◆  「キャッチ・ミー」 

◆公演時期   2005年6月11日
◆会場 imagine studio
◆脚本 柴田豪子
◆演出 山崎大輔

あらすじ
高木若桜は、奥野信吾と結婚直前までいっていたのだが、
奥野がニューヨークに行くことになり、
若桜は、自分の仕事を捨ててまで彼を追うのか悩んでいた。
結局、若桜はニューヨークに行くことができなかった。
後に、奥野が結婚したことを知り、愕然とする・・・・・
それから数年後、年下の悠介という恋人ができた若桜だったが・・・・・
観劇感想
昼、夜は出演者が異なりダブルキャストなのですが、
私は夜の部だけの観劇でした。

magine studioという場所は、初めて来たのですが、
ニッポン放送の奥深くの地下にあることには驚きました。

一部、二部構成ではありますが、
一部は、物語の語り部として主役である若桜役の津川友美さんの朗読。
二部が、その続きの舞台となります。

内容としては、男女の恋愛話です。
そこに、SET独自のお笑いが少し入る・・・という感じでしょうか。

主役の高木若桜役である津川友美さんがかなり秀逸でしたね。
年下の彼氏をリードする、落ち着きはらった姉さんタイプの演技は、
観ていてとても好感が持てました。
時折、歯を食いしばったような笑顔を見せるのですが、これは彼女独特の癖でしょう。

上田真樹役には、池辺愛さん。
池辺さんというと、
「東京メッツ」でのチャイナ服の可憐なイメージが、私の頭にこびりついて離れません・・・
もちろん、SETの公演を何度も観ているので、
池辺さんのイメージは毎回変わることは承知しているのですが、
どうしても可憐なイメージが残っているんですよね・・・

今回は、かなりスポーティーでハキハキしたボーイッシュタイプの役柄。
津川さんが大人の女性の演技に対してのポーイッシュな役柄なので、
インパクトとしては、かなり大きかったです。
本来は、こちらの方が本人の地に近いかもしれないです。
演技だけでなく、お笑いの間もうまくとれてました。

星悠介役の坂田鉄平さんは、SETのホープ。
背も高く、ルックスもホスト系(汗)なので、かなり見栄えがいいです。
彼、目当ての女性ファン客が多かったのも印象に残っています。
役柄的には、真面目で誠実ながら、自分の夢に向けて頑張る、
少し幼さを残した青年の役です。
凛々しくカッコイ大人の役ではないところが、また彼の良さを引き出している感じがしました。
女性の母性本能をくすぐるような、少し甘えた感じの演技も良いです。

奥野信吾役の岩永新悟さんはSETでもベテラン(?)です。
SETは年齢が高い人が多いので、中堅でしょうか(汗)
言うことなしの演技力。
ただ、もう少し笑いがあるといいな〜と思いました。
少し淡白すぎて、観客としてはあまり集中できない感じでした。
悠介の明るい部分との対比を見せるための、
大人のスローでムーディーな雰囲気をだす演出であることはわかるのですが。

総括

話の最後に、ノミの話が話しがでてきます。
ネタパレしてもいいと思うので、一応書いておきます。

ノミは自分の体長の60倍のジャンプをするそうです。
ところが、そのノミをコップに入れ、さらにふたをすると、
最初はコップのふたにぶつかっていたノミが、だんだんとぶつからなくなるそうです。
つまり、ぶつからない程度のジャンプしかしなくなるということです。
一度そうしてしまうと、コップから外にだしても、
そのノミはコップに入っていた時の高さまでしかジャンプできない…

意味合いとしては「井の中の蛙」と同じ感じです。
ある部分だけで満足するのではなく、
さらに飛躍するために視野を広げて挑戦する・・・といったところでしょうか?
これが物語の核心でした。
つまりは、この例えを言うための伏線であった・・・
そんな感じも否めません。
これが言いたいがための物語と言ってもいいでしょう。
これには、ちょっと私も引きました。
あからさまのセリフですから。

舞台の物語として恋愛話なのに、ここで急に説教くさくなるんですよね。
最後の「クライマックス」の部分なので、
「決め!」のセリフが必要だったのかもしれません。
気になったのはここだけです。


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