本文へスキップ

エターナルファンタジーはファミリーミュージカル公演サイトです。

森は生きている 2006年7月観劇感想

満足度星星星半星空星
公演時期 2006年7月26日(水)~30日(日)
会場 全労済ホール スペースゼロ
演出・作詩 安崎求
振付 名倉加代子
音楽監督・作曲 脇田崚多郎
脚本・演出・プロデューサー 川崎登
原作 サムイル・マルシャーク

あらすじ

日は12月最後の日、 新しい年がもうそこまできている、夕方のことでした。 雪の降りしきる森の中を、ひとりの娘が、 たきぎを積んだ小さなそりをひいて家に帰ってきました。 みなしごが寒さにふるえがら家に辿り着くと、継母が言いました。 『もう一度森へ行って、マツユキソウをつんでおいで、 女王様のおふれが出たんだから・・・』 女王様の言葉は絶対・・・ しかもマツユキソウは春に育つもので、 冬にあるはずがありません。 そうとわかっていながらも、 娘は、かごを持って森へでかけました。

もう日は暮れて外は吹雪です。 娘は激しい寒さでこごえてしまいそうになります。 とその時、森の奥の方にたき火の火が見えました。 それは、12の月の精たちが、 1年に1度の集まりのために、たいていたのです・・・・・

感想

2004年、2005年に続いての観劇です。 Aバージョン、Iバージョンは観劇しましたが、神戸公演は観ていません。

変わったと思われる部分を述べると、
  • 12月の出番を増やした。
  • ややエンターテイメント向けになった。
  • 継母と義姉が男役になった。

こんな感じでしょうか?

去年は12月の個々の印象がかなり薄かったのですが、今回の場合は出演シーンが多く、 印象に残ります(セリフ無しで立っているシーンが多いのですが・・・) 今回はここを重要視したのかもしれません。 また、去年は原作を忠実にじっくりとした芸術的な作品として仕上がっていましたが、 今回はエンターテイメント性がやや強かったように思えます。 明るく楽しくコメディチックな感じでしょうか? 芸術的作品も良いですが、私的にはこちらの方が好きです。

継母と義姉役の方が今回は男性。 全く問題なく楽しめました。 笠原浩夫と青木隆敏の掛け合いはふつ~に楽しかったです。 いじめる女性の役は男性でも全く違和感ないんですね。 あえて言えば、最初のマツユキ草のダンスの振付は、もう少し変化があると良かったかな?

今回は男性陣が秀逸。 ルックスだけでなく、舞台経験豊富な方ばかりで本当に安定して見ることができました。 女性優位(?)のミュージカルで、男性陣がこれだけしっかりしていると見応えあります。 今回一番の要だったかもしれません。

途中にある、森の女神とカラス3人のダンスシーンはとても楽しかったです。 あそこは毎回いれてほしいな。

一幕最後で、4月とダンスをしているのは、今野愛と石毛美帆。 重要な役どころであることはわかりますが、 暗いし、短いしで、ちょっともったいないかな? せめてもう少し長いダンスが欲しかった・・・・・

最後に、「こういうお話がありました、それはこういう理由なんです・・・」 という、物語の説明、物語を通して知ってほしい解説的な歌があるのですが、 ここは好き嫌い別れるかもしれません。 優しく言えば、子供でもわかるように説き伏せる歌なので、わかりやすいことはわかりやすいです。 ただ、舞台を通し、 声に出さずも観客自身がそれを感じとってほしいと考える人にとって説明的な歌は、 逆に強制的に思えてしまい引くでしょうね。 いわゆる「そんなことはわかってる。それを言っちゃ~おしまいだよ」という感じです。 このバランスが難しいんです。 今回は子供向けのこともあり、わかりやすく説明的な歌詞をいれたのかもしれません。

気になった役者

特筆すべきは、間違いなく黒木マリナ

すばらしいです。 去年はアニメ声で、それはそれで良かったのですが、今回は女王役。 どんな感じになるのかな~?とかなり注目していたのですが、全く問題なくすばらしかったです。 たしかにかわいこブリッコしているところはアニメ声にしていましたが、 それ以外は舞台用の威厳のある声質になります。 声がハッキリしているし、聞き取りやすいし、早口でも何を言っているのかよくわかるしで、 文句のつけようがありません。 演技的に去年の神戸みゆきは物凄かったのですが、 どちらかと言えばサラッとした感じの女王でした。 意地悪でわがままなのですが、どこか憎めないかわいい女王という感じです。 マリナ女王の場合は違います。 可愛らしいところと意地悪な部分が対比しています。 陰険な感じが出ていますね。 不快な時は豹変するところが楽しいです。 どちらがいいというのではなく、去年との個性の違いがあって新鮮でした。

彼女は目の配り方、瞳の動かし方が抜群にいいです。 あれは独特ですね。 歌唱力も抜群。 あれだけの声量、文句無いでしょ。 とにかく彼女を見ているだけで舞台に引き込まれます。楽しいです。 これからどういう路線に進むかはわかりませんが、帝劇コースに進む道も十分に考えられます。 それだけの才能の持ち主。

娘役の柳沢なな

彼女の演技は初めてみました。 なかなかいいですね。ルックスが良く、目がパッチリしていて目立ちます。 可憐な感じの演技はとても好感が持てました。 目を見開き、ウンウンとうなずくところはとても良かったです! まだまだ未完成のところもありますが、これからいろいろなことを吸収してほしいですね。 ただ、歌唱力はちょっとつらい。 頑張っているのはわかりますが、さらに高音が出ることを次回に期待したいです。

1月の相本久美子のルックスは相当好き(笑) 演技も凛としたところがじつにいいんですよね~! 当然のことながらベテランさんのなので言うまでもありませんが。 ただ、歌は普通な感じでした。もう少しパワーあっても良かったかな?

2月の青木堅治の低音の歌唱力もいいですね!

3月の石川由依

初めての観劇。ややアニメ声なんですね。長めの歌では無かったのでそれほど印象には残りませんでしたが、 去年の黒木マリナを彷彿させるような柔らかな歌声でした。 演技的に舞台上では落ち着いた感じで良かったです。 それから、なぜか彼女は不思議と出番が多い気がするんですよね。 3月、女官、民衆。他の方も3役もっている人はいるのですが、不思議と彼女は目立ちます。 なんでかな?

4月の篠田光亮の歌唱力も秀逸。 ルックスもカッコいいし、演技力もあります。 娘のことをどう思っているのか? 微妙な立場だけに、演技的には難しかったと思います。 曖昧な感もある4月の演技はとても好感がもてました。 ほんと、今回の男性メンバーは見応えあります。

10月の河村和奈はルックスが良く意外と目立ちます。 10月役も印象に残るし、女官役も印象に残ります。

森川次朗のオオカミも素敵ですね! ああいう間合いっていうのかな? 自分のペースで観客を魅了させるのは、役者冥利に尽きるでしょう。私的には満足!

松岡英明の博士は過去に演じた方と比べると派手さはないものの、 落ち着いた感じですね。 王女を自然な形で説き伏せようとしている苦労がわかる演技です。

老兵役の沢木順、12月のあぜち守、女官長役の真由華れお、 それぞれがプロの演技、そして歌唱力を披露してくれました。

Iバージョン全般

8月では池田ありさの印象が不思議と強いです。 自分の好きなルックスだからかな?(笑)

女官では、小山菜穂の表情の豊かさが印象深いです。 また、石毛美帆のように背が高いと見栄えがありますね。 ただ、こちらのメンバーの森の精は印象度低いです。 近藤亜紀と矢野杏奈ぐらいでしょうか? ダンスでは一番目立っていたのは近藤亜紀。 うちのサイトの掲載女優だからという理由ではなく、明らかにダンス力では彼女は目立ちます。 前よりも若干体の線の柔らかさが出てきたでしょうか? 矢野杏奈は表情。彼女の表情付けは見ていて楽しいですね。

Aバージョン全般

女官では今野愛や柳沢里奈のように背の高さがいかせる人は目立ちます。 にもかかわらず、水谷まりはそれほど背が高くなくても目立ちます。 これは彼女の生まれもった類まれなルックスのせいですね(汗) 髪飾りは一番似合っていたかも。

こちらのバージョンの森の精たちはかなりいいですね。 ヒロミダンス関連では、鈴木杏奈、倉島ひかりは目立ちます。 特に倉島ひかりかな?さすがに実力者なので、ダンスも表情も良かったです。 私にとって全く無名の望月杏奈、稲葉美優もいいですね! 望月杏奈はパンフレットの写真はイマイチですが(爆) 舞台上の表情は抜群にいいです。かなりかわいいですよ。 稲葉美優も表情かな?けっこう印象に残りました。 森の精たちについては、Aバージョンの方がとても印象に残っています。

総括

基本は黒木マリナの独壇場といったところ。 ただ、そうだとしても満足のいく舞台です。 7500円という高めのチケットでしたが、私的には十分その価値がある舞台だと思います。 「お金を払って観たかいがあった」と素直に思えました。

※敬称略

キャスト表