感じ。ここのシーンは私としては必要ない。
まっ、いろいろ出番の問題があるかもしれませんが。物語の流れとして。

ただまぁ〜、最近は「離婚」の話がよく出てきますね。
この舞台に限らず。
ファミリーミュージカルとしては「家族愛」をキーワードのひとつとすることから、
その意味合いがあるのでしょう。

「人の不幸は蜜の味」というセリフは、いろいろな意味において、
誰もが胸に痛い言葉でしょう・・・・・

気になった役者さんは・・・
大人キャストメンバーは完全にプロなので、簡単な印象。
リン役の大鳥れいの歌声は本当に素晴らしいです。
舞台で美声を聞かせてもらえると、とても幸せな気分になります。

ダボ役の小宮孝泰も抜群の演技力。
深夜の舞台中継で彼が主役の舞台を観たことがあるのですが、
とても印象に残っています。
で、一度彼の演技を生で観たいな〜と思っていたのですが、
今回それが叶いました。
演技としての格好良さが伝わるんですよね。
ダボ役もお見事でした。

メイ役の森本祐加
基本は大人の舞台ですが、
メイが中心となるのでこの役が下手だと舞台が台無しになります。
その彼女は、なんとこれが初舞台!!
どんな感じになるのか、かなり心配したのですが、
ど〜して、ど〜して、初舞台とは思えない演技力を発揮してくれました。
ひとみパッチリで、ルックスは抜群に可愛らしいです。
モデル系でもすぐに通用する容姿なので、
これからたくさんのファンがつくことでしょう。

まず印象に残ったのが表情付け。
かなりうまいです。
ひとみだけを動かして演技をしたり、眉間にしわを寄せたりと、
かなり高度なテクニック。
よほど表情の筋肉を柔らかくしてないとできませんよ。
特に子供の時は顔の筋肉が固いですからね。
それができてしまうところがすごい。

演技も初舞台とは思えないほど堂々としています。
恐れ入りました。
相当な実力者です。
本人にやる意志があれば、2008年大ブレイクすることは確実。
あえて言うなら、セリフのカツゼツはもう少し頑張ってほしいかな?
それから、歌唱力もダンスも現時点では並クラス。
さらに、表情付けはいいけれど瞳の強さが少し怖い。
表面は可愛らしいルックスなのに、裏では何か計算しているのではないか?
という悪女に見えてしまうんですよ。あくまで私としては。
だから、いまいち彼女のセリフは信用できない。
演技をしていても、
「この子は本当にそう感じているのかな〜?」とか、
「このセリフは本心ではないんじゃないかな〜?」なんて疑ってしまいます。
表情ののつけ方はうまいのだけれど、悪い意味で表情に癖、とげがある。

初舞台ということですから、これは仕方がないのかもしれません。
次回以降、このとげとげしさが抜けることを期待します。
まぁ〜こういうものは練習量で克服できるので、たいしたことではありません。
ただ、初舞台って本当かな〜〜〜?
あまり表に出ない、小さな舞台には出たことがあるのかもしれませんね。
表情についていろいろ言いましたが、実力があって期待をこめているからこそ。
演技的には全く申し分のない出来ばえで、
少なくともこの舞台に限ってはメイ役を十分に自分のものにしていました。

テール役の蔦木竜堂
2007葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜ではダニエル役。
私的にはダニエル役はイマイチだったのですが、
今回のテール役の方が私は好きです。
おそらく変声期でしょうか?
少しかすれ声でしたが、違和感はほとんどありません。
どちらかというと低音で「男子!」という感じの方が彼には似合います。
テール役は、メイに続いて子役としてはメインなので出番も多いです。
大人のキャストとも良くかみ合いました。
演技はうまいですから。
男の子は変声期で低音になることによって舞台系から退くこともあり、
蔦木竜堂には、ぜひとも頑張ってほしいです。

ラオ役の杉浦太雄
噂には聞いていましたが、彼が杉浦太陽の実の弟なんですね。
声の張りもいいし、カツゼツもしっかりしているし、演技もいいです。
私はすごく好印象を受けました。

カーナ役の白木原忍
演技も歌もすばらしい。

マウンキン役の大至伸行
少年陰陽師〜歌絵巻〜の大怨霊役でも出演していました。
で・・・・・今回の役は抜群に良かったです!!
思うに、大怨霊役という、いかにも強いという役も良いのだけれど、
怖そうな雰囲気で、じつは優しい性格の持ち主という役の方が彼には合いますね。
このリズミックタウンの舞台は、感動する場面が何ヶ所かあるのですが、
私的には彼とメイたちが初めて会った場面が一番感動しました。
たしかにエンディングも泣かせる演出なのですが、
そちらよりも私はこの場面が好きです。

それにしても今回のこの大至伸行の存在感、演技力には驚かされました。
思ったのですが、「アニー」のウォーバックス役もありでしょ?(爆)
存在感もあるし、怖い雰囲気もあるし、スキンヘッドだし、
今回はあまり本領が発揮できませんでしたが、歌唱力もすごいですから。
演出のビショッフ氏がついに英断!・・・・・・・・ってことは、まぁ〜ないかな(汗)

トナ役の武内由紀子
どこかで聞いたことあるな〜と思ったのですが、
大阪パフォーマンスドールの一員だったんですね。
今田耕司、東野幸治と結成した「WEST END×YUKI」の曲
「SO.YA.NA」も印象深いです。
と、いろいろ調べたら・・・ちょっとツッコミが入れにくく・・・
しかも舞台の内容とからんだり(汗)
でも、笑顔で演技を頑張ってくれました。

妖精トミー役 相馬毬花
あの〜妖精のダブルキャストの意味がわからないんですが・・・
出番がたくさんあるわけでもないし、セリフがあるだけ。
演技の実力的には抜きんでてうまいです。ダンスもカツゼツも。
ただ、この妖精役では彼女の実力を発揮できずじまい。
すごくもったいない。

妖精カール役 落合梨々香
彼女も演技やカツゼツはじつにしっかりしてます。
が、この役では感想も書けません。

小さい妖精のメンバーは、
パンフレットの写真と実際の顔がなかなか判別がつかなくて難しいです。
その中でも北條真央は印象に残ったかな?
可愛らしいルックスだけでなく、舞台上の落ち着いた雰囲気が魅力的。
あとはSaKiという女の子かな?
ルックスだけの印象なので、どうこう言うものでもありませんが。
実力者ぞろいの大人の役者が出演する同じ舞台に立つわけですから、
他の子にとってもすばらしい経験になったことでしょう。

総括
基本、大人の舞台なので、じっくり舞台に集中できます。
重要な役どころである、メイ役の森本祐加の演技は初舞台とは思えないほど秀逸。
驚かざるをえません。
エンターテイメント性はありませんが、じっくり演技を魅せるという感じですね。
年末、ご家族で楽しめる舞台です。

(敬称略)


トップ     観劇一覧     キャスト     女優