「Dr.HOUSE」最終回を見た感想

      2016/05/13

良い意味で裏切られた終わり方で良かった。

海外ドラマの長いシーズンもので、私が好きなものが「LOST」と「Dr.HOUSE」

「LOST」は毎回毎回、怒濤の展開。
来週の「週刊少年ジャンプ」を読むのが楽しみで仕方ない感覚に似ている。
1話ごとにとんでも展開が多く、衝撃シーンばかり。
長いシーズンで、前の話しと辻褄が合わないこともある。
最終回も賛否両論あるみたいだけれど、私は大満足でした。
正直言うと、軽いネタバレを見てから見た方が話の流れがわかりやすい。

そして「Dr.HOUSE」
超天才的な医者だけれど、とてつもない変人。
毎回いろんな患者を受け持つが、
その患者がどんな病気であるのかを最終的に見極めるのが話の流れ。
基本は1話完結だけれど、全体的な話の流れは当然ある。

ガンの専門医である、親友のウィルソンがガンに冒されるという皮肉。
余命5ヶ月。
しかも、ハウスが病院内のトイレで水をつまらせるイタズラをしてしまい、
それが警察沙汰に進展。
そもそも保護監察処分になっていた、ハウスは6カ月の刑務所送りに。
刑務所に行くことが問題なのではなく、
余命5ヶ月の親友ウィルソンと残りの時間を一緒に過ごすことができないことに苦悩するハウス。
そして・・・
という感じです。
ネタバレはしたくないので書きません。

ガンの専門医がガンに冒されるという皮肉。
それを嘆くセリフがいい。

「たくさんの人を救ってきたのに、自分の命が残りわずかなんて。納得いかない。これがハウスだったら、今まで好き勝手にやってきた報いを受けて、自業自得だ。だけど自分は違う。だからこそ納得いかない」

印象深いセリフ。
真面目に一所懸命に取り組んできたのに自分は余命わずか、
自由奔放のハウスは生き残る。そんな理不尽なことがあるか!
そりゃ、嘆きますよね。

ウィルソンは自暴自棄になって、やりたい放題、好き放題する決心をする。
あらゆることに挑戦し、お馬鹿にもなる。
このまま、医者を辞め、面白楽しく生きようとしていたが、
1日に1本しかこないバス停で、認知症の女性に会う。
すぐ次が来ますよ、と、にこやかな笑顔。
ほおっておけばいいと言うハウスに対し、
結局、自分は変えられないことに気づくウィルソン。
ここも良いシーン。

そして、ハウスの家での抗ガン剤治療。
あまりの苦しさにのたうちまわり、そして気絶するウィルソン。
気づくと朝になり、仕方なく病院に向かう。
自分の部屋に入り、パソコンをつけると動画が流れる。
それは、自分が抗ガン剤治療で気絶していた時の状況だった。
ハウス、そして二人の女性が気絶したままの自分と一緒にバカ騒ぎをしているものであった。
それに対し、大笑いをするウィルソン。
このシーンも、ハウスの皮肉めいた優しさが伝わるシーン。

化学療法をやめて死を受け入れることを決意したウィルソン。
部下のタウブがハウスに、
「抗ガン剤治療を続ければウィルソンはもっと長生きするから、説得してほしい」
と言われるが、珍しくハウスは激昂する。

「俺は毎朝苦しんでいる。何回諦めようと思ったかわかるか?何回死のうと思ったか!」

足の痛みのつらさを何年も毎日続けてきたことを、ここで告白!
絶対に他人には弱音を吐かなかったハウス(言っても皮肉程度)
ここの激昂は本物でしょう。
シーズン1から始まってシーズン8まで、
ずっとハウスが我慢に我慢をかさねて誰にも言わなかった苦しみを告白したこのシーンは、
衝撃的だと思う。
このセリフは重い。

ウィルソンという良心的な医者がいたからこそ、
ハウスはずっと「良心」を改善することができなかった。
その皮肉も面白い。

ちなみにハウスが

「『いまを生きる』って映画見ていないのか?いまを生きているんだよ」

なんてセリフがあります。
じつはウィルソン役のロバート・ショーン・レナードはこれに出演していて、
自殺する生徒役なんですよね。
ロビン・ウィリアムズが主役の先生役ですが、
じつは彼のニール役が準主役に近い。
さらに言うとここで『夏の夜の夢』の舞台に立っていてパック役。
これ、ドクターハウスでも似た感じでツッコミされてました。
大人になっても、あの衣装を着させられてました。
いまを生きる : キノ2

もひとつおまけに、2001年、トニー賞の演劇助演男優賞を受賞。
15歳から舞台。
演技の質が違うのもうなずける。

さて、最終回。
目覚めるとハウスは、廃墟ビルのいっかくにいる。
しかも死体があり、火災の気配も。
そこに、かつて自分の部下で拳銃自殺をはかって死んだはずのカトナーが現れる。
同じく死んだはずのアンバー。
今度はまだ死んでいない、元恋人のステイシー、元部下のキャメロン。
この状況下において、説教をします。
ここは「Dr.HOUSE」を長年見ている人にしてみると、とても嬉しいシーン。
久々に登場のカトナー。
あまりにも突然すぎるほどの突然の自殺ですからね。

アンバーは三度目ですね、死んでから現れたのは。
ここは目新しさはない。

元恋人のステイシーは本当に久々。
3シーズンか4シーズンぶり。
そもそも本当はもうひとりの恋人、カッティがいるのですが、
前のシーズンで完全降板となり、ゴタゴタもあってか再登場はならず。
それで彼女なのかも。

元部下のキャメロンも久々。
ちなみに今は「ワンス・アポン・ア・タイム」で主役をやってます(笑)

幻覚を見ながら、気づくとハウスの回りは炎。
余命5ヶ月の親友ウィルソンと、
残りの時間を一緒に過ごすことができないことに苦悩したハウスの結論は自殺であった。
幻覚はハウスの心の迷い。
そこへ失踪中のハウスを捜索していたフォアマンとウィルソンが到着する。
しかし、彼らが最後に見たハウスは、火事で崩れ落ちる建物の中であった。
良い終わり方。

元部下、「サーティーン」のあだなをもつ、レミー・ハドリー、
マスターズ
この二人とも、性格女優で個性的。
物凄く魅力的な女優。
そりゃ、日本のドラマを見なくなるわけだ。
演技力は当然として、人を引きつける力が違うもの。

「Dlife」でシーズン1からシーズン8まで1話も逃さず、ついに最終話。
感慨深いものがあります。
このドラマは、他にもある病院系のドラマとは違い、物凄く破天荒。
何の病気か判明させるために、患者すら死の局面に追いやるほど。
そして二者択一の選択で亡くなったりもします。
絶対に治るとは限らない。

人は誰もが一度は病院のお世話になる。
だからこそ、親近感がわく。
このドラマでは「カワサキ病」とか、かなり高い確率で出てきます。
日本だと全く聞き慣れない日本の病気もたくさん。
そういうことを教えてくれるドラマでもありました。

皮肉的な人種差別もたくさん。
ある意味、アメリカ的。それを許容できる懐がある。
黒人のフォアマンなんて、ハウスから何回も言われても皮肉で言い返しますからね。
言われても言い返せる度量がある。
日本だったら100%ありえない。

そして患者の「嘘」
これはこのドラマのコンセンプトのひとつのようですが、
患者からいろんなことを聞いても、じつは嘘であることがほとんど。
信用していません。
それゆえに、不法侵入で自宅を調べることなんて日常茶飯事。

「Dr.HOUSE」では「死」は暗闇。
「無」何もない世界です。
死後の世界とか、そういった解釈はありません。

ホームズとワトソン。
ハウスとウィルソン。
まさに一心同体。
素敵なドラマでした。

 - テレビ