公演時期 | 2005年7月21日~31日 |
---|---|
会場 | 東京国際フォーラム ホールC |
演出・潤色・訳詞 | 松本祐子 |
翻訳 | 秋島百合子 |
音楽監督 | 宮川彬良 |
美術 | 堀尾幸男 |
照明 | 勝柴次朗 |
衣裳 | 前田文子 |
振付 | 玉野和紀 |
声楽指導 | 泉忠道 |
フライング | 松藤和広 |
音響 | 井上正弘 |
舞台監督 | 二瓶剛雄 |
あらすじイギリスのロンドンにあるダーリング家の子供部屋。 両親がパーティーに出かけ、寝静まった子供部屋に、 一人の男の子と光の妖精が飛び込んできます。 彼の名はピーターパン、そして妖精はティンカーベル。 ピーターパンは先週もこの部屋に忍び込んでいたのですが、 その時に家の愛犬であるナナに自分の影を捕まえられてしまい、 ダーリング夫人によってタンスの中しまわれてしまったのでした。 それを取り戻そうとやってきたのですが、影を見つけたものの、 自分のところに戻ってきてくれません。 悲しんで泣いているピーターパンを、 目を覚ましたこの家の少女ウエンディが、影を縫い付けてくれました。 騒ぎで、マイケルとジョンを目を覚まします。 影が自分の元に戻り、 喜んだピーターパンは子供たち3人に空を飛ぶ方法を教えてあげました。 ティンカーベルの道案内で、 ピーターと3人の子供たちはネヴァーランドへの旅に出かけます。 (パンフレットより一部抜粋) 感想久々にピーターパンの観劇です。 1996年、2002年についで3回目です。 第一幕はほとんどストレートプレイですが、 主役のピータンパンの宮地真緒さんをはじめとして、 みなさん演技がうまいので申し分ありません。 特に、後半の宮地さんとウェンディ役の岩崎ひろみさんとの演技のぶつかり合いは秀逸です。 このシーンはかなり集中して観ることができました。舞台に吸い込まれる感じです。 岩崎ひろみさんのウェンディは、かなり目立ちましたね。 最初に登場した宮地さんのピーターパンは、ややかすれ声でした。 宮地さんは、たしか舞台が初出演ということもあり、公演自体が長丁場のため、 「いかに安定した力を発揮するかが鍵ではないか?」と私は思っていました。 いきなりのかすれ声に、「やはりつらいのかな~?」と思って観ていたのですが、 ウェンディとのストレートプレイあたりからは、かすれた印象がほとんど無くなりました。 ちょっと一安心です。 ただ、迷子役の方たちも、かすれ声があり、 長丁場の舞台のたいへんさが印象づけれらました。 フライングシーンは、いつ見ても楽しいです。 ほんとに集中できますね。 特に宮地さんのフライングは、相当練習したのでしょう。 回転やスカイダイビングのような感じのものもあり、バリエーションが豊富でした。 今回のセットもこれまた豪華です。 華やかで色鮮やかで、光りのイルミネーションもすごいです。 かなりお金をかけてます(爆) お金をかけていると言えば、タイガーリリーや、インディアンの衣裳。 これが非常に目立ちます。 赤、青、黄色、白を貴重とした原色の衣裳なのですが、とても鮮やか! 「機動戦士ガンダム」のような色使いです(笑) このデサインを考えた人に、私から拍手喝采です! ハッキリ言って、この衣裳欲しいです(爆) そのくらい素晴らしい衣裳でした。 派手すぎて、印象強すぎるんですけど(汗) 迷子の衣裳も派手です。 色使いというわけではなく、衣裳や帽子がじつに細やかに作られているのが見てとれます。 ただ、草の帽子は・・・私としてはイマイチかな? 衣裳が重く、重量感もあり、もう少しスッキリとした衣裳でも良かったかもしれません。 まぁ、そんなにたいした影響もないのですが、あくまで私のイメージとして。 およそ2時間半の舞台。 しかも観客は、ミュージカル「アニー」よりもさらに低い年齢層。 泣いたり、わめいたり、ざわつくことことは日常茶飯事です。 そして、一番危険な「飽きる可能性」がかなり高いです。 それを飽きさせないために、次から次へと繰り出す演出。 これはすばらしいですね! どんどんどんどん繰り出し、これでもか~!という感じで盛り上がるシーンを入れる。 途中、怖いシーンもあり、泣き出す子もいましたが、 それ以外は、じつにうまく子供たちの目をひきつける演出だったと思います。 ネバーランドから家に戻ったウェンディが、ピーターパンのことを思い出す時、 天井・・・というか屋根の上にピーターパンがいるのですが、 子供たちが「上!上!」「屋根の上にいるよ~!」と連発でした。 「志村、後ろ~!」を思い出しました(笑) こういうかけ声は、ファミリーミュージカルとしては、嬉しいことかもしれませんね。 子供たちがそれだけ集中している、ということですから。 ちょっとうろ覚えなのですが、 2002年の演出では、太ったコメディチックな海賊が心を入れ換え、 迷子たちとともにダーリング家にお世話になるような話しがあったと思います。 「ネバーランドに行ってきた!」という、 ウェンディやジョンのことを信じない、ダーリング氏やダーリング夫人らが、 太った海賊が空を飛ぶことでビックリする!みたない話しがあったような気がします。 今回はそれがありませんでした。 物語中に大きな影響をあたえるものではありませんが。 そして、今回一番素晴らしい演出は、最後のナンバー。 なんと出演者の方が客席に降りてきます! この演出は、私が見た回では一度もありませんでした。 子供たちは嬉しいでしょう! ピーターパンの宮地さんだけは舞台に残りますが、 他の出演者たちは客席に降り、しかも同じ場所にいず、ほぼ全体を駆け回ります。 ミュージカル「アニー」の場合は人が固定ですから、 いろいろな人が来てくれる、こちらの方が嬉しいですね。 この演出は、かなり考えたことと思います。 気になった役者ピーターパン役の宮地真緒さん。初舞台とは言うものの、テレビで彼女の演技を見ている限り、 演技達者だな~という印象はありました。 そのため、演技力については全く心配していませんでしたが、 思ったとおり、ピーターパン役を無難にこなしたと思います。 歌手デビューはしているものの、歌唱力という点においてはまだまだです。 決して下手ではありませんし、 相当なヴォイストレーニングを続けてきただろうことは理解できます。 これから、もっともっと伸びてくることでしょう。 セリフ回しもよく、カツゼツもまずまずうまくいっていたと思います。 ただ、少し気になるのは元々地声が低いためか、 少年というよりは、声変わりをした少し大きな少年のような感じがしました。 どちらかというと、ヤンチャというよりも荒々しい感じ。 もちろん、ところどころ、わんぱく坊やというイメージの演技をするのですが、 そのあたりはまだまだかな~と思いました。 それから、アヒル?だか、ニワトリ?だかのモノマネの擬音。 「クワァッ、クワァッ、ククワァ~!」と叫ぶところ。 ここはイマイチですね。 岩崎ひろみさんの方が上手かったです(爆) 殺陣はもうちょっと頑張ってくれると嬉しいかな? 迫力はいまひとつでした。 まっ、そのあたりはタイガーリリーの派手さでカバーしています(汗) 大きなダンスシーンは無いものの、 インディアンのナンバー等での振りの切れは、なかなか鋭いものがありました。 これは練習の賜物でしょう。 最初に登場するシーンですぐに気がつくのですが、 二の腕が、めちゃくちゃ細いです! これだけで、いかに練習量が多いか想像に難くありません。 ピーターパンの緑の衣裳は、フライングをするための装置(?)もつけているため、 すこしふっくらしていて、ある意味、宮地さんが普通に見えます。 しかし、あの腕を見るかぎり、かなり痩せていることは間違いありません。 精神的にも、体力的にもきつかったことでしょう。 フック船長役の石川禅さんすばらしいの一言。 コメディチックな演技と、おどろおどろしい怖い部分の演技のバランスは申し分無し。 歌唱力も文句無しに素晴らしかったです! ウェンディ役の岩崎ひろみさん。文句のつけようがないほど秀逸です。 ウェンディの明るくて、おしゃまな感じが抜群でした! 演技力は言うことないですし、声もハッキリとしているし、さらに歌唱力。 聞きごたえあります。 宮地さんと一緒に歌うことがありますが、歌唱力という点においては、 岩崎さんの方が一枚も二枚も上。印象の度合いがかなり強いです。 大きなダンスではありませんが、インディアンのナンバーでの振付の切れは流石です! ダーリング夫人、ジェーン役の比企理恵さん。彼女の演技力も言うことありません。 ジェーン役は、本当に可愛らしいです! タイガー・リリー役の三咲レアさん。タイガー・リリー役は、毎回、柔軟性あふれるダンスが印象的ですが、 三咲さんのリリーもそれに習い、すばらしいダンスを見せてくれました。 回転するところも、かなり回転数を回っていました。 見応えあります! 殺陣のシーンも、さらに見応えがあります! 足が高くあがることから、キックの華麗さは秀逸です! 男性っぽい、凛々しい感じのリリーも、じつにうまく表現されていました。 リリー役として申し分無しです。 ジョン役は村上郁海ちゃん。私は意外と彼女の出演する舞台を観劇することが多いです。 完全に偶然なのですが。 それと比べると、まず背が高くなりましたね。伸びるのは当然ですが・・・ パンフレットに載っている写真よりも、かなり痩せました。 お稽古がたいへんだったことでしょう。 メガネは正直イマイチです・・・まっ、役柄なので仕方ないのですが。 メガネをしてしまうと、はずした時に誰だか印象に残らないという欠点がありますから。 郁海ちゃんと言えばダンス・・・なのですが、 なんと、ジョンは他の人のダンスを見ている場面が多く、 自らダンスをする場面はかなり少ないです。 後半のインディアンのダンスぐらいでしょうか? 本人が踊りたいという気持ちが一番強いでしょう。 そのぶん、インディアンのナンバーのダンスの切れは秀逸でした! ここに賭けていたのかもしれません(笑) そうそう、なにげに今回の髪形はすごくいいですね。 マイケル役はダブルキャストで、真嶋秀斗くんと鯨井未呼斗くんです。 私が見た回は鯨井未呼斗くんでした。 小さいながら、まずまずの演技だったと思います。 セリフもしっかりしているし、ダンスも良くやっています。 それほど特筆すべき点があるわけではありませんが、頑張っていたと思います。 総括低年齢層で、子供たちのざわめきもありましたが、 公演内容としては、かなり楽しむことができました。 とにかく客席が子供たちでいっぱいであることから、公演的には大成功でしょう。 グッズ売り場も2002年と全く同じで、物凄い混雑でした。 これだけ当たれば、ホリプロが継続していくのは間違いありません。 セブンイレブンさんも、協力していくことでしょう。 エンターテイメントあふれ、ひじょうに楽しめる舞台で大満足でした。 ※敬称略 |