ブロードウェイミュージカル ピーターパン2007年


公演時期   2007年7月20日(金)〜7月31日(火) 
会場 東京国際フォーラム ホールC
演出・潤色・訳詞 松本祐子
翻訳 秋島百合子
音楽監督 宮川彬良
美術 堀尾幸男
照明 勝柴次朗
衣裳 前田文子
振付 玉野和紀
声楽指導 泉忠道
フライング 松藤和広
音響 井上正弘
舞台監督 二瓶剛雄

あらすじ

イギリスのロンドンにあるダーリング家の子供部屋。
両親がパーティーに出かけ、寝静まった子供部屋に、
一人の男の子と光の妖精が飛び込んできます。
彼の名はピーターパン、そして妖精はティンカーベル。
ピーターパンは先週もこの部屋に忍び込んでいたのですが、
その時に家の愛犬であるナナに自分の影を捕まえられてしまい、
ダーリング夫人によってタンスの中しまわれてしまったのでした。

それを取り戻そうとやってきたのですが、影を見つけたもののくっつきません。
悲しんで泣いているピーターパンを、
目を覚ましたこの家の少女ウエンディが、影を縫い付けてくれました。
騒ぎで、マイケルとジョンを目を覚まします。
喜んだピーターパンは子供たち3人に空を飛ぶ方法を教えてあげました。

ティンカーベルの道案内で、ピーターと3人の子供たちはネヴァーランドへの旅に出かけます。
(パンフレットより一部抜粋)

観劇感想

1996年2002年2005年にについで4回目です。
内容的には大きな変化は無いので、上記を参照していただけると幸いです。

ゲネプロ等あったようですが、あくまでゲネ。
本番とゲネが全く違うことは、舞台をやっている人なら誰でもわかること。
ゲネで判断なんてできません。
本番を見なければ何も語れませんから。

つくづく思うことが、子供を飽きさせない演出はすごいと思います。
ど〜しても、舞台として考えさせられるシーン、静止してしまうシーンは出てきます。
物語として重要な「止め」の部分ですが、子供たちにしてみれば退屈極まりない。
そういった部分が全く無いんですよね。子供たちも長く集中して舞台を観ることができます。

演出場面として、影がひとりでに動いてしまうシーンが無くなっていたのは寂しいな〜
あの演出、けっこう好きだったんですよね。
普通にスルーで、影を縫いつけて終わりは悲しかった・・・

ちょっとうろ覚えですが、
ティンク(妖精)が弱まってしまった時に両手ですくうという演出は過去にあったでしょうか?
ここのシーンはけっこう印象的でした。

あいかわらず、タイガーリリー率いるインディアンの衣装はかっこいいです!
黄色とオレンジの帽子、青のズボン、赤の手足の飾りつけ、色の三原色が綺麗にまとまっていて、
私が欲しいくらい(笑)

後日3階席のスカイシートでも見たのですが、
ラストナンバーでは、3階席まで役者さんが上がってきて盛り上げてくれるんですね。
2階席ぐらいは来るだろうな〜と予想していただけに、3階席まで来るとは思いませんでした。
これは子供が喜ぶはずです。初めて知りました。

気になった方は・・・

ピーターパン役の高畑充希
ホリプロの秘密兵器(?)と言われる彼女ですが、よ〜やく見ることが叶いました。
うん、これはうまいです。
演技もしっかりしているし、表情のつけ方もいいし、瞳の使い方もうまいし、
カツゼツもいいし、歌唱力も素晴らしい!
初日ということで緊張している感はかなり感じとれましたが(汗)
得意な歌も、少し震える部分がありました。これは仕方ないでしょうね。
それでも歌の響きはあります!
駆け回りながら歌をところもあるので、息継ぎも聞こえます。それだけ生音だということ。
ピーターパンとして頑張っている姿が、この息継ぎにもでてますよ。

若さゆえの経験の無さが目につくところはあります。
まだ自分自身のピーターパン像を確立していない感じ。荒さはあります。
おそらく、毎日の公演を重ねるごとに彼女本来のピーターパンを確立していくことでしょう。

主役ということでセリフが膨大なこともあり、
言葉を発することに集中しすぎて感情を入れ忘れるところもあります。
俗にいう「ただ喋っているだけ」というもの。
毎日の公演を経て、言葉にも気持ちがよりいっそうこもってくると思います。

フライングのところは、縦回転あり、横回転ありでかなり頑張ってくれました。
あえてひとつツッコミをいれるのなら殺陣を頑張ってほしいかな?
普通の演技としてのスピード感はあるのですが、
殺陣の時のスピード感が無いので見映えが悪いです。
「ピーターパン、カッコイイな〜」と思えるような、
スピーディーな殺陣ををこれから身につけてほしい。

それから、ニワトリ?だかのモノマネの擬音。
「クワァッ、クワァッ、ククワァ〜!」と叫ぶところ。
ここはイマイチだな〜もう少し頑張ってほしい。
意外と重要なんですよね、ここは。
間違いなく演出家にも注意されてたと思う。

あまり彼女のことは知らないのですが、演技、歌は抜群。
ただ、ダンス系は苦手かな〜?と思いました。
それを加味してもデキとしては申し分ありません。すばらしいピーターパン。

それからひとつ。彼女の特徴なのかクセなのかはわかりませんが、
素早く首をスッと横に曲げて瞳を動かすところがあります。
ここがなんとなく面白かったです。あくまで私の気づいたところ。
1日2公演もあることから体力勝負です。これから相当体力を消耗していくことでしょう。
体調管理には気をつけてほしいです。
宮地真緒はかなり激ヤセしてましたから、今回の激しい動きを見ると高畑充希もちょっと心配。

ダーリング氏、フック船長の鶴見辰吾は言うことなし。
カッコいいし、面白いし、歌もいいし、迫力あるしで、本当に言うことがない(笑)
ダーリング氏の時は普通の声質で、フック船長の時はダミ声。
この切替がまたいいんですよ。子供だと同じ人がやっているとは思えないかも。
予想どおりの素晴らしい演技で大満足でした。

ウェンディ役の剱持たまきは、まぁ〜ギリギリかな(汗)
少女役ですからね。
イメージ的には、2002年の芳本美代子かな?
あそこまで弾けてはいませんが(笑)
可愛らしい感じのウェンディだったと思います。
本当はもう少し少女らしさか欲しかったのですが・・・
ちょっと驚いたのは歌うところ。
けっこうアダルトチックな歌唱力なので、少女の歌声としてはどうかな〜?と思いました。

タイガーリリーの峯眞琴はいつもの力強いリリーではなく、
優しく柔らかく優雅なダンス。
しかも声がかわいい(爆)
ちょっとビックリしました。今回はこういう演出なのでしょうね。

それでもって今回の一番の目玉は、たぶんスミー役の植本潤
この役は、毎回三枚目的な役柄なのですが・・・・・・

オカマかよ!!
だがそれがいい!
フック船長を食ってしまうほどのパワーを持っています(笑)
しかもカツラで、中身は丸坊主(爆)
反則でしょ、それ!!
かなり面白いです!
子供が飽きるわけがない。

ジョン役の大久保祥太郎は抜群にうまいです。
演技、そしてカツゼツもしっかりしています。
声がじつに聞き取りやすい。
舞台歴を見ると、そうとうな経験者ですからね。下手なわけがない。

マイケル役の岡田花梨
ダブルキャストで奈良柚莉愛なのですが、私が観た回は偶然にも岡田花梨。
2006年のアニーではモリー役でした。
表情のつけ方はうまい。そして何よりダンスがすごい。
かなり踊りまくってました。
少年ということで力強い振付でしたが、男の子らしさはビシバシ伝わってきます。
ただ、いまいちカツゼツが悪い。
特に、自分の好きなことを考えてフライングするシーンでの最初の言葉。
何を言っているのか全然わかりません。
ここは次回しっかりしてほしいかな。

ナナ/ワニ役の池崎リョウの犬の鳴き声は素晴らしいです。そのまんま。
着ぐるみは本当に大変です。

総括
なによりファミリーミュージカルなので、飽きさせないことが第一。
それを完璧にこなしているのがこの舞台。
休憩込みで約2時間半。全く飽きることがありませんでした。
ほとんどずっとクライマックスな状態なので、飽きる理由が無いです。
さすがホリプロという感じ(爆)
ちなみに私はホリプロ関係者ではありません(笑)
超おすすめです!
(敬称略)
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