ミュージカル「ウーマン・イン・ホワイト」

◆公演時期   2007年11月18日〜12月2日
◆会場 東京 青山劇場
◆作詩 アンドリュー・ロイド=ウェバー
◆作曲 デヴィッド・ジッペル
◆脚本 シャーロット・ジョーンズ
◆演出 松本祐子
◆翻訳・訳詩 竜真知子
◆音楽監督・指揮 塩田明弘
◆衣装 小峰リリー
◆振付 夏貴陽子

あらすじ
夏の風の夜、ひとりの絵画教師ウォルター・ハートライトが線路を歩いていた。
列車が途中で止まってしまったからだ。
その途中、鉄道員に会うのだが、彼は夢の中で自分にあったことがあるという。
奇妙な話と思いつつ、さらに歩みを進めると、そこに突然白いドレスの女性が現れる。

出会った女性は夢か幻か?
奇妙な幻惑にとらわれながら、ハートライトは広大な屋敷リマッジ・ハウスに到着する。
彼を迎えたのは、
仲良しの姉妹、才気あふれる姉のマリアンと美しい妹のローラだった。
観劇感想
観劇しました。
ハッキリ言ってめっちゃ面白い。
サスペンス、ミステリーミュージカルですね。
ということで、ネタバレするのは私としては嫌なので、無難に感想を書きたい思います。
といっても、みなさんミュージカル界のプロ、大物なので、
「すごい」という感想しかないのですが・・・

公演時間は3時間。
女性客の方が圧倒的に多いです。
飽きることは全くありませんが、
私的に言わせてもらうと前半部分の方が私は好きですね。
前半の謎やミステリーを自分であれこれ考えている時の方が楽しかったです。
後半の謎が解かれていく部分になると・・・ちょっとね・・・
前半でだいたい予想がついてしまったもので(汗)

「レ・ミゼラブル」のように全てのセリフが歌というわけではありませんが、
かなりのセリフが歌になっています。

オーケストラ・ピットが左上にある、というのもビックリ。
私は初めてでした。
その音楽もあってか、音響効果は抜群です。
特にジャンルがミステリーなので、観客を不安にさせる音楽が心に響きます。
低音の打楽器は、心臓に重い感じ(笑)
おどろおどろしい音楽は抜群でした。

何かにつけて、ローラの神田沙也加と
アン・キャスリックの山本カナコが似ている・・・・・という話が劇中で出てくるのですが、
ど〜考えても似てない・・・と思ったのは私だけ?
顔だちが違うし、目も違うし、なにより声質、歌唱力が全然違うんですけど・・・・
仕方のないことだとはわかるものの、違和感は存在します。

ベッドの上にいるローラがあることによって・・・・・
という場面では、私も混乱しました。そして騙されました(笑)
演出家はしてやったりですね。

演出としてカミナリの音があるのですが、ここがうまい。
とある人物ふたりの密談に合わせて大きな音をだし、セリフを聞き取りにくくしています。
観客も重要な話しなのに、
肝心なところが何を言っているのかわからないんです。面白い演出。

気になった役者は・・・

とにもかくにも、主役の笹本玲奈
これが、ものすっごい。
演技、間合い、歌唱力、表情付け、非の打ち所が全くありません。、
過去に 2002年ピーターパンを見たことがありますが、
あの当時とは比較になりません。
はかながげ表情、気の強い表情、複雑な感情を表に出せないつらい演技、
ものすっごいです。
エンディングの何とも言えないところが、またいいんですよ。
あそこの微妙な演技は本当に難しいと思います。
そうそう、キスシーンがあるのには驚きでした。

これからもガンガン舞台の主役をこなしていくことは確実。
そして、おそらくいずれはいきなりテレビ、または映画の主役を張ることもあるでしょう。
ホリプロも必ずそれを狙っているはず(笑)
今は隠し玉として温めているのではないでしょうか?
誰もが彼女の演技を求め欲してくる・・・気がします。

ローラ・フェアリー役の神田沙也加
別所哲也との二人のナンバーは、やっぱり少し神田沙也加が弱い。
ま〜仕方のないことではあるんですけど。
神田沙也加としてはさらに努力を続けることでしょう。
とりたてて「下手」というわけではありません。
声量はまだまだ物足りないし、高音も無理やりだしている感じではあるものの、
おそらく前半はややセーブしていたと思います。後半の歌は頑張ってましたから。
歌声の質としては、他の方とは比べものになりませんが。

演技としては、すごくよくやっていると思います。
可憐でかわいらしいローラ・フェアリーという役柄ではありますが、
天真爛漫なかわいらしさではなく、やや気の強い印象を持ちました。
この点はマリアンとちょっとかぶりますね。
年齢的なこともあって、そんなに少女少女できないので仕方ありませんが。

神田沙也加の演技で一番印象に残ったのは、
ヴェールを被ったところ(あまり深く内容が言えないのがつらい)
ここはとても好きですね。彼女の現時点での集大成が良く出ていると思います。

ウォルター・ハートライト役の別所哲也は言うことないな〜
演技もうまいし、歌唱力も抜群。
今回はかっこいい絵画の先生役ですが、
爽やかな青年の演技は見事と言うしかないです。
あえてひとつ突っ込むのであれば、落ちぶれたところまで格好良過ぎるところかな(笑)
それから前半は出番があるものの、
後半が少ないのはちょっともったいない気がしました。

パーシヴァル・グライド卿の石川禅は独特な雰囲気があっていいですね〜!
パンフレットに載っている本人のコメントにもあるように、
特定の人格にしないような演技が本当に難しかったことと思います。
ちなみにど〜でもいいことですが、
小説「銀河英雄伝説」の登場人物、ミュラーの旗艦が「パーシヴァル」です(汗)

フレデレック・フェアリー役の光枝明彦、フォスコ伯爵役の上條恒彦
ふたりともに超ベテランなので、言うことありません。
上條恒彦のソロ「私はパーフェクト」のナンバーは最高にいいですね!
迫力ある声量で聞き応え満点。

アン・キャスリック役の山本カナコは、劇団☆新感線のメンバーなんですね。
笹本玲奈の次に印象に残りました。
このパンフレットのコメントがじつに興味深いんです。

本格的なミュージカルは今回が初めて。
本格的な歌唱指導も初めて。
ミュージカルは全く知らなかった。
劇団☆新感線でミュージカルのパロディを演じる際に少し調べた程度・・・


にもかかわらず、彼女の存在感はものすっごいです。
私、普通にミュージカル系の役者さんかと思いましたから。
声質は当然のことながら舞台系だし、
歌唱力、声量は少なくとも神田沙也加よりは遥かにあります(爆)
響きがただ高音なだけでなく、しっかりと聞き取れる高音ですから。

ミュージカルを知らなくても、本格的なミュージカルに出演することができる・・・
無論、才能や努力、運は必要ですが、
小さい頃からの積み重ねはあまり関係ないんだな〜と思ってしまいました。
まぁ〜子供の舞台と大人の舞台を比べる必要はありませんが、
なんとなく、いろいろ奥深く考えてしまいます・・・

この舞台では、アルゴミュージカルにも出演した俵和也も登場。
基本はアンサンブルですが、私はすぐに目につきました(笑)
男性から見てもかっこいいですから。

今回、子役は斉藤瑛梨寿
これだけの大きな舞台なので、かなりのチョイ役を予想していたのですが、
そんなことは全くなく、出番が意外と多かったです。
結婚式のシーンではソロ!ビックリ〜!
彼女はフレンズ 〜ガラクタ怪獣のなみだ〜でユウカ役でしたが、
声質が良くて、すごく聞き取りやすいんですよ。
しかもセンターで登場。
印象的にはかなり美味しい場面で登場しています(汗)
少女のかわいらしさもありますが、
村人として登場する少年らしさも持ち合わせています。

総括
エンディングがど〜なるのか言えないのがつらいのですが、
ひとつ言えることは、
「マリアンの生きざまを見ろ!」
という感じでしょうか。
女性は心に響くでしょうね。
男の私でも「う〜ん」と考えさせられましたから。
そんなこともあってか、デートに最適な舞台だと思います。
彼氏、彼女がいる方はよりいっそう愛が深まる・・・・・かな?(汗)

(敬称略)


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