◆  『GO,JET!GO!GO! サプライズ版』

◆公演時期   2005年10月22日(土)〜23日(日)
◆会場 池袋サンシャイン劇場
◆作・演出  藤森一朗
◆プロデューサー 竹澤 寿之
◆照明 宇野和義
◆音響 川西秀一
◆振付 遠藤あど
◆歌唱指導 飯田緑子

あらすじ
1950年代。
海辺のBar SamaSamaでは若者たちが毎晩のように、歌い、踊っていた。

そこへ突然、Barのマスターの再婚話が浮上。
さらにはマスターの悩みの種である不良娘、妹のあかねが警察沙汰に?!
生徒会も現れ、事態は大混乱に・・・・・
(チラシより一部抜粋)
観劇感想
Air studioさんのプロデュースしている公演を観るのは初めてです。
出演メンバーがセーラームーンミュージカルの卒業生、
振付とプロデュースも、セーラームーンミュージカル関連ということですね。

サンシャイン劇場という大きな箱なので、どのくらいの集客力があるのか気になりましたが、
少なくとも一回はほぼ満席でした。

私が観劇したのはB班のみです。
ちなみに劇場アナウンスは赤坂さなえちゃんでした。

パンフレットには、「ものすごいメッセージ性はありません」と書かれていましたが、
明らかにあります。これはちょっと不思議ですね。
足をひきづっている・・・ということで、完全にメッセージ性があるのですが・・・
そんなに真剣にとらえないでください・・・ということなのかな?

全体を通してみると、ダンスがメインのミュージカルですね。
歌う場面ももちろんありますが、ダンスが多いです。
また、ミュージカル特有のセリフを歌にするようなものはありません。
あくまでミュージカル・ナンバーのひとつという感じです。

最初の導入部分で、おばあさんと孫が登場。
ここの二人芝居が長い・・・・・・
正直、そんなにいらないです。
コメディ・タッチにしているのですが、ごめんなさい、私は全然笑えませんでした。

その後、1950年代の話になるため、舞台は一気に華やかになります。
ダンスメインで、ほぼ全員が出演する華やかなナンバー。
ダンスナンバーの中では一番見応えあります。
「これから楽しい舞台が始まるぞ!」というのがビシバシ伝わってきます。

キャラが多いため、ひとりひとりの個性がわかりづらかったのは残念です。
男性陣のジミー、ヘビー、トビー、全くキャラクター設定がわからないです。
さらには、早紀、夏代、美月のキャラクター付けもイマイチ。
早紀が真面目系なのはなんとか判断できますが、
夏代のボケキャラ、美月のかわいらしい言葉尻のキャピ語、
このあたりは影が薄くなりました。

ただ、3人娘である、早紀、夏代、美月のダンスナンバーは素晴らしいです。
三人ともにダンスは見応えあります。
大山さんがメインで歌っていることもあり、彼女の歌声も光ります。

私的には、警察官コンビである、
小結刑事役の松下卓也さんと前頭刑事役の松丸雅人さんがハマリました。
服を盗られて、徐々に裸になっていくのは面白かったです(笑)
盗られた現場に戻って、また盗られるというシチューエーションも、
ガチガチな笑いなのですが、深読みしすぎて笑えます。

ギャグやコントも多数あり、
私的にはライオンキングネタが笑えました。
四季でも使う、頭につけるライオンの頭の小道具。
あれは発注したのでしょうか?手作りなんでしょうか?そこが謎(笑)

あかねとJETの幼稚園時代の話はなかなか泣かせる話です。
でも、幼稚園の時点ではそこまで機転は回らないでしょ(笑)

オカマのタマさんは、わき役としては非常に見応えありますが、
一人芝居のところは、正直、ちょっと見ていて辛かったです・・・・・

話の流れとして、基本はJETとあかねの恋愛がメインです。
忘れそうになりますが、マスターの再婚話もあります。
それと平行して、オカマの恋、千佳と渚の結婚アピール作戦、生徒会副会長の陰謀、
と、3つの話があるのですが、ちょっと手を加えすぎかな〜と思いました。
もう少し絞った方が観客に伝わりやすかったように思います。

大地役について。
濃い〜キャラでは無くなったため、ジミー、トビー、ヘビーとあまり代わり映えしないですね。
ここのキャラクター設定はイマイチかな?
リーゼントの髪形で、少しキャラ立ちはしているのですが、
威張るわけでもなく、逆にやや臆病な感じの役なので、認識するのに時間がかかります。
後半で、よ〜やく重要な役として注目されるので、それまでの印象度が薄いのは残念。
演じた渡邉紘平さんも、意外と難しかったでしょうね。

エンディングでは現代の話に戻り、
孫が舞台から去ったあとに、おばあさんが倒れます。
そして、気がつくと1950年代当時の世界へ。
そこには、先立ったであろうおじいさんであるJETの若い姿があった・・・・
う〜ん、こういう演出、誰もが一度はしたいですね。私もやりたい(笑)
演出家の人がけっこう力を入れていたことと思います。

ちなみに、今回は舞台監督の人が登場して歌ってました(笑)
なんでもアリかと(爆)
でも、うまいんですよね〜いい感じでした。

気になった役者さんは・・・

あかね役の杉内英美さん。
えっと・・・・・彼女は主役とは言わないまでも、それに近いメインな役どころです。
にもかかわらず、チラシの表面に顔写真が無いのはかなり悲しいです。
まぁ〜、いろいろ事情があるとは思いますが。

終始、足を引きづるという役で、役柄的には一番たいへんだったことと思います。
相当練習をしたことでしょう。
私が観る限り、足を引きづる演技はとても良かったです。
無理やりやっているというものは微塵も感じさせず、自然体として引きづっている感じです。

不良で暴力的で、常にムチを振り回す役どころですが、
その中に悲哀を見せる演技はなかなかのものがありました。
華やかな3人娘に目が移りがちですが、彼女の演技もとても良かったです。

早紀役の大山貴世さん。
ハキハキとして、すっごくしっかりした役は合いますね。
各ナンバーもメインで歌っていることもあり、一番目立ちます。

夏代役の赤坂さなえちゃん。
舞台は、ライオンキングのヤングナラ役以来、5年ぶり!
ある意味、全くの白紙状態です(笑)
どんな感じになるのか、私も楽しみにしていました。

そうですね。とりあえず、無難にこなしていたと思います。
役柄的にボケキャラなのてすが、今回は3人娘のキャラクター設定がイマイチのため、
それほど重要視はされていなかったと思います。
演技は、やはりうまいです。元々の下地がありますから。

ダンスシーンは「雅」で鍛えていることもあって、見応えあります。
両腕の筋肉もすごかったです(笑)
ダンスをしている人は筋肉つきますからね。

美月役の渡辺舞さん。
目が大きく、背も高いので、遠くからでもひじょうに目立ちますね。
かわいらしく、「キャピ」という言葉づかいもありましたが、
それ以外は普通な感じでした。
どちらかというとダンスシーンの見栄えの良さが光ります。

JET役の須田祐大さん。
淡々とした感じが非常に好感もてます。
演技も落ち着いていて、かなりいいです!
もちろん役柄的な意味合いもありますが、一番安心して観ることができました。

千佳役の船越真美子ちゃん。
アルゴでは超常連さんです。
う〜ん、かなりいい!!
元々かわいらしいルックスですし、スタイルも人形のように繊細。
そのアイドル的象徴の彼女が、ちょっと変なキャラをやるとひじょうに光ります!!
アルゴミュージカル「ユー・ガット・ア・フレンド」も少し面白いキャラでしたが、
今回はそれ以上のキャラ。
アルゴでは枠におさまりがちですが、弾けたキャラも抜群にうまいです。
セリフはしっかりしているし、演技は言うことないです。

妹の英里子ちゃんとのユニットナンバーがありましたが、歌、ダンスともに秀逸。
ふたりは本当に華があります。
パイナップルのような衣装も似合ってました。
そうそう、ふたりの腰振りダンスはすごかった(笑)

なぎさ役の船越英里子ちゃん。
マスターの娘ということもあり、手伝いをしていることが多いので、
舞台にいる時間はかなり長かったです。
演技はマズマズ。
ダンスのイメージの方が強いですね。
姉妹で出演しているせいもありますが、ど〜てしもお姉さんの印象が強いです。
徐々に自分の個性をだしてもらえると嬉しいです。

里菜役の山咲あいさん。
かなりいい感じです!
副生徒会長で真面目な役。それでいてひと癖ある陰謀家。
制服もバッチリ似合っていて、高校生でも余裕で通用しますね。
演技もダンスも、もう完全にプロなので言うことないです。
ただ、彼女は歌がすばらしいのに、それを活かす場面が無かったのは残念。

メグ役の絵梨華さん。
今回は地味な役柄でした。そこはちょっと残念かな。
演技的にはなかなかしっかりしていると思います。

総括
ミュージカルとしては普通に楽しむことができました。
前述しましたが、ミュージカルナンバーは、すべて1950年代なので、
セリフを歌として表現するものはありません。ここは好き嫌いわかれるところでしょう。

元々がセーラームーンミュージカルということで、
ちょっと独特な雰囲気がありました。不思議な感じです。


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